うさぎも人間と同じように、年齢を重ねるほどに視力や聴力が衰えたり足腰が弱くなったりします。こうした身体に起こる変化が老化と呼ばれ、老化に伴って身体の不調は増えてゆきます。以前の記事で「うさぎに多い病気」として、消化管うっ滞、スナッフル、膿瘍、斜頸を紹介しました。これらの病気は一生注意が必要ですが、今回は高齢うさぎがかかりやすい病気を紹介します。気を付けて観察・ケアすることで健康ご長寿うさぎを目指しましょう。
高齢うさぎがかかりやすい病気
- ソアホック
- 膿瘍
- 歯科疾患
- 鼻涙管閉塞
- 流涙症
- 白内障
- 目の感染症、膿瘍
- 慢性の呼吸器疾患
- 生殖器疾患
- 慢性腎不全
- 尿結石
など
ソアホック
ソアホックは簡単に言えば足裏の毛が抜けるなどして皮膚が露出し、皮膚炎やタコ、深い傷などができてしまうものです。高齢うさぎになると毛づくろいの頻度が減る、被毛が減る、皮膚の水分や弾力が減る、運動不足などの様々な要因からソアホックにかかりやすく、治りにくくなります。
ひどくなると強い痛みを伴い、膿瘍などができる場合もあります。痛くて運動量が減って健康を害する…という悪循環にもなりかねません。環境によって発症や進行を遅らせることができるので、足裏にやさしい床材を使う、足裏が濡れないよう吸水性のある床材を使うなど、そのコに合わせて工夫しましょう。
また、処置をするとうさぎ自身が患部を気にして余計に毛が抜けてしまうこともあり、「この程度なら環境を整えて様子見で」と診断する獣医さんも多いので、自己判断で薬を塗ったりせず、動物病院で相談しましょう。
※ソアホックに関する過去の記事はこちら↓
●教えて!うさぎのソアホック1
●教えて!うさぎのソアホック2
膿瘍、歯牙疾患
うさぎは膿瘍ができやすい生き物ですが、年を取って免疫力が低下していると全身状態が悪くなり、より膿瘍ができやすくなります。
若い頃より食欲が落ちる高齢期は咀嚼が減って歯が伸びすぎになりやすく、不正咬合やそれを原因とした膿瘍が起きやすいので食事にも注意が必要です。膿瘍の原因の多くは歯に関係するものなので、若い頃から繊維質の多い食生活を心がけて歯を健康に保つことが大切です。
食事・環境・観察を整えて予防に心がけ、臼歯(奥歯)の定期的な検診やあちこち体をさわってできものがないかチェックをしてあげましょう。
※膿瘍に関する過去の記事はこちら↓
●うさぎに多い病気その2
※うさぎの歯科疾患に関する過去の記事はこちら↓
●うさぎの歯その1
●うさぎの歯その2
鼻涙管閉塞、流涙症
鼻涙管が細菌感染などによって炎症などを起こして詰まってしまう症状が鼻涙管閉塞です。目を潤したり異物を洗い流すなどの役目を終えた涙は本来、鼻涙管を通って鼻の奥へ流れるのですが、その鼻涙管が詰まっていると涙が排出されないので、常に涙目だったり涙を流していたり、目ヤニが出てしまうのです。うさぎの涙は粘度も高く、涙やけで目の周りの被毛が汚れたり毛が抜けてしまうこともあります。
動物病院で鼻涙管を洗浄することで改善することもありますが、症状を繰り返して定期的な通院が必要な場合も多いので、原因となる不正咬合を予防・治療したり、刺激物(タバコや芳香剤、消臭剤など)をうさぎの飼育環境から取り除くことが必要です。
(参考資料:よくわかるウサギの病気と健康、うさぎの医学&動物病院ガイド、うさぎと一生暮らす本)
高齢うさぎに多い病気②に続く