うさぎ年のおかげか、今年はうさぎにまつわるグッズや書籍が増えている気がしてうれしいこの頃。今回はうさぎがたくさん登場する、うさぎと暮らす・暮らした作家さんが描いた絵本『うさぎのクーモ』をご紹介します。
『うさぎのクーモ』
内木場映子:原案、絵
村野美優:著
クルミド出版
¥3,300(税込)
弊誌『うさぎと暮らす』でも何度も取材にご協力いただいている銅版画家・内木場映子さんの初となる絵本『うさぎのクーモ』が2023年4月に発行されました。内木場さんが原案と絵を担当し、内木場さんとも旧知の詩人・村野美優さんがストーリーを担当。そのお二人ともがうさぎと暮らした経験をもつだけあって、うさぎへの愛が伝わります。
ストーリーは、少女・みづきと白うさぎ・クーモを中心とした、愛するもの――「いちばんのなかよし」を失った者たちによって紡がれる、めぐるいのちへの希望の物語。喪失と再生をあたたかく美しい世界観で描いており、うさぎと暮らす人もそうでない人も心に響くものがあるはず。月の描写がまた、うさぎ好きには刺さるのではないでしょうか。
もちろんほかにも、うさぎ好きには見どころがいっぱい! やわらかなうさぎの手触りや可愛らしさが伝わるページばかりで、またかわいいだけでなく、うさぎのふとしたポーズや表情などにもうさぎを飼っていた内木場さんならではのリアリティが感じられます。
銅版画の製作は絵画とはまた違い、大変な手間と時間がかかります。銅の板を少しずつ削ってへこみで線を描き、そこにインクを入れて、専用のプレス機で圧力をかけて紙に写して……といった作業を、試行錯誤しながら何度も繰り返してやっと完成。その銅版画を全28枚も使用したこの作品は、製作期間なんと6年以上!
絵本でありながら銅版画の画集ともいえる贅沢な一冊です。
「版画を腐食させることでざらざらした面での濃淡を表現するアクアチントや、実際の押し花や葉っぱ、レースなどの模様を版画に写し取るソフトグラウンドなど、一枚一枚の絵に凝らされた銅版画ならではの表現を味わってもらいたい」(発行人解説より引用)とあるように、作品集としても何度でも楽しめるのも魅力です。
今後の原画展の予定
本と茶「NABO」by VALUEBOOKS (長野県上田市)
https://www.instagram.com/nabo_valuebooks/
展示期間:5月12日(金)〜28日(日)
営業時間:12:00~18:00 営業日:金、土、日
※絵本のご購入はクルミド出版HPなど
●クルミド百貨店