うさぎの基本

ノウサギの換毛を見てみよう!

おうちで一緒に暮らしているうさぎはアナウサギであり、体毛の色が大きく変わることはありませんが、降雪地帯に生息するノウサギは夏は茶色、冬は白に変わっていきます。ライチョウやオコジョ、ホッキョクギツネなどもそうですね。これは環境から自分の身を隠すためであり、動物が生き残るために備わっている能力です。

今回はノウサギの換毛していく姿を写真でご紹介いたします。

冬のノウサギ

世界各地の雪深く寒いところに生息している野ウサギたち。秋口から体毛が抜けはじめ、冬には毛が白く変わります。

ホッキョクノウサギ[カナダ、グリーンランドなど]
ユキウサギ[北海道、ユーラシア大陸北部、スコットランドなど]
カンジキウサギ[北アメリカ]
エゾユキウサギ[日本・北海道]

たまたま写真2枚はあくびをしています。「かわいい!」とも思ってしまいますが、捕食動物に狙われている緊張感の中、うさぎが浅い眠りから目覚めて、ほんの一瞬、見られる行動なのかもしれませんね。

国内で見てみると、北海道に生息する「エゾユキウサギ」、日本海側の積雪地域に生息する「トウホクノウサギ」は体毛の色を変えますが、雪が少ない九州地方などに生息する「キュウシュウノウサギ(二ホンノウサギ/生息地:本州の太平洋側、四国、九州)」は変わりません。

環境に合わせて生きるウサギの生命力を強く感じます。

トウホクノウサギ
キュウシュウノウサギ

換毛中…

ユキウサギ
カンジキウサギ

換毛とはノウサギにとって、体力を消耗する体内活動であろうと考えられます。つまりお腹がすきます。しかし冬場は特に食料が不足します。

ノウサギは主に草地、低木地、造林地、森林などに生息し、巣穴で生活はしないので、食物をストックすることはしませんが、おそらく食べ物のあらゆる位置を把握して、生きるため地上にある植物、木の皮、木の実など、なんでも食べています。捕食動物が眠っている時間に活動し、アナウサギと同様、「食糞」して栄養を補っています。

農作物や植林を食害することで害獣とみなされることもあるノウサギですが、近年では地球温暖化により、積雪量の減少や森林破壊によってその数が減少しているという実情があります。

国内においても奄美大島と徳之島に生息するアマミノクロウサギは絶滅危惧種であり、佐渡島に生息していたサドノウサギは準絶滅危惧種となっています。

※アマミノクロウサギは色変なし、サドノウサギは色変します

春夏のノウサギ

世界のノウサギの写真を見ていると、春夏であっても体のどこかに白く換毛が残っているようです。また秋口早々から換毛するウサギも…。ノウサギも環境の変化=気温や湿度を感じ取り、体が行っていることですから、個体差があるのだと思われます。

カンジキウサギ
ユキウサギ

ノウサギの研究

もしもノウサギに興味を持たれた方は、その研究をしている山田文雄先生による面白い著書「ウサギ学」もありますので、ぜひ読んでみるとよいかと思います。無人島で集団発生した野生アナウサギの事例などもあります。全270ページに及ぶ大作です。小誌でもかつて食糞やアマミノクロウサギについてご執筆いただきました。

著:山田文雄 東京大学出版会  4,950円

次回は「アナウサギ」について取り上げる予定です。