うさぎの健康

高齢うさぎに多い病気③

生殖器疾患

うさぎは交尾後排卵動物であり、一年中繁殖期である動物です。メスは常に卵巣からエストロゲンという子宮内膜を刺激するホルモンが分泌されています。自然界のうさぎは妊娠することでエストロゲンの分泌が減少するため、子宮内膜への刺激がなくなりますが、おうちで暮らすうさぎは性成熟した生後6ヶ月以降も出産をするわけではないので、エストロゲンが過剰に分泌されることになります。この状況が長く続くことで生殖器疾患を発症する可能性が高まります。

高齢になると免疫力が落ちることにより、ホルモンバランスが変化してくることで生殖器疾患の発症の可能性が高まります。メスだけでなく、去勢をしていないオスにも生殖器疾患が出てくることがあります。

シニアになると体力面で手術に耐えられない場合がありますので、手術に耐えられる体力があるかの見極めと、体にメスが入る、麻酔といううさぎへのリスクもあるため、体力のある若いうちに予防的に避妊手術を検討することも必要です。うさぎは3歳過ぎから生殖器の疾患が増えるともいわれています。

メスの場合は子宮や乳腺の腫瘍などが多く、オスの場合は精巣炎、精巣腫瘍などが多く、定期的な健康観察が大切です。

乳腺腫瘍

シニア期のメスに起こりやすい病気です。若い時期の偽妊娠や授乳中のうさぎに起こりやすいのは乳腺に生じる炎症、「乳腺炎」があります。乳腺腫瘍は乳腺炎から進行することもありますが、加齢によるものもあります。乳腺や乳房にしこりができ、腫れが大きくなり床などにこすれると炎症することもあります。悪性の場合が多く、急速に腫瘍が大きくなって皮膚が破れることもあります。リンパ液を介してリンパ節や肺などに転移することもあり、早期発見が大切です。
外科手術で腫瘍を摘出することが望ましいですが、高齢のうさぎや摘出が困難な場合は抗がん剤などの治療を行う場合もあります。

乳腺腫瘍の有効な予防は避妊手術といわれています。それ以外は早期発見が望ましいので、体をさわってあげてしこりや腫れなどの異常に気付くことが大切です。

胸元のマフや毛に覆われているので、触診では乳腺周りの異常を発見しづらいかもしれませんが、発情している時期は乳首が目立つなど、状態がわかりやすい時があります。小さなしこりが手に触れることがあったら見逃さず、病院へ行くことが大切です。

乳頭

うさぎの乳器は通常4対(8個)の乳房からなり、それぞれの乳房は小さな隆起をつくって胸部から足の付け根にかけ腹部外側に並列する。一般に胸部より後方にある乳腺の方がよく発達していて大きい。

乳腺炎



●メスうさぎの生殖器疾患

※うさぎには「胸腺腫」も起こりやすい病気です。胸腺に腫瘍ができることで、呼吸異常や眼球突出などで気づきます。小誌でおなじみのつるのしんきちドクターの下記のページがわかりやすく紹介されています。

https://exoroom.jp/usagi/2021/12/10/kyousennsyu/

精巣腫瘍

オスの精巣にできる腫瘍です。片方、もしくは両方の精巣が固く腫れ、片方にできている場合はもう片方が萎縮します。両方の精巣を摘出する手術を行いますが、高齢に多いことや良性であることが多く、すぐに手術をせず様子をみるケースもあります。

メスの避妊手術同様、去勢手術を若いうちにしておけば防ぐことができるので、リスクも含めて検討しておくとよいでしょう。

健康状態
腫瘍で片方が腫れた精巣
スノコですれたりすると痛いかもしれません…

●うさぎの去勢手術