うさぎの基本

手のかからない?仔うさぎの育て方①

うさぎとの暮らしは、うさぎと出会った瞬間から始まります。しかし仔うさぎの愛くるしい仕草に魅了され、どんなわがままでもつい許してしまう飼い主になっていませんか? これでは抱っこはおろか、トイレのしつけや爪切りすらできなくなってしまうかもしれません。そこで仔うさぎのうちに『あること』をすることで、手のかからないうさぎへと成長する可能性があるのです。仔うさぎの育て方で気を付けることを紹介します。(『うさぎと暮らす』17号より改編)

健康で元気いっぱい
仔うさぎの探し方

誕生から親離れするまで

生まれたてのうさぎは、目は閉じたままで、毛も全く生えていません。体温調節ができないため、母うさぎが自分の毛を抜いて作ってくれた巣の中で、一緒に生まれた仔うさぎ同士で寄り添いながら、保温します。
仔うさぎは、生後3週目で母うさぎのエサに興味を示し始めますが、生後6週目頃までは母乳中心で育てます。これは、消化器官が完全に発達していないためで、その間は、母乳に含まれる脂肪酸の抗菌作用の働きにより、細菌感染を防いでいます。
仔うさぎが下痢しやすいとされる理由は、母乳とエサの切り替え時期が早すぎたため、コクジウムなどの細菌に感染することがあります。こういった病気を防ぐためにも、生後6週目以降に離乳するのが理想です。

生後一ヶ月頃の仔うさぎ

行動時間

離乳期を過ぎると、同じ日に生まれた仔うさぎと過ごすようになります。仔うさぎ同士でじゃれあう姿は見ているだけで幸せな気分になりますが、1匹ずつ行動を観察してみると性格の違いが見てとれます。活発でアピール上手なコ、おとなしくて兄弟の中でも目立たないコ、もくもくと食べているコなどさまざまです。
このような行動が観察できる時間帯は、行動が活発になる夕方から夜にかけてです。昼間は寝て過ごすことが多いので、どの仔うさぎも性格にあまり違いがないように見えてしまいがちです。

そこでショップなどで仔うさぎを見る時は、夕方に行くことをおすすめします。一緒に長く暮らすには、健康で元気であることが一番です。そのためにも、夕方の行動を観察し、健康な仔うさぎを選びましょう。

もしくはご自身の目に自信がない場合、ショップの店員さんは仔うさぎの動向をよく見ているので、よく相談するとよいでしょう。

仔うさぎの大きさ

仔うさぎの成長の変化は、種類によって異なります。また、仔うさぎの産まれた数によっても異なってきます。たとえば産子数の少ない場合は、個々がたっぷりと母乳が飲めることから、体重の増加は早いでしょう。
このような理由から、店頭に並ぶ仔うさぎたちは、このくらいの大きさだから生後〇日目、といった風に身体の大きさで比較するのは難しいと言えます。質問にきちんと対応してもらえるショップを選ぶこと、また、表示されている誕生日などで判断しましょう。

生まれたばかりの仔うさぎ
ポイント
  • 生後40日~50日(※1)、母乳で育てられた子うさぎであること
  • 行動が活発になる夕方の時間帯に見に行く

    (※1)成長の具合や換毛の時期によって離乳時期が多少前後します。

好き嫌いが少なくなる
仔うさぎの食生活

うさぎの嗜好

うさぎは、好き嫌いが激しいと言われることがあります。これはうさぎの嗜好が生後6ヶ月までに与えられた食餌に影響されるからです。うさぎはその時期に与えられた食餌を自分の嗜好とし頑なに守ります。生後6ヶ月までに何種類かの食餌に慣れさせておけば、好き嫌いが少なくなるでしょう。
栄養面を考えれば、この商品だけで充分と思われる物もあるかもしれません。しかしさまざまな理由で食餌の内容を変えざるを得ない時でもすんなりと変更が可能になる、食欲がまったくなくなっても大好物だけは食べてくれる、そんなうさぎに成長するように、与えたものをきちんと食べるのを確認した後、他のものを与えていくというように、食べられるものを少しずつ増やしていきましょう。

盲腸糞に含まれる栄養素

うさぎは2種類のフンをします。ひとつはコロコロとした丸くて適度に固いフン、これを「硬糞」と言います。硬糞の他に「軟糞(=盲腸糞)」と呼ばれる普段は目にすることのない、ベトベトした匂いのあるフンをします。 盲腸糞の主な成分としては、水分、タンパク質の他に、ビタミン類を豊富に含みます。うさぎは肛門に直接口をつけて盲腸糞を噛まずに飲みこみます。こうすることによってうさぎにとって必要な栄養素を再び身体の中に取り込みます。

盲腸糞
仔うさぎの食生活
【主食】
ペレット  
うさぎ専用の固形フード。お迎え直後はそれまで食べていたペレットと同じものを与えましょう。やせすぎのサイン:背中を触って骨がゴツゴツする
【毎日】
牧草  
無制限にいつでも食べられるようにしましょう。
【生後2ヶ月過ぎから】
野菜  
葉物野菜から与えるとよいでしょう。野菜は水洗いをした後、半日ほど日に当てて水分を完全に飛ばしてから。また、天気や生活環境で日干しが難しい場合は、しっかりと水気を拭き取った後、半日ほど風通しの良いところに置き、よく乾燥させましょう。

 <与えてよい野菜>  
 チンゲン菜、ブロッコリー、セロリ、にんじん、にんじん葉、大根葉、かぶ葉、春菊、小松菜、サラダ菜、京菜、糸三つ葉、せり、ラディッシュ

 <与えてよいハーブ・野草>  
 しそ(大葉)、パセリ、オオジシバリ、ハコベ、クズ、レンゲ、タンポポ
【大好物】
果物・
副食乾燥物  
毎日はあげられないけれど、うさぎが喜んで食べる大好物を見つけておきましょう。

 <与えてよい果物・副食乾草物>
 りんご、バナナ、いちご、パイナップル、パパイヤ、メロン、キウイ、すいか、乾燥パパイヤ、乾燥にんじん、牧草キューブ
【水】水はいつでも飲めるようにセットし、容器はマメに水洗いし、毎日新鮮な水に取り替えましょう。
●ポイント
  • 何種類かの食餌を生後6ヶ月までに経験させる
  • 野菜は日光に半日干して水分を飛ばす

完璧な?トイレのしつけ

トイレの習性

ペットとしてのうさぎは、ヨーロッパに生息する野生のアナウサギの品種改良によりさまざまな品種が誕生しました。アナウサギの家族は、母うさぎを中心に構成されていて、核となる母うさぎが地面に穴を掘り生活しています。穴の中、穴の外、それぞれに決められた場所があり、そこをトイレにする習性があるため、習性を利用すれば比較的簡単にトイレのしつけはできると言われています。
仔うさぎは、産室から姿を見せるようになる生後20日過ぎ頃から、母うさぎのする場所をトイレとして使用するようになります。またその後も、兄弟同士でそれぞれに好きな場所にするのではなく、ある程度同じ位置にします。うさぎの習性を念頭に置きながら、根気よく、繰り返し行うことで、仔うさぎにトイレのしつけをしていきます。

トイレのしつけ

トイレの設置場所は、ある程度まとめて尿やフンをする場所(※2)がよいでしょう。なかなか位置が定まらない場合は、ケージの四隅のうち、奥の両側の角に設置します。そしてトイレで成功すれば、誉めてあげましょう。もし失敗しても、決して怒らないでください。うさぎは何に対して怒っているのか理解できません。
失敗した尿をそのままにしておくと、そこににおいが残り、においがあればまたそこにしてしまいます。失敗した場合は、消臭スプレーで完全ににおいを取り除きましょう。
トイレの位置が定まらないうちに、うさぎの居場所を広げてしまうと、うさぎは広い野原を駆け回るごとく、色々な所をトイレにしてしまいます。 うさぎのケージを用意したら、トイレが完璧になるまでケージ以外の場所を自由に歩き回らせないことが大切。トイレが完璧になれば、この後に続くうさぎとの長い暮らしが随分と楽になるでしょう。
(※2)フンは無意識に排せつすることが多く、トイレのしつけができるのは、主に尿だけです。

トイレ容器とトイレに適した床材

うさぎのトイレ容器として販売されているものは、陶器製、プラスチック製、ステンレス製などがあります。うさぎの身体が清潔に保てるように、底網がついているタイプが主流です。
トイレの網の下に敷く床材でおすすめなのは、ウッドリター、パインウッドなどと呼ばれている、針葉樹を100%原料とした、ペレット状(円柱型)トイレ砂です。天然素材なので安心して使え、尿を吸収するのはもちろんのこと、においの吸収力に優れているため部屋ににおいがこもりません。また濡れると形状が崩れるため、万が一うさぎが食べてしまっても、お腹にいつまでも残ることがなく安心して使用できます。


ペットシーツは、吸収力にすぐれ、安価でもあり、利用する人が多い素材です。しかし、ポリマー加工されたものが主流で、シーツをうさぎが誤って食べてしまうと、お腹の中で水分を吸収しゼリー状に固まるため、大変危険です。トイレの形状にシーツをカットして使用するなど、シーツを引き出して食べてしまわない工夫が必要です。

はみ出たペットシーツの端をかじって引っ張り出すコもいるので要注意
ポイント
  • 習性を利用し、トイレを置く場所を工夫する
  • うさぎの居場所をむやみに広げない

※仔うさぎの育て方②に続く