イネ科牧草のチモシーやイタリアンライグラス、オーツヘイなどは、うさぎさんに人気のある牧草で、与えている飼い主さんも多いと思います。これらは、牧草のグループとしては、寒地型という種類に属するものたちです。寒地型とは、寒い気候に適し、冬の寒さでも枯れずに生育する特徴を持っています。チモシーなどが秋に種をまいて春から夏に収穫するのはその理由からです。その代わり、寒地型は暑さに弱いので、夏越しできないものもあります。
一方、暖地型牧草と呼ばれる種類はイネ科ではありますが、暑い気候に適応した牧草です。夏の厳しい日差しを受けても枯れずにグングン生育します。種まきは春になり、霜が降りる心配がなくなってから行います。今回は、暖地型牧草の中で2種類をご紹介します。
ミレット(ヒエ)
一つ目にご紹介するのは、ミレットと呼んでいる牧草です。実はこれ、日本では雑穀として知られているヒエなんです。ヒエは現代では田んぼの雑草という扱いですが、古来から食べられている雑穀のひとつで、栄養バランスに優れています。うさぎ畑ではうさぎさんが食べる牧草として、これを育てています。もちろん、穂が出る前に刈り取りますから、穀物は含まれていません。青々して葉がやわらかい状態の時期に収穫して、パリッと乾燥させています。
スーダングラス
こちらも暖地型のイネ科牧草です。アフリカのスーダン地方が原産のため、この名称で呼ばれています。幅広い葉が特徴で、茎が細めで、嗜好性が高い牧草です。うさぎ畑では茎が太くなる前に若刈りして、うさぎさんが食べやすい牧草にするように心がけています。
まとめ
今回は2種類の暖地型牧草をご紹介しました。暖地型牧草はうさぎさんの牧草としてはあまり流通していないので、馴染みがないかもしれません。ただ、地元で生産したものを食べることが体の健康につながるという考え方、つまり地産地消という概念があります。日本の蒸し暑い夏に育った牧草を日本のうさぎさんに食べてもらうことは、うさぎさんの食の地産地消につながり、うさぎさんと飼い主さんのためになるのでは私は考えています。