被捕食動物であるうさぎは具合が悪いことを隠す生き物。明らかに具合が悪いと見て分かるのはかなり悪い状態であることが多いです。少しでもおかしいと思った時はすぐに動物病院に連れていくことができるよう、毎日の健康チェックがとても大切です。体温や心拍など、うさぎのバイタルサインの参考値をご紹介します。
生理学的値
体温 | 38.5~40.0℃ |
血圧 | 90~130/60~90mmHg |
心拍数 | 130~325/分 |
呼吸数 | 30~60/分 |
呼吸気量 | 4~6ml/kg/日 |
食餌量 | 体重の約5~15% 50g/kg/日 |
糞便量(硬便) | 約50~60個/kg/日 |
尿量 | 130(20~350)ml/kg/日 |
適温 | 18~28℃ |
適湿度 | 40~60% |
体温
うさぎの体温は38.5~40.0℃と幅が広く、人間や犬猫に比べると高い傾向にあります。人間だとかなりの高熱に思える40.0℃前後も微熱、41.0℃台は高熱と考えられるのです。
うさぎの体温を測る時は、直腸(おしりの穴)に体温計をさして測ります。ただし素人が直腸に体温計を入れて保定するのは難しいうえ、身体の中を傷つけたり暴れて骨折などをしてしまう危険もあるので控えた方がよいでしょう。直腸ほど正確ではありませんが耳ではかるペット用の体温計もありますし、人間の赤ちゃん用の耳で測る体温計も使いやすいようです。
身近な方法としては普段から意識をして、抱っこやマッサージの際に耳や身体を触って温かさを確認しておくことです。室温や周囲の環境を確かめながらみたうえで、うさぎが熱くて苦しそうなら熱中症を疑って冷やし、逆に身体が冷たくなっている時は危険な状態の可能性があるので温めて、どちらも動物病院に相談しましょう。
病院で健康診断を受けた時などに獣医さんに体温を測ってもらってメモをしておくと、その後の体調不良などで受診した際の参考になります。
呼吸数
うさぎの呼吸数は健康でリラックスしている状態で1分間に30~60回。肺はとても小さく肺活量も少ないので、近くにいてもうさぎの呼吸を感じることはあまりありません。睡眠時はさらに呼吸が遅くなるので見ていて心配になることもありますが、いつもと同じ様子ならあまり心配しすぎなくてもよいでしょう。
肺活量が少ないぶん、保定や抱っこなどで長い時間無理な姿勢でおさえつけると低酸素症になる恐れもあるので注意が必要です。
うさぎは基本的に鼻呼吸なので、口を開けて息をしている時は危険な病気の可能性があります。動物病院を受診しましょう。
心拍
心臓の大きさは身体と比較して小さく、身体の大きさが同じネコと比較するとほぼ半分にすぎません。1回の拍出量に限界があるため、一回排出量の少なさを心拍数でカバーしています。その心拍数は1分当たり130~325回ほど。人間は60~100、犬は60~120、猫は120~200が平均といわれているので、うさぎの鼓動の速さに驚く飼い主さんもいるようです。
それだけの心拍を正確にはかることは難しいですが、元気な時に自然な姿勢で胸のあたりに手をあててうさぎの普段の鼓動を感じてみるのもおすすめです。
健康管理にあると便利なグッズ
デジタル体重計
毎日の健康チェックに。体重をグラム単位まで正確に測ることができます。
体温計
やや高価ですが、耳ではかるペット用の体温計が販売されています。人間の赤ちゃん用の耳で測る体温計を使う人もいるようです。毎日同じ時間に基礎体温を測っておきましょう。
聴診器
お腹や心臓、呼吸音などを毎日聴いてそのコの音を覚えれば、ちょっとした変化にも気づくことができます。
カイロ・保冷剤
寒暖の差が激しい時やお出かけの際のキャリー内の温度調節に役立ちます。空のペットボトルを常備して、中に水やお湯を入れてもOK。緊急時に身体を温める・冷やす場合にも。
シリンジ・スポイト
強制給餌や薬を飲ませる時に使います。薬用は小さめ、強制給餌用は少し先端の太めなものを用意しましょう。
尿試験紙
腎不全や子宮に疾患があるうさぎ、またその疑いがある時に。尿につけて変色具合で検査をすることができます。
うさぎ用流動食
いざという時に強制給餌ができるように常備しましょう。ただし、与える際は必ず獣医さんの指示に従って行ってください。手元に流動食がない場合はペレットをすりつぶすことでも代用できますが、粒子が粗いとシリンジに詰まったりうさぎも飲みこみづらかったりするので、専用のものを準備しておきましょう。
(参考資料:animal specialist、うさぎの医学&動物病院ガイド)