うさぎの健康

うさぎの体が喜ぶお部屋作り その1

『うさぎと暮らす』本誌で好評のコーナーに「見せて! あなたのうさ御殿」があります。よそのうさぎさんはどんな風に暮らしているのか?我が家のうさぎはどうしたら快適に暮らせるのか?と思い悩む飼い主さんは多いもの。今回は本誌過去記事から再編集して、うさぎの住まいのアイデアや実例をご紹介します。

たけるちゃんルーム(編集部取材)

野生うさぎから学ぶ
うさぎが喜ぶお部屋づくり

私たちと共に暮らすペットのうさぎ・イエウサギ(カイウサギ)のルーツは全て、かつてスペインやポルトガルなどに暮らしていたアナウサギにつながると言われています。繁殖や品種改良を重ねて世界に広がり人と暮らすようになった今もその本能や習性は色濃く残っているため、それらに配慮した部屋作りをすることで、うさぎが暮らしやすいお部屋にできるかもしれません。

※過去のアナウサギに関する記事はコチラ↓
●アナウサギを知るPart1
●アナウサギを知るPart2

ケージで暮らすこと

うさぎはご存じのように繁殖力の高い動物です。これは自然下において被捕食動物(生態系において下層に位置する)であることから種を残すためであると言えましょう。

そして現代ではかわいいうさぎと住宅の中で暮らす以上(よほど相性がよかった避妊去勢済のうさぎ、あるいは同性同士以外)、1匹ずつのケージスタイルで暮らすことは必須であります。おうちの中で未不妊のオス・メスをケージに入れず、自由にふれあう放し飼いは絶対にあってはなりません。ネズミ算でうさぎが増えていくこととなります。

国産のケージは、うさぎのための創意工夫されたケージがさまざま発売されています。大きさ、材質、扉のつき方など、うさぎのタイプに合ったものをショップの方に相談して購入しましょう。

※ケージでの暮らしはうさぎが運動できずかわいそう、とお迎えしたばかりの飼い主さんは思いがちです。しかしケージの中で運動させたいと考えてケージ内にトンネルやロフト、フットステップなどを配置するより(編集部はそれほどおすすすめしません)、(サークルで囲った)専用遊び場を作り、30分でもよいので1匹ずつお部屋で運動ができる時間を作ってあげましょう。若いうちは発情行動などが激しい子は走り回ってジャンプして、少しでも気分がリセットできる時間にもなります。

トンネル

ご先祖であるアナウサギはその名の通り穴を掘るのが得意で、縄張りの中にいくつもの巣穴を掘り、集団で暮らしていました。その巣穴は敵から身を守るためや寝床、子供を育てるためなどに使われた大切なものでした。そのため巣穴のような暗くて狭い場所を好むという習性を持っており、室内でも木製のトンネルや市販されているラビットハウスを置いてあげると喜びます。中を通って遊んだり、隠れ家にしたり、木などの素材ならかじってもOKと、幅広い用途が期待できます。

柔らかく保温性も高いハウス
中を通るなどして遊べるトンネル

床材

【足裏、足腰にやさしく】
野生のうさぎは比較的柔らかい土や草の上で過ごすことが多いですが、室内では硬いケージやフローリングの上で過ごすことになりがちです。滑ってケガをしたり、足裏の毛が抜けてソアホックになってしまわないよう、ケージ内やへやんぽエリアもできるだけ足に負担のかからない床材を選んで、中に敷いてあげましょう。
一般的には、スノコやマット、網や敷き藁などを使っている飼い主さんが多いようです。他には、わら座布団や塩化ビニールのクッションフロアマット、デスクの上で使用するような透明で厚めのビニール、コルク、人造羊皮(ペットの寝床の内側に使われている白く毛足の短いボアのようなもの)などを敷いているお宅もあり、各家庭での工夫が見られます。理想をいえば、柔らかくて、かじられても安心なもので、不衛生にならない素材ということになります。しかし、うさぎには個体差があるので、すべてのうさぎにとってこれが一番!ということはいえません。飼い主さんが自分のうさぎの特性をよく知り、それぞれに合う床材を決めてあげることが大切です。
ソアホックの原因としては、長い爪、粗悪で湿った環境、肥満、運動不足などがあげられます。飼い主の側で、うさぎの足裏を日頃からチェックして、ソアホックの予防に努めましょう。

トイレに乗っている時間が長い子も…(ソアホックの一因に)
うさぎに合わせた床材を(イメージ)

【ホリホリ対策】
アナウサギの短い前足は巣穴を作るため土を掘るのに適しており、現在私たちと暮らすうさぎたちもホリホリが大好き。本能的にやってしまう行動なので止めることはできません。ホリホリしてもよい環境を整えてあげましょう。
床に敷いてある布などはついついホリホリしたくなります。重しを置くなどして、掘った後に敷いた布がめくれないようにしましょう。また、ホリホリしている時にカーペットなどに爪が引っかかると骨折などの原因になります。床に敷くものは毛足が短く爪にひっかかりにくいものを探しましょう。
ホリホリ欲の強い子には、市販のホリホリ対策グッズで遊ばせて発散させたり、牧草などをホリホリしてもよい環境を整えるなど工夫しましょう。

短い前足

ケージの置き場所

野生のうさぎたちはそれぞれテリトリーがあり、巣穴の中でも決まった場所で過ごすことが多いようです。室内で過ごすうさぎもやはりお好みの場所があるようで、それはケージだったりサークルの中だったりします。基本的には隅っこや狭い所が落ち着くコが多いでしょう。
ケージはなるべく部屋の隅に配置してあげるほうが、うさぎも落ち着きます。ケージの出入り口の段差は負担になるので、ステップを設置しましょう。これがクッションの役割を果たし、足へかかる負担を軽減します。

ふさじろうちゃん邸(編集部取材)

次回はサークルスペースの作り方、うさぎのモヤモヤした発情をうさ晴らしできるおもちゃなどをご紹介します。