うさぎの健康

お泊り保育で『牧草好き』になれるカナ? その2

かねがね読者さんから届く「うちのこは一番刈り牧草が嫌いで…」というお悩み。本誌講師の中山ますみさん
は、そうした飼い主さんとカウンセリングしていると、まずおいしい一番刈り牧草を用意して、ちょっとした
アドバイスや工夫をすることで、食べてくれるようになる場合もあるとおっしゃいます。うさぎ専用牧草メーカーウーリーさんの一番刈りやオーツヘイを全面協力いただき、牧草苦手のうさちゃんを対象にしたお泊り保育を実施しました(本誌No.84より転載)。

今回のうさぎはライオンミックスの茶太郎くん

中山ますみさんによる牧草トレーニング開始!

今回、牧草一番刈りをほとんど食べないといううさぎ[条件:若い、健康・歯の状態に問題がない]を公募しました。
 
牧草一番刈りは、毎日せっせと与えているのに知らんぷりだと言います。果たしてお泊りして食を節制すること
で食べてもらえるようになるのでしょうか。飼い主さんから今までの食事内容をカウンセリングしつつ、らびっとわぁるどに1週間以上お泊りしていただくことになりました。
 
なおうさぎに食べてもらう牧草は、有限会社ウーリーさんからアメリカ産の一番刈りをたっぷりとご提供いただきました。

茶太郎(ライオンミックス・オス・2歳) 

DATA

体重:2.2㎏ 去勢手術:有
健康状態:問題なし 
お迎え:おうちで生まれたコ
おうちの環境:ほかにもうさぎが2匹いる(すべてオス、メス)
性格:おっとり、マイペース 
普段の食事:牧草(プレミアホースチモシー一番刈り)、食べないのでアルファルファ、ラビットフード(パルラビットフード)、おやつ類

お泊り期間:4月9日~4月19日(10泊)
牧草の給餌方法:牧草入れ兼トイレかごに牧草を山盛り(約100g)

オーナーのみんみんさんとカウンセリングする中山ますみさん
アルファルファの牧草だと食べてくれるそう
面会時のうんち

ますみさんが取り入れたこと

★牧草を食べ物として認識させる

★一番刈りを食べないため、与えているというアルファルファはやめてみる。
★おやつ、サプリは控える。

★食べる様子、うんちをじっくり観察する。一番刈りを食べたらよくほめる。

★牧草トレーを茶太郎が好む位置に置いてみる。

★遊ぶ時間を作りすぎない。牧草に向き合う時間を作る。

★ペレットは1 日1 回(晩のみ)ペレット10g ※牧草好きになるポイント、うっ滞防止にもなる。

ますみさんが取り入れている牧草トレー兼トイレ(100均の水切りかご)

結果レポート

お泊り後の体重
体重:2.1kg(-約100g)

お泊り中。次第に一番刈りを食べてくれるように・・・
時々、サプライズで生牧草をもらったよ!
徐々にうんちが大きくなって…
帰る日にはうんちが倍以上のおおきさになっていた

茶太郎くんは慎重派でこだわりが強い方かなと思いました。牧草を食べようとしているのにケージの前に人が通ったりすると気がとられてしまうこともありました。お泊り開始時はぼーッとしている状態でいるので、牧草に気を向けてもらうように、ケージの中に長くて1時間くらい何も入れない状態も作りました。これはわざとで、何もないから退屈な状態ですよね。そこにかご盛りの香りのよい牧草を投入するのです。
お泊り初日に茶太郎くんの牧草を食べる様子を見ていたら、かごから落ちた牧草を食べていました。かごの中と落ちた牧草を違う牧草だと思っているのかなと。なのでかごのサイドをカットして段差がないタイプに変えました。
これはビンゴ!で、牧草のにおいをかぐ、1口・2口かじる、食べ始める、という順で2日目夕方からはうんちが変わってきました。
また、興味を持ってかごを動かしたり、かごの位置を動かすという意思、こだわりが表れてきました。
私の接し方はよく声掛けをするようにしました。声がけと牧草を食べることをリンクさせたんです。
茶太郎くんが牧草を食べる―目の前で「えらいね~」とほめてあげる。食べたことに対して喜びを表現してあげるようにしたんです。またかごの位置もおそうじの時に「ここでいい?」「どうしたい?」とたずねて、彼の気に入る場所に動かすとガタガタと動かしたりしなくなりました。彼の意志が私に伝わったことで彼も満足なのです。
うんちを見てもらうとわかるのですが、お泊りして2日目の午後からは牧草をきちんと食べるようになりました。すると繊維質がとれて、腸の負担がなくなるので体が軽くなっていくんです。この後はよいサイクルに入っていきました。
うさぎには高い繊維質が必要なのだから、食べることが当たり前になるようにクセづけるのです。
牧草は一番刈りにオーツヘイを混ぜましたが、それも食べていました。一番刈りは葉の部分を好み、茎は食べてはいますが、残してもいます。それでも健康なうさぎには、根気よく一番刈りを与え続けます。なぜならば2番、3番は圧倒的に繊維質量が落ちます。でも彼のかごを見てもらうとわかりますが、すごく全体のカサは減っていますよね。
10日目の現在、まだまだ茶太郎くんの腸内環境は変わってくるかもしれない、まだまだ成長中かもしれない。もしくは彼が一番刈りを食べて出すうんちとして10日目のサイズがマックスかもしれない。それはわかりませんが、この腸内環境の安定した状態をおうちでぜひ持続してあげてほしいんです。
茶太郎くんの食の改善は正直簡単ではありませんでした。でもすごく私も勉強になりました。いわゆるうさぎのオス!という感じでもない、デリケートな部分があるのです。それを個性と思って、人間側があせらず、茶太郎くんが安心できる時間をたっぷり作ってあげてほしい。
牧草に関しては「いつも当たり前にあるもの」ではなく、退屈な時間をあえて作ってから「はい、どうぞ!」ととっておきのように入れてあげて彼の気を引く、関心を集めさせるツールにすること。そして食べていたら外国人のようなリアクションでほめてあげてほしいのです。「よく食べたね~」って。少し技術はいりますが、みんみんさんの接し方次第で、茶太郎くんは答えてくれると思います。

牧草を食べた後のかご

編集部からのお知らせ

おうちのうさぎが牧草をあまり食べない…うんちが黒くて硬い、うっ滞になることが多い、とお悩みの飼い主さま。そのお悩み、解決のお役に立てるかもしれません…。この企画は今現在も(1月初旬)うさちゃんを募集しております。

5歳まで位のうさぎで不正咬合でないのに牧草を食べないというケースの場合、中山ますみさんのショップ(東京都杉並区)にお泊り保育してみませんか? 遠方の方もお預けカウンセリングと、お引き取りにご来店いただけるのであればお受けいたします。

下記までうさちゃんのプロフィール、簡単にお悩みをご記載の上、うさくら編集部までご一報ください(メール:info@usakura.tokyo)