うさぎの基本

骨格・毛質に合わせた品種別ケア②

うさぎは品種がバラエティ豊かなことが魅力ですが、品種によって骨格、肉付き、毛質が異なるため、ブラッシングやケアをハウツー本で学ぼうとしてもなかなかおうちで反映しにくいと思います。そこで今回は数あるうさぎの品種に分けて、ケアの仕方をご紹介します。

監修/NIPPON RABBIT CLUB 宮崎優子、城幸一(『うさぎと暮らす』83号より改編)

ホーランドロップ

特徴/ARBAの基準はオス、メスともに1.81㎏未満とされています(6ヶ月以上の場合)。フレンチロップという大型ウサギを小型化した交配種です。
体型/コンパクトタイプ。ロップの中では一番小さい。足が太く短く、がっしりとした体格。肩と胸は幅広で肉付きがよい。大きなお顔にずんぐりむっくりの体型が特徴。頭頂部に「クラウン」と呼ばれる密度のある飾り毛が生えています。
毛質/短毛。ノーマルファー。ロールバック。長毛気味のこ、おなかの毛量が多い。
性質/穏やかで人に慣れやすい傾向がある。

ホーランドロップのケア

<ケアする上での注意点>
品種の特徴上、がっちりした骨格に脂肪がついているため、ぽっちゃり体型に見られがちです。やせ気味なのか肥満気味なのか判断がつかない場合は、うさぎ専門店で見てもらいましょう。
体質上、脂肪がつきやすいコもいます。そういう場合は獣医さんやうさぎ専門店の指導のもと、食事管理をして体に合った体重に戻す必要があります。盲腸糞を食べられているか、お尻周りが汚れていないかはその目安になります。
シニア期になると筋肉が落ちてたるみ、お尻周りにスカートのように脂肪がたまりやすいです。

<保定>
性格上は人懐こいので抱っこを嫌がらない子も少なくありません。ただし重みがしっかりとあるので、保定中の固定はしっかりと、落下などには気をつけましょう。

<ブラッシング>
前述しましたが、毛量が長めだったり、多いコがいるのでこまめなブラッシングは大切です。特に年齢と共に筋肉に張りがなくなり、お尻周りに脂肪がたまっているコはブラッシングも不十分になりがちです。うさぎがセルフグルーミングで毛を飲みこんでしまうケースも増えてしまいます。お尻周り、しっぽ周りはよくブラッシングしましょう。

<爪切り>
個体によっては後足の爪が太くて硬いので小さなハサミタイプの爪切りだとうまくカットできないコも。その場合は、ギロチンタイプを使いましょう。

<耳>
ロップイヤーの耳の中は、湿気がたまりやすいので細菌が繁殖したり、耳垢が溜まって膿や外耳炎(中耳炎)を引き起こすことがあります。頻繁に耳の中のにおいをかいだり、耳垢がないかチェックしましょう。

ミニレッキス

特徴/オスは1.36~1.93㎏、メスは1.47~2.04㎏、理想は1.93㎏とされています(6ヶ月以上の場合)。
体型/コンパクトタイプ。体はコンパクトで大型種のレッキスを小型に改良した品種。ビロードやベルベットのような光沢ある上質な毛並みに発達した筋量が魅力です。ひげはチリチリです。
毛質/短毛。毛の密度が濃く、ガードヘアとアンダーコートの長さが同じ。
性質/フレンドリーで穏やか。
ケアする上での注意点/人懐こいので爪切りなどのケアは比較的しやすいです。美しい被毛を保つためにブラッシングはこまめに。

モデル/紅緒(メス・2歳)

ミニレッキスのケア

<ケアする上での注意点>
美しい被毛ですが、極短毛なので換毛期の抜け毛量は多く、ブラッシングは頻繁に行う必要があります。品種の特徴上から足の裏の毛が短いため、太りすぎや摩擦やおしっこがついたりすると毛が薄くなり、足底潰瘍になるコがいます。紅緒ちゃん(写真)もかかとや指の周りが薄毛になっています。
また爪が伸びすぎると後足に負担がかかるため、こまめな爪切りも必要です。つまり体重が増えすぎないためと美しい被毛を保つための食事管理も欠かせません。
宮崎さん「足元に厚手やクッション性のあるマットを使ってあげたり、体の中からもプロポリスのミナスプロンというサプリを飲ませてあげるといいですよ」。

<保定>
筋肉がしっかりとついていて、足が長く、ジャンプ力もあるので抱っこが不安な方もおられるかもしれませんが、性格上は穏やかなので飼い主さんと遊んでいると感じて抱っこを嫌がらない子も少なくありません。ただし保定中の落下などには気をつけましょう。

均整のとれた美しい筋肉が自慢


<ブラッシング>
手触りのよい毛質で、密度が濃いので抜け毛量が多く感じることも。ブラッシングはこまめに行ってあげましょう。

<爪切り>
体重が増えたり、爪が伸び気味だとかかとに負担がかかりやすいので、肥満にさせない体重管理と1~2ヶ月に一回、早めの爪切りがおすすめです。

<ソアホック>
毛が短いのでソアホックになりやすいので不衛生な飼育環境や、長時間同じ場所にいることで足底が圧迫され、血流が滞ってしまいます。足元に負担のかからないマットを敷き、清潔な飼育環境にしておくこと。タコからひどくなると潰瘍になって膿や出血があったり、痛みを伴うようになるので病院での初期治療が必要です。

足元にこのようなマイクロファイバーなどフカフカなマットを敷きましょう

長毛種(イングリッシュアンゴラ、ジャージーウーリー、アメリカンファジーロップ、ライオン種など)

室温管理
長毛種の中でもイングリッシュアンゴラのように特に毛が長く、密度がある品種は、自身で抱える熱量がヒトの想像以上です。特に夏場はエアコンがついていても夏バテしてしまうこともあるので、部屋は通年、室温18~21℃くらい、室度60%以下で一定に保つようにするとよい。

長毛種のケア

「長毛種は被毛の美しさが一番の魅力ですが、飼い主さんのお手入れいかんで美しさをキープできるか否かが決まります。毛ヅヤを保つための食事管理も必要です。ブラッシングを怠ると毛玉が大きくなってしまい、お団子状になるからです。しかし長毛種と一言にいってもアンゴラ種は短いアンダーコートと長いガードヘアを持つので、からまりやすいのですが、アメファジやジュージーウーリーの場合は、毛質にコシがあるので、毛玉になりにくいコも1割ほどいます。一般的に毛が細く柔らかいタイプの長毛種は、まめにブラッシングをして通気性をよくしてあげること。毛に空気を入れて(ブロワー)、皮膚まで届くようにしてあげるとよいでしょう。蒸れて皮膚病になることを防ぐ意味もあります」と宮崎さん。
モデルのうさぎのお尻周辺をさわると、しっぽ以外にもう一つ大きなかたまりがありました。カットしてしまう判断もありますが、宮崎さんはコームでときほぐしながら取り除きました。なんと5㎝近くあります。
「長毛種は足裏に毛玉ができることもあるのです。セルフグルーミングしてなめたところからできたり、毛が絡まってできたり、うなじや耳の後ろにもよくできます」。

Mix(ミニウサギ)

特徴/品種名ではなく、ルーツにいろんな品種が交雑しています。カラーも模様もいろいろ、たち耳・たれ耳・毛質、体格、性質もさまざまで個性豊かです。20年以上前のペットうさぎは、ほとんどこのタイプです。
シニア期にぽっちゃりしがちなうさぎも見受けられます。飼い主さんにお話を伺うと、偏食気味だったりするようでしっかりとした食事管理が必要です。

体型/耳はネザーと比べると長いです。顔が面長で、足が長いタイプもいます。ミニウサギという名称なのは、日本固有のうさぎの品種である「日本白色種(ジャパニーズホワイト)」よりも小さいという意味であり、2㎏以上に育つことがあります。仔うさぎから成長と共に顔立ちが変わってくることがあります(ライオン系が入っているとたてがみが生えてきたりします)。

毛質/ルーツであるうさぎの毛質を受け継いでいる場合もありますが、毛質はさまざまです。

Mixのケア

<ケアする上での注意点>
毛質が個体によって密度が濃く、細かいタイプのうさぎは抜け毛量も多いので、こまめなブラッシングが必要です。
シニア期の目立った変化はあまりないナッツくん(写真)。毛質はやわらかめです。毛の生え変わりのペースは緩やかになります。それでもボディバランスや肉付きは少しずつ変化しています。お尻のスカートはご愛敬。年齢に合わせた食事管理やこまめなボディチェックを怠らないようにしています。

特に耳や背中に通常の換毛と違い、地肌が見えているような部位があった時は皮膚疾患の可能性もあるので病院へ行きましょう


<爪切り>
Mixのうさぎは、お爪の色もさまざまです。黒い爪のコは、カットする前にペンライトで位置を確認してから切りましょう。

<ブラッシング>
両目クシの粗い方を使って部位ごとにブラシをかける。首のあたりもよく抜けているので忘れずに。

<耳>
セルフグルーミングで耳の中はきれいな場合もありますが、目視して垢がある場合は、耳介のあたりまで綿棒でやさしく取り除きましょう。

(おわり)