いつも一緒にいるうさぎの体のことを、生理学的に見てみましょう。なんとなくこんなものかと思っていたうさぎの体のしくみも、また違った視点から意識してみることで、うさぎという生体を深く知ることができ、これまでと違った魅力を感じたりするかもしれません。
性質
うさぎは薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)の動物で、明け方や日暮れごろに最も活発に活動します。これは被捕食動物であることや視力も関係しているといわれますが、私たちとおうちで暮らすうさぎのように、習慣づけることである程度人間の生活時間にある程度適応して問題なく暮らせるうさぎが多いようです。
外敵に襲われてもすぐ逃げることができるように聴覚や脚力が発達しており、眠りは深くありません。ちょっとした音でも目覚めたり、目を開けたまま眠ることもできます。
骨格
骨は軽く体重の7~8%しかないため、骨折事故に注意が必要です。前肢は短く細い一方、後肢は長く力強いため、キックすることで自分の骨を折ってしまうこともあります。指の数は前肢5本、後肢4本で、足裏には犬や猫のような肉球はなく毛がクッションの役割をしています。
アナウサギの名残で前肢が発達しているためか、うさぎには鎖骨があります。犬や馬などにはないこの鎖骨のおかげで、うさぎの顔洗いやティモテなどのしぐさを見ることができます。
ただし、自然下では草が主食であるため、(リスやネズミのように)木の実などを持って食べる機能は発達しなかったようです。物を押したり、ホリホリ行動はします。
皮膚と被毛
被毛は品種によってさまざまですが、基本的には短い下毛(アンダーコート)と保護毛(オーバーコート)の二重構造。レッキスはオーバーコートが短くアンダーコートと同じ長さのため、毛の密度が高く見え、あの独特の手触りになります。
アンゴラ種はアンダーコートもオーバーコートも長く、毛玉にならないよう手入れが必要です。全身ふかふかのイメージのうさぎですが、実際に鼻先、陰嚢、鼠経嚢以外の全身が毛で覆われています。主に春と秋に換毛があり、頭部から尾側へと進みます。
メスの顎の下には肉垂(にくだれ)といわれるたるみができることがあり、出産の時にはここから毛を抜いて巣に敷きます。肉垂はオスにはほとんど見られません。メスには4~5対の乳頭があり、ドワーフ種は少ない傾向にあります。
うさぎは体臭が少ないですが、顎と肛門部と鼠径部に臭腺があり、ここから出る分泌物が特徴的な匂いを発します。顎の下の臭腺のにおいを物や人にこすりつけて縄張りなどを主張するにおいつけ(マーキング)は、メスよりオスの方が3倍の頻度で行います。オスの中でも優位な方がより頻繁に行い、自分のテリトリーを主張します。一回のにおいつけは5秒ほども続きます。
ヒゲ
鼻や口の周りや目の周りにある長くて太い毛、俗にいうヒゲは、洞毛(どうもう)や感覚毛とも呼ばれる通り、普通の体毛とは違って感覚があります。食べ物を探す時や、地下など狭い場所を移動する時などに役立ちます。
しっぽ
しっぽはへら形で、短くフワフワしています。毛色問わず尾の裏側は白が多く、危険を感じるとしっぽを立てて白い毛を目立たせて仲間に危険を伝えます。また、弱いオスは強いオスに対してしっぽを下げ、服従を表すことがあります。
耳
品種によって形も大きさも違いますが、うさぎの特徴といえば長い耳。捕食される側であったノウサギの名残か、異変を感じたらすぐに逃げられるように聴力を高めて発達しています。音のする方へ自由に耳を動かすことができるので、耳だけ飼い主さんに向けて様子をうかがっていることもありますね。また、耳を動かしてうさぎ同士でサインを送る役目もあるそうです。ロップイヤーでは耳をあまり動かすことができないコが多いようです。
うさぎは汗腺があまり発達しておらず汗をかくことができないので、耳に密に走っている末梢血管を拡張することで体温を放散して体温調節をしています。
※うさぎの生理学②に続く
(参考文献:エキゾチックアニマルの診療指針、うさぎの内科と外科マニュアル、animal specialist)