うさぎの基本

うさぎの長毛種

今回はうさぎ専門店でもなかなかめぐり合えないアンゴラを中心とした長毛種についてご紹介します。ふんわりした華やかな被毛は魅力的ですが、お世話は大変そう…実際はどうなのでしょうか?!

教えてくれた人/宮崎優子さん

2005年3月、三重県名張市でうさぎ専門「LOPLOPLAND」をオープン。純血種うさぎの魅力を普及させるために尽力している。お店ではイングリッシュアンゴラやアメファジのほか、ミニサテンやトリアンタといった珍しい品種にも会える。

私が長毛種にはまった理由

私の最初の長毛種との出会いは、アメリカンファジーロップでした。ルビーアイドホワイトの真っ白な子で丸い顔と体、ふわふわの毛がぬいぐるみのようでした(毛の短いうさぎもそうですが…)。性格もおとなしかったので、ブラッシングも問題なく、またブラッシングすることでスキンシップのコミュニケーションが長く取れて、より仲良くなれることが長毛種が大好きになったきっかけです。

長毛種それぞれの特徴

アンゴラ

イングリッシュアンゴラ(体重/3kg以下)
イングリッシュアンゴラ(体重/3kg以下)

日本で一番ポピュラーなイングリッシュアンゴラについてお話します。

とにかく毛量が多く、上手に手入れすればかなりの長さまで伸ばすことができます。耳の先のタッセルと呼ばれるフサフサが特徴です。ブラッシングは想像以上に大変ですが、習慣づけてしまえば、そんなに苦労はしないはずです。性格は、おだやかな子が多いように思います。

ジャージーウーリー

ジャージーウーリー(体重/1.36kg程度)

小柄で、毛質がシャキッとサラサラしている子が多いです。からんでフェルト状の毛玉になることがあまりないので(もちろんブラッシングは必要ですが)、長毛種の中では、扱いやすい方になると思います。

性格は、ネザーランドドワーフから品種改良でできた品種なので、ネザーのルーツを持つキビキビとした子と、長毛種らしいのんびりした子の両タイプがおります。

アメリカンファジーロップ

アメリカンファジーロップ(体重/2kg以下)

赤ちゃんのときのベビーファーがものすごくやわらかくからまりやすいです。その時期を乗り越えれば、そんなに躍起になってブラッシングをしなくてもきれいな毛並みを保持できる毛質です。週に1度のブラッシングでも十分です。性格は、人懐っこく抱っこも嫌がらない。育てやすい子が多い気がします。

ライオンヘッド

ライオンヘッド(体重/1.36kg程度)

同じライオンヘッドで、同じ親から誕生しても遺伝子の出方で、特徴であるたてがみがある子とない子がいます。ダブルメインと言って、たてがみと体の脇の部分に長い毛のある子でも定期的にブラッシングをしていれば、特に大がかりなブラッシングをする必要はないです。性格は、ちょっと『不思議ちゃん』が多いです(うちの子だけ?!)。

長毛種の生活環境で注意点

夏の温度管理は、他の短毛種でも気をつけなくてはいけないですが、湿度が高くならないようにケアすると、毛のからみがかなり軽減されます。冬の乾燥している時期は毛玉ができにくいです。普通に衛生的な環境で、健康な食生活をしていればおしりが汚れることはほぼありません。なるべくケージの底網は、木のすのこやプラスティックのすのこより、弾力のある網をおすすめしています。特にイングリッシュアンゴラは想像以上にブラッシングが大変であることを認識してから、お迎えしてもらいたいです。お迎え後に「わかっていたけど、ここまで大変だとは思わなかった」と言う方が多いです。でもそこで専門家にお手入れを丸投げするのではなくて、さらに真剣にブラッシングに取り組もうと気持ちを改めてくださるのも、長毛種の魅力かなと思います。

うさぎの飼育自体が全く初めての方には、イングリッシュアンゴラは、おすすめしにくいかもしれません。当店では、しっかりお話しをさせていただいて、覚悟を決めてもらえたら初めての方にお迎えしていただく場合もあります。

比較的ブラッシングの負担の少ない、ジャージーウーリーやアメファジ、ライオンは初めての方でも問題なくお迎えしていただけると思っています。

毛の美しさを保つために…

私たち人間の髪の毛と同じで、たんぱく質を適量に摂取することです。これは長毛、短毛に関わらずで、植物性のたんぱく質は、大豆かすに多く含まれているので、当店ではペレットに大豆かすをプラスしています。

もちろん、温度管理とブラッシングも必要です。毛の根元がからまるのを防ぎ、皮膚に空気をあてるためにも定期的にブロワーを使ってのグルーミングができると理想的です。

ブロワーイメージ
ブロワーイメージ

長毛種のお世話に抱っこは必要?

抱っこは必須です! やらなくてはならない状況に追い込まれるので、長毛種の飼い主さんは抱っこはできるようになる方が多いです。

ブラッシングの技術を習うことは必要かと聞かれたら、必ずしも必要ではないように思います。うさぎ専門店で教えてもらえる機会があるなら、参考程度に習うとよいと思います。毛質も個体差があり、方法はその子に合わせた毛の手入れを飼い主さんに見つけていただけたらベストです。

専門店やブリーダーさんの場合

アメリカのアンゴラのブリーダーはラビットショーに出展するうさぎ以外は、季節に関係なく短めにカットして管理しています。その方がお手入れが楽だと感じるならサマーカットをしておくと、気持ちも多少楽になると思います。

私は、サマーカットは暑さ対策のものではないと考えています。せっかく長毛種なので、カットせずにそのふんわりした長い毛をきれいに保って、見た目も美しくいられるとよいなと思います。

毛玉は小さいうちにケアを…

長毛種の毛は細くて長いので手入れをしないで放置していると、からまって小さな毛玉となり、ほぐせる程度のものから、硬くフェルト状になってしまって、ケアに時間がかかるものもあります。皮膚を傷つけたり、ひっぱりすぎたりしないように気をつけながら、ブラッシングでほぐしながら取ってしまうか、少しハサミでカットして、少しずつ崩しながらほどいていきます。

最後に…

長毛種はお迎えを検討する時点で、品種関係なく命を預かるということと日々のお世話に関して覚悟はできていると思います。そこにプラスブラッシングのお世話も欠かすことができないものとしてください。毎日のルーティーンにブラッシングを入れてしまえば、長毛種との暮らしがより楽しくなると思います。私は、1匹につきたった5分間のブラッシングを定期的にするように決めています。たくさんいるので、全員毎日できているわけではないのですが決めたことをこなしていくのも、なかなか楽しいです。