今回は災害時にうさぎと避難するときの心構えについてご紹介します。2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など巨大地震が起きたときには家族同然であるペットとの同行避難が推奨されたものの、また避難所には受け入れ体制がない箇所もあったことから車中に避難する方もおりました。「人間が大変な時にペットの事なんて……」という意見もいまだに少なくない中で、災害が起きた時にどう対処するべきなのか、災害が起きる前に飼い主さんができる事をうさぎの目線で紹介していきたいと思います。
日頃から準備しておくべき避難セット
飼い主さんのための人間用防災グッズはもちろんのこと、うさぎ用の避難セットも今から準備しておくと安心です。普段はハードキャリーの中に避難用品を入れておくと便利です。
ここでは基本のセット内容をお伝えしますので、ご自宅のうさぎに必要なものを足して準備しておきましょう。
- ハザードマップ(地域の洪水予想が記載されたマップ)
- ハードキャリー
- キャリーカバー
- リード&ハーネス
- トイレ
- 慣れた食器・給水ボトル
- ペットシーツ
- ブラシ・コーム
- 防寒・保冷グッズ
- ペレット
- 牧草
- 水
- 常備薬やサプリメント
- シリンジ
- 粉末電解質飲料
特にフードやペレット、水は少なくとも1週間分程度は備蓄しておきましょう。キャリーにつける名札や、ペットの手帖(うさぎのプロフィール、うさぎの写真、病院の記録、飼い主の連絡先)などもあると望ましいです。フード類や水には消費期限があるため、定期的に消費し、新しいものに替えましょう。
飼い主さんができる事
防災グッズを準備しておいても、うさぎがキャリーに入るのを嫌がり、一緒に避難するまでに手間取ったり、いつも過ごしている家の中やケージでケガをしてしまったりという事もあります。人間が行う防災訓練と一緒で、万が一の時を想定して、うさぎをすぐにキャリーに入れられるようにしつけておいたり、避難用のキャリーに入るのに慣れさせておいたりするといいでしょう。
ペットとの同行避難や避難スペースなどについては、各自治体によってガイドラインが異なります。ペットとの避難について訓練を行うなど、熱心な自治体もあれば、そうでない自治体もあります。飼い主さんは、ご自身がお住まいの地域の避難所、避難場所を把握しておくとともに、そこまで歩いてみたり、ペットと同行避難した際のマニュアルやガイドラインはあるのかなど調べておくとよいでしょう。
うさぎはストレスに弱い子が少なくありません。しかし、同行避難などを考えた時に、少々のストレスには耐えられるくらいであってほしいものです。日頃からお出かけや多少の騒音に慣れさせておくことも大切です。
うさぎは抱っこが嫌いなコが多いですが、抱っこができないと嘆いている飼い主さんも、最低限うさぎの抱っこの練習は日頃からできた方がよいのは言うまでもありません。
野草情報も知っておこう
フードが不足してしまった際には、クズの葉やたんぽぽ、オオバコなどの身近なうさぎが食べられる野草もあります。飼い主さんが野草について知っておくとよいでしょう。
「うさぎと暮らす No.55」に付録された野草図鑑。手元にあるといざという時に便利です。
残念ながら「うさぎと暮らす No.55」は現在在庫切れとなっております。好評だったので今後また付録にすることを検討しています。
うさぎが食べられる野草
マイクロチップって何?
マイクロチップは一度装着すれば、首輪のように外れることはなく、ほとんどの場合生涯にわたって持続するができます。サイズは長さ8~12mm、直径2mmほどのマイクロチップを専用のインジェクターで注射するのと同じ要領で皮下に埋め込むため小動物でも負担も少なく、健康に悪影響もありません。
犬や猫と違って首輪をしていないうさぎは、万が一家の外に逃げてしまった際に保護されても身元を確認するすべがありません。まだ一般的には犬や猫がつけるものという認識があるマイクロチップですが、うさぎなどの小動物にも装着することをうさぎの診療に厚い獣医さんも推薦しています。
動物病院にもよりますが、マイクロチップ本体の値段や施術費用、登録費など合計で数千円~1万円弱で、一度登録するとそれ以降の費用はかかりません。(参考文献/日本愛玩動物協会発行 withPETs No.241)
防災計画を考えておく
あれもこれもとやる前に、まずは防災計画を考えることから初めてみましょう。飼い主さんが元気でないとペットのお世話はできません。人間の防災対策や備蓄用品、避難グッズの準備をはじめ、ご家族や友人と、防災について話をすることからはじめてみましょう。
最近ではネットで繋がっている仲間がいる方も多いのではないでしょうか。近くにいるペットの飼い主さん同士で助け合えることもありますが、遠方にも仲間がいると、救援物資を送ってもらったり、同行避難が難しい時には落ち着くまで預かってもらったりという手段もあると安心です。