今回はメスうさぎの避妊手術についてです。手術の内容、費用など避妊手術に関しての疑問に横浜市・清水動物病院に教えていただきました。
避妊手術とは―
手術の適齢期
生後6ヶ月~1歳まで。3歳をすぎると子宮腺ガンなど子宮の病気の発症率が高くなります。
適さないうさぎ
肥満のうさぎ、心不全、呼吸器障害、肥満症、肝臓病、腎不全や貧血のうさぎ、高齢による体力の低下したうさぎはリスクが高くなります。
手術の準備
犬や猫と比べるとうさぎの避妊手術は難易度が高くなるため、手術の準備と手術に時間がかかります。麻酔においては、うさぎの気管が狭いのでチューブが入れにくかったりします。うさぎはデリケートなので、動物病院にまめに通って、病院の環境に慣れておくようにしましょう。
採尿、検便や血液検査は受けておきます。
食事管理は、太らないように牧草を中心としたバランスのよい食生活を心がけておきます。
手術方法
全身の吸入麻酔をし、腹部を切開します。副作用の少ない痛み止めを用いてペインコントロールをします。手術中は生体モニターでうさぎの呼吸、血圧、心電図などの数値を常にチェックしながら行います。一般的には吸入麻酔の前に麻酔の補助薬を注射し、イソフルランという麻酔薬を酸素中に気化させて吸入し、呼吸を通して麻酔の深さを気化器で適切に維持します。動物の状態に合わせて麻酔の深さを調節します。
ラジオ波手術器(サージトロン)やレーザーなどを使うと、出血を防止しながら(たんぱくを固めながら)切開できます(手術の時間を短縮できる)。子宮・卵巣の全摘出手術を行った後、縫合はアレルギーの出にくい体に優しい縫合糸を使います。埋没縫合にし、縫合部はたるんだ皮膚を生かして、健康な皮膚同士を接着させて傷口を隠すとエリザベスカラーの必要はありません。
麻酔同意書
手術を決めた飼い主さんには手術内容について説明をした後、麻酔同意書に署名をしてもらう病院が多いようです。同意書には手術日当日の来院時間、費用、麻酔前の準備(食事、水の与え方)、麻酔後について(手術後の飼い主さんへの注意事項)などが記載されています。
入院&術後の管理
麻酔から覚めて食欲が回復したらその日に退院できる、あるいは2~3日入院するなど、動物病院の体制によって異なります。術後は食欲がないうさぎもいるので、自宅でのうさぎの様子を病院へ報告したり、食べない時は病院へ行って皮下輸液、流動食などをしてもらいます(絶食の状態を作らない)。
手術費用
事前の検査の種類と方法、うさぎの状態(年齢・肥満・子宮の状態など)、手術方法(入院もしくは通院、縫合糸の種類、麻酔薬の種類など)、食べ始めた時の状況などで変わります。
おおよそ30,000~60,000円のところが多いようです。
手術後のメスうさぎ
基本的な性格は変わらないのですが、攻撃的なうさぎは穏やかになることが多いです。手術後は性的な活動が減少するため、必要なエネルギー量が減ります。一般的には食欲旺盛になり、太りやすくなると言われていますが、牧草中心の正しい食生活にしていればスマートな体型を維持できます。
編集部より:摘出後は、獣医学的には実証されていませんが、ホルモン分泌が変化するためか一年中だらだらと換毛するようになります。飼い主さんはせっせとうさぎをブラッシング・グルーミングをしなくてはなりませんが、手術により子宮疾患の心配が軽減されるのは大きいです。
手術にあたって
飼い主さん自身が獣医さんとよく話し合い、手術のないようなど、気になる点はすべて相談してクリアにした上で臨むことをおすすめします。ただし、飼い主さんが手術を望んだとしてもうさぎの病気の進行していたり、高齢のために体力の低下がある場合、手術が不可能な場合もあります。
手術のメリット・デメリット
メリット
病気の予防
- 子宮…子宮ガン、子宮のう腫、子宮内膜増殖症、子宮捻転
- 卵巣…卵巣のう腫、卵巣ガン
- 乳腺…乳腺のう腫、乳ガン
偽妊娠(想像妊娠)
攻撃性の改善
繁殖の防止
デメリット
全身麻酔の不安
術後のケア
太りやすい
手術の費用
みんなのギモン
健康な状態であれば、普通は手術が可能です。前もって血液検査、尿検査、心電図などを調べて診察を十分に受けて行うとよいです。肥満は麻酔のリスクが上がるので主治医とよく相談しましょう。
入院する病院:飼い主さんの不安のためや十分なケアをするという考え。
入院しない病院:知らない環境にいるより、早く家に帰った方がストレスが少なく、食欲が出やすいという考え。
うさぎの性格や飼い主さんのせいかくによって、どちらがよいか考えて決めると安心です。
手術後のメスうさぎ
子宮や卵巣の病気はなくなります。乳腺ののう胞や腫瘍の発症率が下がる可能性はあります。
うさぎ専門店や近所でなくてもうさぎをよく診ている動物病院に手紙やFAXなどを入れて近くのうさぎ対応病院を紹介してもらいましょう。1件だけでなく、何件か健康診断などでこまめに病院に行って、よく話を聞いて自分に合ったところを探しましょう。
※こちらの記事はうさぎと暮らすNO.45&70から編集いたしました。