うさぎの基本

【うさぎの雑学】うさぎにまつわる言葉学②

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奥深いうさぎの世界…。うさぎを愛する皆さまでも、まだまだ知らないことがあるかも?! うさぎに関する豆知識をご紹介。今回のテーマは温故知新。うさぎという言葉の成り立ちについてご紹介します。

うさぎの雑学①はこちら

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言葉としてのうさぎ

「うさぎ」という呼び名ができた起源についてご紹介します。少し難しい話しもありますが、お付き合いください。

古代の呼び名

古代日本では、うさぎは単に「う」と呼ばれていました。では「さぎ」とは何なのでしょうか? これは、鳥の鷺からきていると言われています。鷺のように白い「う」、あるいは内へうつむいた鷺といった説があります。これ以外にも諸説あって、細毛を意味する「サケ」だという説や短い尻尾の意「尾先切(おさき)」や、「薄毛(うすげ)」の転訛(てんか)とするといった説があります。

外国語起源説

さらには、インド古語であるサンスクリット語(梵語)起源説もあるのです。サンスクリット語では、うさぎを「ササカ」と言いました。中国経由で日本にもたらされた言語なので、これに漢字をあてて「舎舎迦」と表記します。これが「う」と合わさり、転訛して「うさぎ」になったのではないかという説です。

一方、朝鮮半島の古語では、ウサギを「烏斯含(ウサガム)」と言ったので、こちらが転訛したとする説もあります。『万葉集』の「東歌」には、「ヲサギ」という記述もあるそうです。

「うさぎ」の語源は意外とミステリアスですね…。

兎の漢字の成り立ち

現在、日本ではうさぎを「兎」と書きますが、これは俗字で、正字は「兔」(または菟)です。漢字の成り立ちには、象形、指事、会意、形声の4つがあり、兎は物の形からかたどった「象形」に分類されます。漢字の上部は長い耳を持ったうさぎの頭部、下部は短い尾を出して、うずくまっている形を表しています。また、くさかんむりがついた「菟」もうさぎを意味する漢字で、兔に点がない「免」は由来が全く違う文字だそうです。

現行の字では点にしか見えませんが、甲骨文字や篆書(てんしょ)などの古い書体を見ると、尻尾らしきものがあるそうです。

卯の漢字の成り立ち

「卯」の漢字は、門を無理に押し開けて中に入り込むさまを表しているそうです。草木が伸び出て地面を覆うようになった状態(生い茂る)を表しているそうです。十二支の1つである「卯」ですが、十二支自体が紀元前の中国で暦などを表すために使われ始めたと言われています。子から亥の12個の漢字は、中国で数を表すものです。
「卯」は十二支の4番目で、動物としてうさぎがあてられています。「卯」は、旧暦の2月(現在の4月)、時間は午前6時、方角は東をさします。

「卯」を「うさぎ」としたのは、庶民に十二支を浸透させるため、王充(おういつ)という人物が動物の名前をあてたそうで、順番やそれぞれの動物が選ばれた理由は定かではないそうです…。

現代用語では「うさぎ」「ウサギ」正しい表記はどっち?

新聞記者や校正者など文章のプロが執筆する際の用語統一の際、参照しているのが新聞用字用語集『記者ハンドブック』(共同通信社刊)です。「この漢字は使えるのか、送り仮名はどうすべきか」といったときに、社会全般の文章表記において推奨して使うべき基準を定めています。

果たして記者ハンドブックに沿って原稿を書く場合、うさぎはどう表記するとされているのでしょうかー。

「兎」…この字は常用漢字表にないため、使えません。ウサギ、あるいはうさぎと表記します。

なお、学術的な研究発表や医学書では「ウサギ」とカタカナ表記をしています。生物学では動植物名をカタカナで表記するのが正式です。この取り決めは戦後からで、生物名を明確に区別できるという利点があるからだそうです。

余談ですが、本誌「うさぎと暮らす」は「うさぎ」とひらがな表記なので、生物学上は誤りなのですが、カタカナより「うさぎ」という表記の方が印象は柔らかい印象になるのではと思っています。筆者は創刊時のメンバーではないのですが…。

うさぎ信仰

古代においてうさぎは鳥や竜、象などと同様に崇拝の対象になっていたと言われています。特に白いうさぎは霊のシンボル、再生のシンボルとして神性を有する生物であったそうです。

うさぎの場合は長い耳や後足が長いというビジュアル、足の速さ、1匹でも行動するという孤独性もあったのではないかと推察されています。

インドや中国では月にうさぎが住むと信じられており、日本でも月で餅をつくうさぎの話しは有名ですね。中国や香港では中秋節(ちゅうしゅうせつ)・旧暦の8月15日にあたる日を「中秋の名月」と呼びます(2022年は9月10日)。春節・端午節と並ぶ代表的な節句の一つで、国民の祝日になっており、家族で月にお供え物をして一家団欒を楽しむのが習わしです。

中秋の名月を祝うためのお菓子・月餅

うさぎは多産豊穣・繁栄のシンボルとされており、山形の熊野大社や埼玉県の調神社、京都の岡崎神社、鳥取の白兎神社など、全国各地にまつられている神社がたくさんあります。

岡崎神社
岡崎神社の狛兎

うさぎの数え方

さて、なぜうさぎはなぜ鳥でもないのに、「羽」で数えることがあるのでしょうか? これはかつてうさぎを家畜として扱っていた時代に用いられていたことが名残で、そのルーツには諸説があります。

1つは宗教上の理由で僧侶が獣の肉を食べるのを禁止されていたため、後ろ足2本で立つうさぎを鳥と見なして食べていた時代の名残、あるいは「ウ(鵜)とサギ(鷺)という2羽の鳥」ということで、「うさぎ2匹で1羽と数えるという説」「うさぎの大きく長い耳が鳥の羽に見えるためだとする説」「獲るときに鳥と同じように網に追い込んで捕まえたからという説」などが有力です。

現代ではうさぎを「羽」や「匹」と数え、みなさんそれぞれ自由にお使いですが、小誌では創刊時より「匹」で統一しています。

海外のうさぎ名詞

海外の言語では、英語表記は2種類あり、私たちと暮らすアナウサギはラビット(rabbit)、野ウサギはヘア(hare)となります。同じウサギ目ウサギ科ですが、属が違うのです。見た目も骨格が異なり、生まれた時から野ウサギは毛が生えていたり、巣穴で暮らさないなど、生体に明確な違いがあります。

そのほかの言語でうさぎの表記は、フランスのラパン(lapin)はよく知られていますが、中国ではトウツ(兎子)、韓国ではトッキ(토끼)、イタリアではコニーリョ(coniglio)、ドイツではカニーンヒェン(Kaninchen)、スペインではコネッホ(conej)と呼びます。

※参考文献/『百分の一科事典・ウサギ』(小学館文庫)、ウサギの日本文化史 赤田光男(世界思想社)