うさぎの基本

うさぎのきもち PART3

かわいいしぐさ、変わったしぐさ、面白いしぐさ、また気になるしぐさ、あやしい(?!)しぐさなど、うさぎのさまざまなしぐさを見ていくと、表情の豊かさに気づかされることでしょう。ここでは、しぐさから見る感情を解説します。もっとうさぎと心が通じ合えるかも?(監修:中山ますみ/らびっとわぁるど・出展:当社刊『うさぎと一生暮らす本」より)

ここから、行動から見るうさぎの感情をご紹介します。
(喜び=喜、遊び=遊、怒り=怒、哀しみ=哀、恐怖=怖、好む=好、安心・安堵=安、興味=興、求愛=愛、驚く=驚、攻撃=攻、学習=学、習性=習、本能=本、緊張=緊)
で表していますが、環境(人間の家族構成・接し方・うさぎの飼育環境・性格など)によってうさぎたちの表現方法は異なることがあります。あらかじめご了承ください。

前足のしぐさ

うさぎの前足はとても短く、他の動物と比べるととても不器用な感じがします。でもそのしぐさがまた、たまらなくかわいく見えるものです。実は、うさぎはうさぎなりに前足をうまく使いこなして、感情表現をしているのです。

掘る&埋める(本・習・緊)

私たちと暮らすうさぎの本来のお仕事は穴を掘るということ。穴を掘るのに性別は関係ありませんが、やはり「家を守る」という点で、メスの方が一生懸命に掘り続けます。
よくケージの中や部屋のある特定の場所をずーっと掘り続けていて、「どうしちゃったんだろう?」と心配になってしまうことがありますが、季節の変わり目や発情の影響が関係していたりします。
特にメスうさぎの場合、一時的に怒りっぽくなったり、かと思ったら人なつっこくなったりと情緒不安定な行動が目立ち始めた前後、穴を掘り始めると、呼んでも気づかない程、一生懸命に無心になって穴を掘ろうとしています。
私たちの視点とうさぎたちの視点は違います。私たちには金網、座布団、絨毯、布などは「土」に見えませんので「何をやっているんだろう?」と不思議に感じますが、うさぎたちには掘る対象が『「土」でなくてはいけない』などと考えていません。
「何でもいいから掘らなきゃっ! 掘らなきゃっ!」という思いが先走っているだけなのです。
ある程度「掘ったな」と納得したうさぎはその掘った穴を埋めていく動作をすることもあります。これは母うさぎが子供を穴の中に隠すための動作。愛情に満ちた行動なのです(オスうさぎでもする場合がありますが…)。
その他の理由としては自分以外の匂いを発見した時に、その匂いの場所を掘っていることもあります。

手でパンチ!(怒・攻・怖)

時に私たち人間や置いてある物に対して叩いたり、押さえたり、ひっかいたりすることがあります。
自分のテリトリーに入ってきた侵入者(物)に対して両前足で威嚇します。この時、鼻で「ブッ!」や「ブゥッ!」というような低い音を短く発することが多いので、簡単に見分けられるでしょう。
強いうさぎの場合、自分の通る場所に邪魔なもの(人)が立ちはだかっていると「どけぇ~っ!」と言わんばかりにひっかいたりするコも…。
もし、主従関係を保ちたいのであれば退かずに「あなたが回り道をしなさい」と、行き先を示してあげてください。主従関係をあまり考えていなければ、道を譲っても譲らなくてもよし。でもたまにはうさぎに回り道をさせてくださいね。

前足で洗顔⁉(習・緊)

うさぎはとてもきれい好きです。耳や目、鼻、口などを前足でこすって、念入りに顔を洗う光景はよく見かけます。
まず顔を洗う前に「パシッパシッ」と両前足をはたいています。まるで土の上や中で生活していた時代の名残と思わせるようなしぐさ。そう、足についた土をはたいているようなのです。
それだけではありません。両前足をはたき終わると、今度は手のひらをなめ始めます。これから洗顔するのに汚い手で洗顔するわけにはいきません。きれいにし終わるとゆっくりゆっくり顔を洗い始めます。手のひらをなめたことで、手のひらの毛が濡れ(湿り)ます。その濡れた(湿った)状態で汚れた所や匂いのついている場所などをこすることできれいにしているのです。
また、うさぎは真剣に何かの匂いを嗅ぐと、決まって鼻をきれいに掃除しています。これはうさぎの鼻の部分にある、匂いの分子を吸着させる場所をきれいにしているのでしょう。よく匂いを嗅いだ後は、匂いの分子が鼻にたくさんついています。それをきれいに拭き取らないと別の匂いの粒子がくっつかなくなります。
そしてもう一つ。うさぎ自身に緊張が感じられた場合、毛づくろいをすることで自分を落ち着かせようとします。私たちが困った時などに頭をかいてしまうのと同じ行動です。

かじる

うさぎは、感情を表す手段として、何かをかじることがあります。また、どんなものなのかな?とか、一体これは何だろう?という興味からかじってみるなど、かじるにもさまざまな理由があるようです。

ケージをかじる(怒・興・学)

日常ケージの中で過ごしているうさぎはたくさんいます。ある時、突然ケージをかじりだした、といううさぎはとても多く、飼い主さんを悩ませます。では、なぜかじりだすのでしょう?

  1. お腹がすいた。
    「おなかがすいたー!」、「もっとおやつちょうだーい!」
  2. 遊びに出たい。
    「みんな(人)外(ケージの)にいるんだからボク(あたし)も出たいのー!」
  3. ひまつぶし。
    「ごはんも食べたし、何もすることがないなぁ…。おっ、かじってみたらなかなかおもしろい振動が口に伝わるぞ!」

他にも理由はありますが、うさぎは思っているより腹時計はしっかりしていますし、周辺をよく観察しています。飼い主さんの行動を常にチェックしているのです。
硬いケージをかじり続けると、歯の削れ方が斜めになったり、欠けたり、ひどくなると不正咬合になる恐れがあります。
叱って辞めるコもいますが、なかなかやめないコもいます。言い聞かせてもやめないコには、人の姿が一時的に見えないように工夫したりするのがもっとも効果的です。
ケージをかじる度、うさぎの傍にいってしまうと「ほほぅ、こうやってケージをかじると傍に来てくれるんだな。(かまってくれるんだ)」とうさぎは違う解釈をしてしまうので気をつけましょう。

柱や壁(紙)などをかじる(遊・好・学)

柱、壁(紙)、家具などをかじるうさぎはとてもたくさんいます。日常、私たちが当たり前のように使っている家具や、何とも思っていないような普通の柱や壁(紙)…。
アナウサギとして野生でうさぎが生きていく上では、まったく必要としてこなかった物たちです。使い方もわからなければ、なぜ必要なのかもわかりません。それは好奇心が強いうさぎにとっては興味がわくことでしょう。
壁紙をかじってみたら次々にはがれて「何だ⁉ ひっぱったら何かがくっついてきた♪ またやってみよう!」、家具をかじってみたら「んっ⁉ 木の匂いが強くなったぞ? 歯ごたえもいいな♪」などと思っているかもしれませんね。
しかも、木でできている家具や壁紙、本、雑誌などは繊維質が含まれています。日頃から牧草など、繊維質を主に食べているうさぎが、その匂いをかぎとって食べてしまうのは止められません。また、なかには自分の印(なわばり)として傷をつけておくこともあります。
かじった物は、少なからず口から体内へ入ってしまいます。大きな事故を未然に防ぐためにも、かじられたくない、またはうさぎのためにかじってほしくないという物がある場所でうさぎを遊ばせるのであれば、かじらせないような工夫をすることも必要です。

人が着ている衣服をかじる(怒・遊・好)

うさぎを抱っこしていると衣服をかじられて穴をあけられちゃった~、なんて経験をされた方も多いはず。何か理由があるのでしょうか?

  1. 基本的にうさぎは抱っこが嫌いです。
    嫌いでも我慢していい子にしているけれど、うさぎにもがまんの限界があります。そんな限界に達したとき「ボリボリボリ…。」うさぎの限界サインです。「いい子にしていたね~。がんばったね。」と開放してあげましょう。
  2. 何の匂い?
    うさぎは匂いに敏感です。人間にはわからない匂いもきちんと情報収集できます。自分の嫌な匂いや他のうさぎの匂いだったり、うさぎにとっておいしそうな衣服の化学繊維を、食べてもいいものかと勘違いしたり…。

うさぎの感覚は底知れないパワーがあります。なかには、決まった生地にしか反応しないコもいます。もしかしたら好きな生地はかじらないかも⁉
いずれにしても、かじってしまう場合は、うさぎの頭部を上側から手のひらで覆い、指先がうさぎの頬にかかるようにし、少し力を入れて頭部ごと衣服から離し「それはしてはいけないこと」だときちんと伝えてください。これが理解できるようになると、がまんができるようになるでしょう。

うさぎのきもちPART4に続く