うさぎの基本

思春期うさぎの飼い主さんからのお悩み

本誌にはおハガキでいろんなお悩みが届きますので、時々こちらでもご紹介していきたいと思います。回答はその道のプロにお聞きしているものもあります。今回は思春期のうさぎと暮らす飼い主さんからのお悩みです。

抱っこ、爪切りができない

Q うちのうさぎは抱っこが大嫌いです。暴れるので、特に爪切りの時は苦労しています。二人がかりでなんとか切っていますが、終わった後はひっかき傷だらけになります。

『抱っこされる』というのは、自然界ではありえない状態です。だからうさぎが嫌がるのは当然。「抱っこさせてくれない」と思うのではなく、「必要だからする」という風に気持ちを切り替えましょう。爪切りも同様です。

Q 爪切りが苦手なのでポイントを教えてください。

A 爪切りで暴れる場合、暴れたらきちんと言葉で言い聞かせることも大切です。「どうせやることだから我慢しなさい! 時間がかかってもいいのなら、暴れてもいいけど」といったように。こちらがビクビクしながらやっていると、うさぎにもその気持ちが伝わってしまいます。どうしたら安心感を与えられるかを考えながら行いましょう。

マウンティング

これまでなかったのですが、最近マウンティングをするようになりました。夫がケージに腕を入れると、腕にカクカクして、その後咬みつきます。クセになってしまうんじゃないかと心配です。

「マウンティングをして、咬む」という行為は、メスとの交尾時や、オス同士で上下関係を作るためにする、うさぎのオスとしては正常な行動です。最近するようになったのは、うさぎも成うさぎになったということでしょう。飼い主さんが女性で、うさぎがオスである場合、うさぎはオスとして、旦那さんに対抗して上下関係を作ろうとすることもあります。そういう理由があって咬みついているだけで、これがクセになって誰にでも咬みつくようになってしまう、といった心配はありません。人へのマウンティングをやめさせるには、人間にカクカクしてきても無視すること。どうしてもかわいそうだと思うなら、腕や足ではなく、ぬいぐるみなどの代用品を与えるようにしましょう。

気が荒くなる原因を考えよう

ときどき気が荒くなるという場合、その原因を考えてみましょう。うさぎは身体のどこかを押されたことが引き金になり、発情、興奮することがあります。そのツボは個体によって違いますが、知らずに飼い主さんがうさぎの発情するツボをグルーミングや普段のふれあいの中で刺激してしまっていることがあります。普段からうさぎをよく観察し、発情や偽妊娠を起こした時には、その何日か前に何か原因になることをしていなかったか考えてみましょう。

スプレー行為

夫がケージ掃除をしていると、おしっこをひっかけるので困っています。

ケージ内はうさちゃんのなわばりです。そこにご主人さんが入ってきて掃除をすることで、「自分のなわばりを、別のオスが勝手に荒らしている」と感じているのかもしれません。うさちゃんにもプライドがあります。その結果、ご主人におしっこをひっかけるのです。対策としては、掃除をしているところを見られないように、うさちゃんを隔離しておくことをおすすめします。スプレー行為には、必ず理由があります。その状況下での理由を理解した上で、人間側でかけられないような工夫をしていきましょう。

トイレのしつけ

最初はケージ内にトイレを設置し、おしっこのにおいをつけるなど工夫したのですが、全く覚えず、フード入れにお尻をあてておしっこやフンをしています。一箇所にしてはいるので、掃除をすればいいかと思って今はそのままなのですが、新しいケージを買って設置しようかと思っています。

トイレはうさぎ全員が覚えられるものではありません。うさちゃんにとっては、フード入れにお尻をつけてするのが気持ちがいいのかもしれませんね。どうしてもというのであれば、トイレにフード入れをつけるように置いてみるなど、工夫の仕方はあると思います。ただ、飼い主さんが「掃除すればいい」と考えることができているのであれば、このままでもよいのではないでしょうか。ケージを買い替えた場合、環境が変わることで、またトイレの使い方などが変わる場合もあります。場所を決めて、きちんとトイレ容器を使ってくれるうさぎもいれば、色々な場所にしてしまう子、トイレを使わない子もいます。どこをトイレにするのか、寝る場所にするのか…といったことは、うさちゃんが決めることで、人間が決められるものではありません。トイレの使い方もうさぎの個性と思って、大らかな気持ちで向き合いましょう。若い時は使っても加齢によって使わなくなることもあったり、ずっと使わなかった子がある日突然使うこともあるなど、うさぎによってかなり個体差があります。

2匹目を迎えたいが…

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2匹目のうさぎをお迎えしたのですが、先住うさぎにとって新たなうさぎが家に来たことが本当に嫌だったらしく、すごく荒れてしまいました。なぜなのでしょうか。

自分だけのなわばりに、別のうさぎが入ってくるのですから、最初は反発するのは当然です。子供がえりを起こして甘えん坊になったり、気が荒くなってしまう子もいます。しばらくすれば収まりますが、大切なのは飼い主さんの気持ちの持ち方です。先住うさちゃんに対して「かわいそう」「ごめんね」と考えるのか、「お姉ちゃん・お兄ちゃんなんだから、色々教えてあげようね」と考えるのかで、先住うさちゃんの態度も違ってくるはずです。うさぎにも相性があります。どうしても反発する子同士もいれば、反対にとても仲良くなって、うさぎの心の安定につながる場合もあります。複数飼いのポイントは、飼い主さんがボスとして、うさぎたちの関係をうまくとりもち、均衡を保つことができるかどうかです。

フードを選ぶ基準って?

ラビットフードがたくさん種類があって選ぶ基準がわかりません。栄養価の高いものがよいのでしょうか。

仔うさぎのうちは体作りのために栄養価の高いフードが必要ですが、大人になったら今度は胃腸の負担を考える必要があります。自然界では大人うさぎの食生活はとても質素なもの。草、木の皮や根っこなどを食べて、エネルギーにしています。うさぎは本来そのような質素な食生活で、正常な胃腸の活動を保っているので、栄養価の高すぎる食餌はかえって体に負担をかけてしまいます。なお、うさぎには繊維質が必要不可欠です。たとえチモシーが含まれたフードを食べていたとしても、繊維質がそれだけで補えるわけではありません。必ず主食は牧草にし、体を維持するのに必要なその他の栄養素を補うための副食として、ペレットを与えましょう。