うさぎの基本

品種クローズアップ「mixウサギ」(2)

統計的に国内にいるうさぎの品種はmixがたくさんいると考えられます。mixウサギのルーツなどをご紹介した前回に続き、今回はMixウサギと暮らす方のご意見や、Mixうさぎに関するQ&Aをご紹介します。(うさぎと暮らすNO.19より改編)

mixウサギと暮らす方の声

ご長寿mixと暮らす

<チョコ、当時10歳、オス> 飼い主:Cさん

体重:約1㎏

性格:食っちゃ寝をひたすら繰り返す、ぐーたらの性格。一部の人にしかなつきませんが、好きな人にはフレンドリー。座布団が大好きで、よく穴掘りで座布団に穴を開けてしまうので、度々買い直しています(笑)。

食事:主食はペレットと水。他に、野菜、りんごとかも時々与えています。

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お迎えのいきさつ

小学生の時、飼育委員をしていたCさん。飼育していた親うさぎが育児放棄をしてしまったため、仔うさぎのうちの一匹を飼うことにしました。それが今、10歳になるチョコくんとの出会いでした。

チョコくんをお迎え前のうさぎのイメージは?

「おとなしいけどなつかない、指に噛みつく、水を飲まないとか(笑)。でも実際は、活動的で、思ったより飼うことが難しいなと思いました」

どのような環境で暮らしていますか?

「室内で放し飼いなので、足の裏を傷めないように、じゅうたん等を敷いて、ケージは人の動線があまりない部屋の隅っこにタオルをかけて、ケージの中があまり外側から見えないようにしています。
若い頃はケージを置いている部屋(6畳ほどの広さ)の他にベランダや隣の部屋まで走っていくほど活発でしたが、5~6歳を過ぎたあたりからは、食っちゃ寝を繰り返して過ごしている感じで、ケージのある部屋しか動かなくなりました。人間と同じで、歳をとって体を動かすのがおっくうになってきているのかもしれませんね。でも、けっこう物には乗ったりするので、足の裏が傷まないように硬いものはチョコの行動範囲に絶対置かないように気を付けています」

健康上、気をつけていることはありますか?

「これまで大きな病気やケガなどなく暮らしてはいますが、お腹は弱く、野菜によってはすぐお腹を壊すので、普段からフンをよく見て、調子が良いかどうか見るようにしています。
8歳くらいからは、涙腺が弱くなり、目やにや涙が大量に出るようになりました。今は病院に行って、うさぎ用の目薬を処方してもらっています。
チョコはなぜかポテトチップのうす塩が大好きなんです。本当なら食べさせるのをやめたいのですが…老後の生きがいになっているのではと思うと、正直なかなかやめられないでいます」

長寿の秘訣は、何だと思いますか?

「あまりかまいすぎるとうさぎにもストレスが溜まるかなと思うので、適度なスキンシップ・適度な自由がいいのかなと思っています。そばに来たらかまってあげて、ケージにいたり眠そうな時はそっとしておいたり。人間と同じように機嫌のいい日悪い日もあるから、その日の様子も見ながら接するようにしています。
あとは、飼っている家の家族全員がうさぎを大好きでいることが一番大事だと思います。

チョコくんの魅力は、何ですか?

「うさぎは、犬や猫にない魅力が沢山あるので、はまると抜け出せなくなりますね(笑)。かわいがってあげればちゃんと応えてくれる…そこが何ともいえません」

mixウサギ&純血種と暮らす

<レオ、当時3歳、メス> 飼い主:Mさん

体重:約2.3㎏

性格:わりとマイペースですが、好奇心は旺盛。人見知りをせず、誰にでもペロペロするような人間大好きっ子。恐るべき学習能力の高さで、すごく繊細

食事:ペレットを朝夕10g、たまに野菜、ごほうびにドライフルーツをあげています。

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2代にわたり、mixウサギと暮らしていたMさん。取材時もmixウサギのレオちゃんとホーランドロップと暮らされていました。

レオちゃんとの出会いを教えてください。

「レオとは、先代を亡くした直後、たまたま行ったホームセンターで出会いました。先住のmixがやきもちを焼くかと悩みましたが、その後、何度か父と母がホームセンターに通い、気がついたら家に連れて帰っていました(笑)」

レオちゃんはどんなうさぎですか?

「レオは、時には赤ちゃん、時にはアネゴのように、人間の面倒を見てくれるような優しい子です。夜は、母と一緒に布団に入り、腕枕で寝ています(笑)。また、太りやすい体質で、膀胱炎の経験もあるため、カルシウム分の多いものにも気をつけて、野菜もカロリー計算して与えるようにしています。でもお腹が空くと、誰もいない時を見計らって台所に野菜をあさりに行ったりしているようで…」

レオちゃんとホーランドロップのJちゃんの仲はどうですか?

「レオとJは、とても仲が良く、先代のこは2階の私の部屋から1階のレオがいるリビングまで階段を降りて遊びに行くほどで、いつも寄り添って並んで休んでいたりしました。
ところが、Jを迎えた時は、Jを攻撃したりして、そんなレオを初めて見ました。何度か会わせましたが、レオはどうしても受け付けないようで、レオの意見を尊重して、今は会わせないようにしています。また、レオは元々甘えん坊な性格なのですが、昔よりも甘えるようになりました。部屋は完全に住み分けをし、レオは1階に放し飼いにしていて、リビング全体がテリトリー、Jは2階の私の部屋で暮らしています」

mixウサギとしてのレオちゃん、純血種としてのJちゃんのそれぞれの魅力は?

「個人的には、純血、mixということは関係ないのですが、Jは純血のホーランドに言われている性格が見えたり、そうじゃない部分が見えたりで、色々と発見があって見ていて楽しいです。レオはとても、優しく、人に癒しを与えてくれる素晴らしい子です。今まで飼っていたうさぎたちも含め、十匹十色なので、種類に関係なく、色々な性格があるではないかなと思います」

mixウサギ何でもQ&A

mixウサギに関する素朴な疑問にお応えします。

Q:mixウサギと純血種の違いは何ですか?

A:純血種のうさぎは、それぞれ品種ごとにスタンダード基準があり、3世代にわたり、どのような繁殖が行われているのか、ブリーダー名などが血統書により証明されています。このように徹底した管理下にて繁殖が行われているのが純血種です。mixウサギは、国内繁殖場などでミックスされたものなので、血統管理は行われず、誕生日なども不明な場合があります。

Q:純血種とmixの違いがわかりにくいです。純血種にもうさぎのように耳が長い、顔が長い、体が大きいタイプのうさぎがいるのはどうしてですか?

A:ネザーランドドワーフやホーランドロップ、アメリカンファジーロップなどのドワーフ種(小型種)は、『体のサイズが小さくなり、耳が小さく、頭が丸く大きく、目が大きくなる』というドワーフ遺伝子を持っていています。しかし純血種同士の交配であっても遺伝子の確率上、その特長が現れないタイプが生まれます。ネザーランドドワーフでは、『フォースドワーフ』といって、体重が1kgを超える、顔が丸くない、耳が長いタイプがそれです。しかしこれもれっきとした純血種であるため、mixのたち耳と区別がつきにくいことがあるのです。

ちなみに我が家のネザーオレンジも顔は丸かったですが、耳は長かったです。でもショー用のラビットではありませんし、飼い主さんにとってかわいければOKなのです^^

Q:mixウサギは毛質、毛色がさまざまなのはどうしてですか?

A:純血種以外のうさぎには基準がありません。言い換えれば、mixウサギはすべてオリジナルのうさぎで、似たようなうさぎは少ないとも言えるでしょう。毛質や、毛色だけでなく、耳の形、長さ、顔の特徴もどれも違っていて当たり前なのです。

Q:mixウサギの飼い方は?

A:うさぎは、品種に関係なく、最初に迎え入れてから最低1ヶ月間の接し方が大切です。最初の1ヶ月間はケージ内で過ごさせ、うさぎとの交流は抱っこのみで行うようにしましょう。そうすることにより、うさぎはケージ内が安全なくつろげる場所となり、トイレの場所も覚えることができます。うさぎが安心してくつろぐ環境があれば、繊細なうさぎも安心して暮らせるようになるでしょう。

Q:mixウサギは、柄や色が変化していくというのは本当ですか?

A:Mixウサギは成長するにつれ、見た目もどんどん変わっていくケースが多いです。顔の一部の毛色がだんだん濃くなって顔の印象が変わったり、身体にできた模様が変化したり、右と左では身体の模様が違うこともあるので、見る角度によっては別のうさぎに見えたりすることもあります。ダッチ種の遺伝子が強いうさぎは、比較的見た目の変化は少ないようです。

Q:mixウサギがかかりやすい病気はありますか?

A:特異的なものはありません。血統や血筋によって異なります。動物は、例えばハスキー犬は目が弱いとか、うさぎは毛色によって足裏の皮膚が薄くなるなど、毛や体格を決める遺伝子が病気の遺伝子とセットになっていることが多くあります。Mixウサギは、色々な遺伝子が入っている分、病気が発症する確率が少ないともいわれています。

Q:mixウサギは、他の種類のうさぎより寿命が長いというのは本当ですか?

A:うさぎは犬猫と違って純血種と交雑種を比較しても、寿命の差が少ないようです。ただ、特異的な病気がない分、丈夫な子が多く、長生きな子も多いかもしれません。

Q:用意したケージが小さいように感じます。このままでよいのでしょうか?

A:うさぎは生後半年で大人うさぎへと成長しますが、mixはどれほどの大きさになるのか予想がつきません。基本的にケージのサイズは、身体をのばした状態でくつろげる広さ以外にも、背伸びした状態でも頭の上に余裕がある高さのものを用意してあげる必要があるでしょう。また身体が大きくなるにつれ、排泄物の量も増えていきます。トイレも大きめの物を用意し、身体を汚さないようにしてあげましょう。

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Q:ペレットをたくさん欲しがるのですが、欲しがるだけ与えてもよいのでしょうか?

A:成長期(生後半年)までは食べ放題でもいいですが、骨格が発達し、体重が落ち着き始める頃からは、食べ放題にはせず、朝晩の決めた時間に、決めた量を量ってあげるようにしましょう。成長期を過ぎた段階で、高カロリータイプから、低カロリーのタイプに過ごしずつ切り替え、栄養成分が多くなりすぎないようにコントロールしましょう。特にmixうさぎの場合は、純血種のようなスタンダードが決められておらず、その個体によって身体の大きさが違うので、自分のうさぎの理想体重を把握し、定期的に体重を測定し、毎日身体にふれて肥満にならないよう注意しましょう。

Q:mixウサギと純血種、飼育方法に違いはあるのでしょうか?

A:純血種は改良種なので、野生味が薄れ、人に慣れやすいとされています。一方、mixの場合はどちらかというと慣れるまで少し時間がかかることもあるようです。(たれ耳とたち耳ではたち耳の方が警戒心は強いのは確かです)。しかしどちらもうさぎである以上、生態は同じ。まずはうさぎとはどのような動物なのか、食生活、飼育環境などの情報を、きちんと知ることが必要です。

mixウサギの今と未来(追記)

mixウサギのジャンルにおいて10年単位では大きな変動はありませんでした。2022年現在も、ペットショップでは「ミニうさぎ」の名称で仔うさぎを販売しています。相も変わらず色、柄、大きさ、そのどれも共通したものや基準はありません。ショップには月齢が若く、手のひらサイズ、数百グラムの状態でいることもあるので、本当にフワフワでかわいいです。しかし前回も述べたように月齢が若いうさぎは健康的にまだ不安定なのでお迎えはおすすめしません。1ヶ月半をすぎた、健康状態のわかるうさぎとの出会いをおすすめします。

そして純血種と比べればお値ごろな価格の場合が多いでしょう。しかしそうであるからといってお気軽に迎えられるものではありません。ご長寿なこでは15年以上を一緒に過ごすことができるのです。どうか慎重なお迎えをしていただきたいです。

先日もツガイから飼育を始めて100匹まで増えてしまったというニュースが大きく報じられました。動物愛護の法整備以前に、うさぎのお迎えは気軽なものではなく、生涯食費・用品費や避妊・去勢、通院費も高額になることを考慮いただいて、お迎え前にはぜひ当社の「うさぎと一生暮らす本」などの生態に関する書籍を読むなど、果たしておうちにうさぎを迎えられるキャパシティがあるかどうかを重々ご確認の上、ご家族で話し合ってからお迎えしていただくことを切に願っております。