誰でも避けて通りたい、できれば向き合いたくない愛うさぎとの別れ。でもいつかは来るお月さまへ送り出さなければならない日を、私たちはどのように迎えたらいいのでしょうか。(『うさぎと暮らす』 NO25.より改編)
お月さまへ旅立つ時
どのように見送りたい?
突然来る別れ。私たちはその時、どのように向き合えばいいのでしょうか? ショックが大きく、事実を受け入れられない気持ちになるのは誰でも同じです。
でも、うちの子のために私たちが最期にできること、最愛の子を最期まで、きちんと見送りたいのであれば、飼い主さん自身が心を落ち着ける意味でもきちんとお別れの儀式を行いましょう。それを行うことで、頭だけでなく、目や肌で感じ、受け入れる心の準備ができるかもしれません。
また準備をして忙しく身体を動かすことで、気持ちも穏やかになってくることもあるでしょう。儀式を通して、自分の気持ちを素直に表現することで心が軽くなることもできるはずです。
辛くてもどのような葬儀をしてあげたいか、元気なうちから考えておくことが大切です。
なお、うさぎ専門店の方々は葬儀の仕方も詳しいの方が多いのでご相談してみてもよいでしょう。
葬儀・火葬の種類
- 合同葬……他のペットと一緒に火葬されます。お骨を拾うことや火葬に立会うことはできません。遺骨は、他の子と一緒に、合同の墓地などに納められます。
- 個別葬……火葬場にペットを連れて行き、または火葬場の方に自宅から連れて行ってもらい、個別に火葬されます。遺骨は、引き取るか、墓地へ納骨することができます。
- 立合葬……人間の火葬と同じように火葬場に行き、火葬に立会います。火葬したペットのお骨を拾い、自宅に持ち帰れます。また墓地へ納骨することができます。
- 自宅葬……火葬車に自宅へ来てもらい、火葬を行うことができます。遺骨は、そのまま引き取るか、墓地へ納骨することができます。
どのように供養してあげたいか、その思いを叶えてくれる方法はどれなのかを考えて、火葬の方法を選びましょう。まず、火葬後に遺骨をとっておきたい場合は、合同葬ではなく、個別葬を選びましょう。
合同葬はそのこだけでなく、さまざまな仲間と一緒に火葬されます。個別葬の場合、火葬場で立ち合いたいかどうかを選ぶことができます。自宅で葬儀をしたい方には、移動火葬車のサービスを行っている業者に頼んで行うことができます。
※移動火葬車:焼却炉を搭載したトラックやバン、ワゴンが自宅まで来てくれるので、オーナーさんの自宅で見送ることができ、慣れ親しんだ場所でお別れできるというメリットがあります。しかし一方で、駐車するスペースの許可や(コインパークはNGです)、臭いや煙などで近隣トラブルが起きています。信頼できる業者選びやオーナーさんの住環境の確認など、注意が必要です。
希望に沿った葬儀会社を探す
ペットの葬儀を行ってくれるのは、主にペット霊園などの民間業者、お寺、自治体の3つが挙げられます。サービス面で選ぶなら、火葬の前にお葬式なども合わせてしてくれる、ペット専門で行っている民間業者やお寺がおすすめです。
自治体の中には個別で火葬してくれるところもあるようですが、合同火葬が主流のようです。自治体によって、対応や担当部署が異なるので、事前に確認しましょう。
どの場合も、実際に問い合わせてみて、こちらの要望をどれだけ叶えてくれるのか、見積もりを依頼したり、かかる費用を確認し、納得した上で申し込むようにしてください。
遺骨の保管方法
うさぎなどの遺骨は、人間のように納骨をしなければいけないということはありません。「この方法でなければお月さまに帰れない」ということもありませんから、飼い主さんが一番望む方法を選ぶようにしましょう。最近では、飼い主さんとペットが一緒に入ることのできる霊園がありますので、人間用墓地を探す際の選択肢の一つとしておくのもいいかもしれません。
- 墓地に納骨する……葬儀を行った、ペット霊園やお寺の墓地に納骨できます。また、霊園によってはお墓だけでなく、納骨堂の棚におさめることもできます。
- 自宅に置く……骨壷をそのまま家に置いておくことができます。お祀りコーナーを作ったり、写真やえさ入れ、好物とともに飾ったり、自由に楽しい空間を作ることができます。
- 一部をそばに置く・身に付ける…霊園に納骨の際、お骨の一部を持ち帰り、ミニ骨壺に入れたり、キーホルダーやペンダントに入れて手元供養します。うさぎの飼い主さんの場合、抜け毛を羊毛フエルトに混ぜて残す方も多いですね。
悲しみと向き合おう
自分の気持ちと向き合う
誰でも最愛の存在を亡くすことで、悲しむのは当たり前のこと。悲しみを乗り越えるには、「TEAR(涙)」「TELL(話す)」「TIME(時間)」の3Tが必要だといわれています。3Tは、自分の気持ちと向き合うこと。この3Tを越えられた時、初めて心の浄化をすることができるでしょう。
「TEAR」
泣くことを我慢せず、泣きたい時に思いっきり泣くことです。感情を制限しないこと、涙を流すことで、悲しみを表に出すことができます。周りの目なんて気にしなくてもいいのです。声を出して思いっきり泣いてください。
「TELL」
気持ちを押し殺さず、自分の気持ちに正直に、想いを言葉にすることです。家族やうさぎ仲間、同じ経験をしたことがある人にうさぎへの想いを話しましょう。話すことで気持ちが楽になりますし、言葉にすることで自分の心を整理できるはずです。言葉にできない時は、ブログなどで想いを文字にするのもいいでしょう。文字にすることで気持ちの整理ができ、さまざまなアドバイスがもらえたり、悲しみを共有することで、心を軽くすることができるでしょう。
「TIME」
悲しみがなくなるまでには、時間がかかる覚悟を持ってください。うさぎは、月に帰るもの。一緒にいられる楽しい部分だけでなく、別れという苦痛も含めて、ともに暮らすということです。生と死をもって私たちに命の尊さを教えてくれているのです。時間をかけて向き合うことで、一緒に暮らした意味が見えてくるのかもしれません。
また、人間のように49日、月周忌、年周忌など、節目で見つめ直すのもいいでしょう。供養を改めてすることで、自分の心とも向き合うことができるはずです。そして、前回の節目の頃と、現在との気持ちの移り変わりを感じてください。
仲間たちの心のケアを
大切な家族の別れは、私たち人間だけのものではありません。複数飼いをしている場合、私たちは残されたうさぎたちの気持ちまではなかなか考えられないかもしれません。でも、一緒に生活した仲間たちにとっても、別れはとても辛いはずです。特に日頃から仲の良かった子の場合、落ち込みも強く、体調が悪くなってしまうこともあるかもしれません。
大切なのは、彼らにもきちんとお別れをさせることです。お別れをきちんと見せることで、彼らも別れを受け入れられるようになるでしょうし、飼い主さんとの気持ちも一つになり、共に支えあうことができるかもしれません。
お月さまに帰るうさぎにとっても、きっと仲間たちにもお見送りしてもらえる方が嬉しいはず。皆で悔いのないお別れをしてあげてください。
思い出を大切に…
「もっと○○してあげればよかった」どんなに大切に飼っていても、誰もが別れを迎えると、後悔することがでてくると思います。でも、うさぎに対して何かをしてあげられたかどうかは、問題ではありません。むしろ、そんな風に自分を傷つけることは、ともに暮らしたその子をも傷つけてしまうことになってしまうでしょう。
大切なのは、その子を一生懸命に愛せていたかどうか。愛されていることほど、うさぎにとって幸せなことはありません。
悲しい時は、自分の心に聞いてみてください。「私はあの子と一緒にいられて幸せだった?」と。答えはきっとYesのはず。たくさんの愛情が、別れの悲しみよりもずっとたくさんあることに気づけた時、共に過ごした日々は、必ずいい想い出、大切な宝物になっていくでしょう。「出逢えてよかった」と心から思えた時、その子をいつまでも愛し続けられる自信がわいてくるに違いありません。
なお、雑誌うさぎと暮らすでは「お月さまに帰ったうさぎさん」を紹介するコーナーがありますので、うさぎへの想いを添えてぜひお写真をお送りください。
悔いのないお別れを
愛うさぎが息を引き取った時。お別れまでの少しの間、私たちはうさぎと共に過ごすことができます。見送るまでのひと時は本当に大切にしたいものです。まずは、タオルの上に寝かせて、身体をきれいに拭き、涼しい場所に寝かせてあげましょう。気温が高い時期にはエアコンで室温を下げ、保冷剤で頭部や腹部の周辺を冷やしてあげましょう。
虹の橋
「虹の橋」は、愛するペットに先立たれ、悲しみにくれる人たちへの応援歌として欧米から、その内容に共感した人たちの間で広まり、世界中で愛されるようになった詩です。ここでは、『うさぎと暮らす』オリジナルバージョンにてご紹介します。
お月さまの少し手前に「虹の橋」と呼ばれている場所があります。
この世で誰かととても親しかったうさぎたちは、亡くなるとその「虹の橋」へ行きます。
そこには野原や丘があり、うさぎたちはみんなで走ったり遊んだりします。
食べ物や水がたっぷりあり、太陽がさんさんと降り注ぎ、
うさぎたちは暖かく、心地良く過ごします。
病気で年老いた子たちもみんな健康になり、元気を取り戻します。
傷つき、体が不自由になった子たちも、傷はなくなり、丈夫な身体になります。
それはまるで過ぎ去った日の夢の中で私たちが想い出すように…
みんな幸せで満足しているけど、たった一つ気になることがあります。
それは、それぞれのうさぎたちが残してきた、とても大切な人に会えなくて寂しいこと。
うさぎたちは一緒に走ったり遊んだりしています。
でもある日、ある子が突然立ち止まって、遠くを見つめるのです。
輝く瞳で一心に見守り、胸の高鳴りで身体は震え始めます。
突然、その子はみんなから離れ、緑の草を飛び越えどんどん近づいてきます。
あなたを見つけたのです。
ようやくあなたが愛うさぎと会えた時、再会の喜びで抱き合うでしょう。
もう決して離れないと。
あなたの顔に喜びのキスが降り注ぎ、あなたは両手で愛うさぎの頭をなでます。
そしてあなたは再びその信頼に満ちた瞳を見つめるのです。
長い間、あなたの人生からいなくなったけれど、あなたの心から決して消えなかったその瞳を。
そしてあなたたちは「虹の橋」を一緒に渡って行くのです。
👇ペットロスについては過去の記事もご参照ください