うさぎと暮らすNO.55より―(一部写真改定)
牧草やラビットフードのメーカーとして長きにわたり、うさぎの胃腸構造、消化の仕組みを研究してきたウンチ研究家・小澤邦世さんに、うさぎのウンチのメカニズムとよいウンチと食餌の関係についてお話しを伺いました。
今回は「ウンチをまじめに見てみよう!その2」の続きになります。まだ見ていない方はぜひこちらもご覧ください。
食事はバランスを重視
『一番刈りの牧草を食べ放題にして、たっぷり食べさせましょう!』という考えが、うさぎの飼い主さんにはかなり浸透していると思います。もちろん、うさぎの健康維持のためにもっとも必須な食べ物ですが、一番刈りだけでお腹いっぱいになってしまうこと? ここには「待った!」があります。
チモシーだけに偏りすぎない
私はそれを『ティモシー過多』であると考えています。 食生活はバランスが大切です。人もりんご、バナナ、もやしなど、一つの食材ばかりを食べるダイエットがはやりますが、こういった方法は栄養が偏って、肌がカサカサになる、免疫力が弱まるなどの弊害が出てきます。四季折々の旬のものを取ることが望ましいのは栄養価が高く、さまざまな栄養をバランスよく摂取することができるからです。
つまり、ティモシーも一番刈りだけをせっせと食べてもらうよりも腹八分目くらいにし、イネ科でも違う種類の牧草や、総合栄養食であるペレット、5種類以上の野菜を1種500円玉分くらいでよいので、食べてもらうことも大切なのです。
この栄養バランスにお水たっぷり(100~200ml)を切らさないこと。
盲腸糞を残す…
盲腸糞を見たことがないという方もいれば、週に1度くらいは見る、などという方もおられます。盲腸糞はうさぎの体に必要なビタミンB群やタンパク質など、体に必要な栄養素を含んでいるので、うさぎは本能的に食糞(自ら肛門に口をつけて食べる)をしていますが、これを残すのは、肥満、食糞の行為が苦手、またはうさぎが通常の食事(一回目の栄養吸収)で栄養過多となり、おなかがいっぱいというサインです。
栄養過多であればペレット(総合栄養食)やおやつを減らすなど食事内容を見直してあげてください。1週間に1~2回(ひとつ)見る程度がちょうどよいかと思います。だって、盲腸糞をまったく見たことがない場合、普段の食事で栄養が足りていないために全部食べている可能性もあるのですから…。
ウンチに毛が混ざっている…
本来は毛が体外に排出されているという意味なのですが、その毛の量が目立つ場合、飼い主さんにグルーミング不足であるということを指摘させていただいています。野生のうさぎは四季を肌で感じて春と秋に換毛しますが、現代の飼いうさぎは室内の温度設定が一定なので、季節感がありませんから、だらだらと換毛する場合が少なくありません。また、避妊・去勢手術の影響でホルモンが乱れ、一年中換毛するうさぎも多いです。つまり、毛がたくさん抜ける動物なのだから、飼い主さんがグルーミングをして当然という意識を強く持つようにしていただきたいですね。
グルーミングが自分でできないという方のためにプロのお店があるのですし、抱っこができないという方には手を湿らせてうさぎの体を「わしゃわしゃ」とマッサージしながら、毛をからめ取る方法(何回か繰り返す)でよいので行うようにしてくださいね、とお話しています。
ウーリー「スタンダードブルーム」
牧草が苦手、歯の悪いうさぎにも最適。4種類のイネ科牧草をたっぷり配合。穀物の粘性を抑えた低温加工。食材を20種類以上使用した栄養バランスに優れたフード。ステージ別にシニアブルーム、スペシャルブルームもあります。