うさぎの基本

ペットフード&ラビットフードの歴史

皆さんは日々うさぎにどんな食餌を与えているのでしょうか? 主食である牧草の次によく与えるのがラビットフードです。今春はイースターさんのバニセレプロが大幅にリニューアルされ、ジュピターさんからはドイツのバニー社「ラビットドリーム」という形状と給餌が特徴的なフードが発売されます。ラビットフードが熱いですね! ここではその歴史を紐解いてみましょう(小誌No23を改編)。

バニセレプロ/リニューアル前
ラビットドリーム・バイタリティ
形状は大粒です

種類豊富だからこそ中身に気を留めよう!

うさぎの食餌の心強い味方、それはペレット。栄養バランスの取れたうさぎの総合食です。
ラビットフードに含まれるタンパク質やビタミン、ミネラルはうさぎの体(血液、筋肉、骨、皮膚、毛並み)を若々しく保つためには必要不可欠な成分です。

しかしこれだけラビットフードの種類やステージがバラエティ豊かにある中、おうちのうさぎに適したうさぎに適したものであるのか? そもそもラビットフードとは何なのか? きちんと理解するのが私たちの飼い主さんの責任であると言えるかもしれません。

ペットフードの歴史は犬に与えたビスケットから

さて、ラビットフードはいつどのように誕生したのでしょうか。まずはペットフードそのものの歴史を振り返ってみましょう。
加工された固形飼料としてのペットフードが初めてビジネス化されたのは、1860年のことでした。イギリス在住のアメリカ人、ジェームス・スプラッツ氏は、船に積んでいたビスケットの食べ残しを犬が喜んで食べることにヒントを得ます。犬用のフードを作れば売れるのではないだろうか? この発想からペットフードの歴史が始まったのです。ビスケット状のフードに加えて、1920年代には缶詰タイプのもの、1927年にはドライタイプのものが販売されるようになり、今日に続いています。
猫用フードの販売は、少し遅れて1950年代になってから。当時は犬猫兼用として売られていましたが、1960年代に入ってからは食性の違いが区別化され、猫専用のドライフードが作られるようになりました。

日本に伝わったのは1960年以降

こうしたペットフードが日本に伝わったのは戦後になってからのこと。さらに国産のペットフードが作られるようになったのは1960年以降でした。当時はまだ価格も高く、人間のご飯の残ったものなどがメインだった犬猫の食生活の中で、普及するには時間がかかりました。しかし、70年代、80年代、90年代にかけて、その消費量は飛躍的に伸び、健康志向や嗜好性に焦点をあてた開発も進んでいます。
法律面でも、「食品衛生法」や「家畜伝染病予防法」などさまざまな規約のもと、細かい品質基準が定められています。販売にあたっては公正取引委員会の規約により、成分表記や賞味期限、または製造年月の記載など、いくつもの項目の明記が義務付けられ、消費者に分かりやすいようになっています。

うさぎはどうなの?

といっても、ここまでの歴史はすべて犬と猫のペットフードに関わるものです。
家畜としてのうさぎの起源はヨーロッパ。アナウサギを飼育し始めたのが始まりだと考えられています。やがて20世紀初めにオランダでネザーランドドワーフ系の品種が開発され、この頃がいわゆるペットとしてのうさぎが登場した初期だったようです。
うさぎのフードの生産設備が整い、機械を使って製造されるようになったのは、1940年代以降。その当時は「家畜肥料としていかに早く成長させるか」という点がフードとして重要視されていました。「健康で長生きする」ということを目的としたものが欧米で作られるようになるのは、ようやく20世紀後半に入ってからのことです。

ペットとして健康寿命を願った食餌に…

日本でも状況は似たようなものでした。「昔、子どものころはうさぎを飼っていてね~」という話しには、「食肉用として」という落ちがつくことが多く、私たちうさぎラブ族はガクッときてしまいます。

戦時中の日本ではうさぎの飼育が国から奨励されていた時期があったほどです。食糧難や物資不足を防ぐために、肉は食用に、そして毛皮は衣類用にと、繁殖力の強いうさぎは家畜として重宝されていました。明治22年頃の資料によると、当時のうさぎの食餌は、野菜類、野草・牧草と穀類を中心に混ぜたものが推奨されていたようです。
日本でうさぎをペットとして飼うようになったのは1950年代から。「日本白色種」を小屋で飼うのがブームになった頃のことです。食餌としては実験動物用のペレットと野菜や野草が併用されていました。

かつては野菜をたっぷりなことも多かったですね

1970年代後半になると「ミニウサギ」が普及。室内でのケージ飼育が広まり、ペットとしてのうさぎ用ペレットが市場に出はじめます。ただし、この頃のペレットはまだうさぎの健康を意識したものとは程遠いものでした。

1980年代後半以降、欧米のフードが入ってくるに伴い、栄養を考えたペレットの製造が日本にも定着するようになります。おいしい肉質にするために太らせよう、という時代はようやく終わりを告げました。肥満したうさぎはおうちのペットとした場合、長生きは望めないからです。

参考栄養基準はどのメーカーも一緒?


歴史の浅いうさぎのペットフードについては、まだまだ研究課題も多く、何がベストであるか、意見の分かれる部分も多いのが現状です。国産フードにおいてもベースにしている栄養基準は、1977年にカナダのNRC(National Research Council )より発表されたものを元としているところが多く、当時としては最先端であったと思いますが、近年もそれを参考にしているのが現状です。法律面においても実はうさぎのペットフードに関する独自の指針が存在しないまま、犬や猫の基準に準じている現状があります。

それほどうさぎで確実なデータをとり、開発していくことが難儀であると考えられます。

しかしNRC基準はあくまでもラビットフードのみを摂取した場合の基準となっており、現代のうさぎは牧草や副食も豊富なことから『与える量を再考していく』必要があるのです。

例えばおうちのうさぎが太ってしまったとして、動物病院で獣医さんからフードパッケージの表示が体重の3%であったとしてもそれより少なめに、というアドバイスを受ける方もあると思いますが、太ってしまった理由が栄養のとりすぎ&食生活の偏り(タンパク質、脂質?)、あるいはおやつのあげすぎ(糖分)ということも考えられるからです。

ラビットフードイメージ

しかし最近ではこうした基準がうさぎの健康寿命を長くすべく果たして適しているのか、国産メーカーによっては他機関の参考栄養基準を増やしたり、チモシー成分を増量したり、獣医師の監修、メーカーの研究の促進、および消費者さんの意見も取り入れながら品種別やダイエットなど、特徴を現したフードも登場しています。

選ぶのに迷うほどですが、大概のメーカーさんがサンプルを準備しているので、大袋を買う前にゲットして試してみるとよいでしょう。