うさぎグッズ

読者のお悩み相談「かじり対策、マウンティング、抱っこ」

今回のテーマは「うさぎがかじる」ことについてです。これに悩むメスのうさぎを初めてお迎えした飼い主さんとやんちゃなオス3匹と暮らす飼い主さんのお悩みを伺いました。

ケージをかじるうさぎ
うさぎのかじりの対策
講師/中山ますみ先生

講師/中山ますみ先生

東京都杉並区のうさぎ専門店「らびっとわぁるど」オーナー。海外での動物研究の経験を生かし、うさぎの性格や状態に合わせた飼育相談や預かりのトレーニングを行っている。一般社団法人日本アニマルウェルスネス協会認定ホリスティックカウンセラーの資格を取得。

ケージをかじる、じゅうたんをかじる、服をかじる

Cさん

うちには男のコが3匹がいるのですが、このうちの2匹が激しくケージをかじります。へやんぽが大好きでケージから出たいからだと思うのですが、一度かじり始めると夢中なのでやめさせることが難しく、歯がかけてしまうほどの勢いです。どうしたらいいでしょうか。

Dさん

うちのうさぎはじゅうたんやスノコ、ケージをかじります。「ダメだよ」と注意はするのですが、効き目がありません…。

中山先生

まず、知っておいていただきたいのは、うさぎは気持ちを表す時に感情が出せないので、引っかく、かじるなどの行動によって自分の気持ちを表しているということ。感情が高ぶりやすいコの場合、かじるという行動が多いかもしれませんが、これは性質(タイプ)でもあるわけです。その上でどうしてあげればいいか考えてみましょう。ちなみにケージをかじるのをやめさせたいからと、扉を開けて相手をしてあげるのは、一番やってはいけない方法です。うさぎは賢いですから、かじれば外に出られる、と学習してしまうからです。お二人は、これまでどのような対策をしてきましたか?

Cさん

ケージの内側全体にわらマットをつけたことがあります。でも2日ではぎ取り、食べてしまって全く効果がありませんでした。網をつけたこともありましたが、はがそうとしてしまうので、歯に負担がかかりそうなのでやめました。ほかにはかじり木とケージの扉に木製のフェンスを付けたこともありました。

中山先生

市販のかじりバーはりんごやなしの木が原材料のものもありますが、これらの木は柔らかいので、消費が早いかもしれません。うさぎ用品の木製スノコはゴムの木やヒノキがあります。ゴムの木は固く、ヒノキはゴムの木と果実の木の間の固さです。ゴムの木やヒノキは、かじるのにとても時間がかかりますので、満足感も高いかもしれません。

 もう一つ、「クリッカー」といって、犬用のしつけ用品はご存知ですか。かじっているときにクリックするとカチッと音が響いて、意識をそらし、関心が音の方に向くというものです。この時に飼い主さんも「何しているの?」と言葉でも注意をするとよいでしょう。ただし、音に敏感ではないロップのコには効かないかも(笑)。

クリッカー
クリッカー

対策が効かないうさぎへの手段

中山先生

激しくかじるコには意志の強さが感じられますので、少々の対策では効き目がないと思いますのでこちらも多少の強硬手段が必要になってきます。夢中でかじっている時に「鼻ピン(鼻を指で軽くたたく)」をします。鼻ピンをした時にうさぎがどう反応するか。ここがしつけの大切なポイントです。飼い主さんはしつけをしている間はその場から離れないようにしてください。鼻ピンをした後に、すぐにかじっていた場所に戻ってくるか、ケージ奥に逃げて痛みが緩和されたらまたかじっていた場所に戻ってくるか。

再度かむような振りをしたら「何してるの?」と強い口調で声をかけ、その場から立ち去らせてください。これは、動物との力の見せ合いどころなのです。飼い主さんがいてもかじらないという学習ができたら、ここでケージを開けて「よくできたじゃない〜いいコね〜」と優しくほめてあげましょう。うさぎは思うようにならず不満なはずですが、うさぎの気持ちを汲みすぎると、彼らも自分のやりたいように人を動かしてしまいます。それくらいうさぎは頭がいいのです。

ただし、この方法は飼い主さんが鼻ピンをすることに納得し、力加減ができないと行動に移せないと思います。また、うさぎのタイプにもよるので、全ての飼い主さんにおすすめするわけではありません。うさぎの中にも度胸が据わっていて何事にも動じないコ、ビクビクして怒ったりするとおびえてしまうコ、といろいろなタイプがおります。一番よいのはそのコに合わせたやり方が一番よいのです。

Dさん

初めてのうさぎで、しかり方がわからなかったのですが、うさぎに体で覚えてもらうことも大切なんですね…。カーペットや毛布をかじるのはどうしたらやめるでしょうか。引っ張って遊んで、毛を飲み込んだりはしていないようですが…。

中山先生

うさぎは初めて見るものなど、かじってにおいを出して、食べられるものかどうかを確認するためにこのような行動をするときがあります。この時、確認作業のためのかじり方と、食べようとしている時のかじり方の違いがあります。カーペットも確認作業なのだとしたら、強くしかるのもかわいそうなので、代わりになるようないらなくなったシーツなどを与えてみてはいかがでしょう。

ケージのかじり対策

かじり対策:ケージの四方、天井をプラ段で囲う

ケージの四方、天井をプラ段で囲う

ケージのすきま3〜5cmくらいを開けた大きさを目安に、コの字型に折り曲げたプラ段(プラスチック段ボール)、ケージの天井部分より少し大き目サイズのプラ段を用意する。

かじり対策:ケージの側面を木製スノコで囲う

ケージの側面を木製スノコで囲う

ケージにスノコを立てかけて、内側あるいは外側からテグスで結ぶ。かじる場所が移動していく場合は全面にしていく。

オスのカクカク行動

Cさん

オス同士のカクカク行動(マウンティング)が見られるのですが、順位づけだと聞いたことがあります。そのままにさせていてよいでしょうか。

中山先生

断言はできませんが、「順位づけ」と「遊び」の両方の意味があるのではないでしょうか。遊びながら学ぶということ。うさぎにとって一度決まった順位づけがずっと続くわけではないー。その時だけですから、毎日確認する作業なのが必要になるのです。オスのうさぎには必要な行動であるかと言えば、興奮度が高くなるのであまりおすすめはしません。動物らしさの一つではありますが、このコたちに理性はないので、一日一度行ったらそれで十分で、ストレスがたまることを懸念して、あおったりするのもおすすめしません。

男の子うさぎ
男の子うさぎ

成長に従い、抱っこを嫌がるように

Dさん

生後4ヶ月でお迎えしました。最初のうちは抱っこができましたが、1ヶ月くらいたつと嫌がるようになりました。ケージを開けて抱っこしようとすると、じりじりと下がっていきます。どうしてなんでしょうか。

中山先生

メスのうさぎは赤ちゃんを守るために、成長とともに警戒心が強くなるコが多いです。ですから、メスのうさぎをお世話をする際は「これはやらなくてはいけない」という部分は引かない。でも譲ってあげるところは譲ってあげる。そうして対等に関係を築いていくとよいでしょう。うさぎはケージから抱っこして、飼い主さんの膝の上に乗せるまでの時間が長ければ長いほど、嫌がります。なでなでしたら、そのままの流れで『素早く』抱っこするのがベストです。

まず、周りで音がしているような時は避け、うさぎが落ち着く環境にしてから行いましょう。膝の上にひざ掛けくらいのマットを敷いて、うさぎを乗せたらマットで包みます。そして、自分の体に寄せてあげます。うさぎがこの状態に慣れてきたら、うさぎの硬くなっている力が抜けていくので、少しずつマットをはがしていきます。この時優しくなでながら「いい子ねー、きもちいいねー」と声をかけてあげます。

うさぎが逃げてしまう場合、行こうとしている方向に顔が向いています。逃げようとしたら、「逃げないでね」といって、体勢をとりなおしてあげてください。

一番大切なポイントは、うさぎの体は必ず自分に寄せて支えて密着させること。布でくるんでいてもいいので、すき間をなくすことそうすることで、けったり、逃げたりすることができなくなり、うさぎもこの体制になると抵抗をあきらめます。また、うさぎの体のどこかしらさわっていてあげると、うさぎが安心してくれます。

Dさん

この抱っこから練習して、もっとふれあいの時間を増やしたいです。

中山先生

そうですね、今日の抱っこの感覚を知っておけば、縦の抱っこなど、違う抱き方ができるようになります。慣れてきたら仰向け抱っこや爪切りなどのお世話ができるようになればいいですね。

なお、うさぎをケージに戻すときは、お尻から戻すようにしましょう。ケージが見えてしまうと、早く戻ろうとうさぎがあせってしまうからです。また抱っこの練習は、うさぎが辛抱できる時間に限りがありますので、できるだけ短時間で終わらせてあげましょう。うさぎにも意志がありますから、それを尊重しながら行いましょう。

抱っこにうまい・下手はありません。人それぞれ体格も違い、自分の手、体の大きさにやったやり方があります。自分で考えながら、どんどんトライしてみてください。

抱っこができない方はとても多いのですが、キャリーに入れるときやブラッシングや投薬などのときにできたほうがよいのでうさぎ専門店で一度教えてもらいましょう。

うさぎの抱っこ
うさぎの抱っこ