うさぎのアート作品を紹介していく「USAKURA ARTの旅」。今回はビスクドール作家の神宮字光さんです。
神宮字光さん
人気キャラクターの3Dデザイナーとして活躍したのち、家庭に入ってから趣味として始めた人形作りの楽しさにのめりこむ。2002年「DOLL SPACE PYGMALION」にて人形作家・吉田良氏に師事。2005年からは独立し、作品展などを行い始める。2011年から作り始めたうさぎのビスクドールは特に人気を集めている。(取材当時)
うさぎのドールを作るようになったきっかけは?
ビスクドールを始めてから数年は、退廃的なスタイルのドールを制作していました。けれども、2011年にあのような大震災が起こり、自分自身も精神的にダメージを受け、退廃的な作品を作りたいという気持ちが失せていました。それよりも自分を癒すためのもの、親しみやすいもの、そう考えて「うさぎの作品」を作りたいと思いました。小さい頃、うさぎを飼っていました。両親が共稼きでしたので、うさぎは私の優しい友達でした。人形として作ろうと思った時も、優しいモノを作る気持ちで臨みました。以前、キャラクターの3Dデザイナーとして働いていた頃、自分で制作したうさぎに似たキャラクターを、自身のアイコンとして好んで使用していました。今思い返すと昔からうさぎには親しみを感じていたように思います。うさぎのビスクドールを作るようになった時、自分のこれまでの可愛いものを制作するスキルが「戻ってきた!」と感じ、うれしかったです。うさぎのドールはとても好評をいただいていて、作品作りの中での比重が増えています。作っていてとても楽しいんです。
制作する上でこだわっている部分はありますか?
ビスクドールの魅力は透明感のある肌質です。私は赤ちゃんや子どもが好きなのですが、彼らの無垢な部分を強く意識してうさぎを造形しました。立ち姿も小さい子どもが立っているような感じにこだわりました。手足は小さい方がかわいいと考えていて、うさぎたちもそのように作っています。ドールのボディの中には骨を入れてあり、耳や手足が可動するようになっています。目はガラス製で自分で手作りしており、衣装は作家のミヒルさんにドールを渡して、寸法に合わせたものをオーダーメードしてもらっています。いつでも素晴らしいものが出来上がってきます。
制作や販売について
原型を作って、そこから型を作り、その型を使って磁器のうさぎのパーツを作ります。さらにそのパーツを焼成し、絵付けし、グラスアイを入れ、体を布で作ります。この工程はおよそ3ヶ月ほどかかります。作品はギャラリーなどの展示会で販売させて頂いております。お客さまの反応はとても好評でありがたいです。うさぎの人形をお迎えしてくださった方には、いっぱい遊んでほしいと思っています。また、見て優しい気持ちになってほしい。うさぎには幸せを運んでほしいという願いを込めています。