今回は後編、防災のポイント、残りの6項目についてお話しします。(うさぎと暮らすNO.45より一部流用)
7 普段からマナーを守る
うさぎさんは基本的にケージに入って生活するので、避難所避難先宅などでも場所さえ確保でき、衛生面に気をつければあまり人に迷惑をかけることはないでしょう(人気が少ないところでブラッシングはしたほうがよいでしょう。うさぎの毛、フケのアレルギーを持つ方がおります)。なお、日ごろから抱っこの練習などはしておいた方がよいのはいうまでもありません。
毎日練習してもどうしても抱っこができない、神経質なうさぎで災害時パニックになる可能性があるという場合は、布でできた袋など(座布団カバーなど)や爪が引っかからない素材の大きめのなどでくるみ、ケガをしないようにキャリーに移すなどしましょう。
8 助け合える仲間を作る
いざという時に協力し合えるように、うさぎの飼い主仲間を見つけてネットワークを作っておきましょう。お住まいの近くと遠くと両方にいるといいですね。災害時は近くの仲間は自分と同様に被災しています。遠方にも仲間がいれば『うちは大丈夫だから預かるよ』といった助け合いができるのです。
そういう意味では時にはうさぎのコミュニティサイトやうさんぽ会などに参加して仲間をつくることもアリですね。
9 避難訓練をする
前編でも述べたように、避難の際は人の安全が確保できるように、うさぎと同行避難をしましょう。東日本大震災では、すぐに帰れると思ってペットを家に残しペットを亡くした方や、逆に後にペットを迎えに行って亡くなった方もいます。
行政が行う避難訓練には積極的に参加しましょう。ペットとの同行避難訓練を行っている自治体もあります。編集部が参加した際には、体育館に避難所を再現していて、一人ずつのテリトリーの面積やダンボールのベッドなどが確認できました。また、ロープの巻き方、担架の作り方、消防栓の開け方や消防ホースの使い方も習えました。
自分で避難訓練をするなら、実際にうさぎの避難道具、うさぎが入った状態と同じ重さにしたキャリーを持って、避難所までの道のりを歩き、危険な個所のチェックや第2候補のルートなどを決めておきましょう。
余談ですが、編集部員も地図を片手に避難所までうさぎを入れたハードキャリーで歩いてみたことがありますが、自宅から意外と遠く、急坂であるため、実際に地震が起きたとき、たどりつくのがきついかなと感じました。大きな木があったり、看板がある場所など、危険が予想される場所や気になるところを発見したら、地図にメモしておきましょう。
しかし、そうしたシミュレーションは行ってみないとわからないことですから、平時からハードキャリーでも軽めのものを探しておこうかなど、対策を練ることができます。
補足:うさぎとの同行避難について
環境省では2018年には「人とペットの災害対策ガイドライン」を変更・改訂し、ペットと同行避難することを推奨し、こちらではペットと避難する際の基本行動などを詳しく説明しています(避難所でともにすごす同伴避難とは別だそう)。その理由は災害時、ペットと一緒に自宅に居続けたり、車に避難することが危険だということからです。
しかし避難所に関する問題もあります。「ペット受け入れ可」とうたっている避難所であっても、人間とペットの避難エリアを分けており、人の生活エリアにペットを持ち込むことは許可されていません。避難所によってはケージや柵で囲った専用スペースを用意するところもありますが、その運営は自治体に委ねられています。お住まいの自治体に避難所のペットがすごす環境について情報を得ておきましょう。
避難にあたり、うさぎが犬や猫と一緒で萎縮する(ストレスになる)、換毛期でケアが必要、病気で投薬が必要など、それぞれのうさぎの事情もあり、容易ではない場合もあるでしょう。果たしてご自身がどういう状況にあるか、災害時はどうすべきか家族やうさ友さんと話し合ったり、シミュレーションしておきましょう。
実際のところ、『ペット不可の物件』にお住まいの方でうさぎを飼育されている方もおられると思いますが、日ごろから近隣の方に『我が家にはうさぎが住んでいる』ということを知っておいてもらい、いざとなったら避難時にお手伝いしてもらう関係性を築いておくことも大切です。
10 個体識別をしておく
東日本大震災で多くの動物を保護し、迷子や保護されたペットの身元を確認するには、名札やマイクロチップが大切だと改めて感じました。うさぎは名札や首輪をつけることができないので、マイクロチップは有効だと思います。ただし、マイクロチップまだ一般的には犬猫がつけるという認識がありますので、自治体はうさぎを保護した場合もマイクロチップの読み取りをすることを統一していかなくてはなりません。
マイクロチップ/大きさ直径2mm、長さ8~12mm、円筒状で表面は生体適合ガラスやポリマーで覆われています。
なお、編集うさぎ・こだまはこのほかマイクロチップを挿入しており(追記:まだうさぎには普及されていませんが、不妊手術時にお願いするとうさぎにも負担がかかりません。費用はだいたい1万円以内です)、その情報もセットにしています。マイクロチップの装置をうさぎに当てるとうさぎの生態情報があきらかになります。
11 災害が起こったら
飼い主さんが無事であることが一番大切です。地震の場合は可能であれば脱出経路を確保し、物の倒れてこない場所や机の下などで身を守り、揺れが収まったら火の元を確認。避難する際は通電火災を避けるためブレーカーを落としましょう。いざという時に冷静に、自分の身は自分で守れるようにしましょう。
12 避難所での注意点
「避難場所」とは火災や津波などから身を守るために避難する場所で、火災であれば大きな公園、津波であれば高台など、災害の種類によって異なります。 一方、「避難所」とは災害で家に住めなくなった人や被害が予想される人が一時的に生活する場所で、学校の体育館や公民館など、屋内の施設が指定されています。
また、うさぎを連れて一時避難することと、避難所で同居することは異なります。東日本大震災では避難所でのペットの受け入れは自治体によって違いが出ました。災害時は行政の側も被災者の対応で現場は混乱しており、同行避難を受け入れる予定の自治体であっても、突発的な理由で受け入れを拒否せざるを得ないこともありえます。平時に居住エリアの避難所がうさぎを連れて入れるかどうか調べておき、もし入れない場合はどうするかということも普段から考えておきましょう。
自治体によってはペットのいる人といない人の住み分けなど、きちんと整備されていませんので、うさぎの飼い主さん同士で協力して避難所となる施設を(管理者の業務に支障のない範囲で)見学しましょう。この際は、災害時に活用できる設備や備蓄物資なども見せてもらい、施設管理者の許可を得た上で、写真をとったり、間取りなどをメモしておくことよいでしょう。
ペットと避難することに不安がある場合は、行政に相談しておくことも一つです。どうしてもペットとしては犬・猫中心で、うさぎという小動物への理解はないことが多いのです(同様に他の小動物、エキゾチックペットの飼い主さんも同じ思いをしていることでしょう)。
こちらから相談することで、うさぎと避難する方が少なくないということを理解していただいて、うまくいけば行政で話し合ってもらうことができるでしょう。
なお、車で避難生活をする際は(注意:水害の多い地域では望ましくありません)、熱中症に充分注意し、こまめに様子を見るようにしましょう。
そして避難所で生活する場合は、動物が苦手な方などもいますので、毛が舞わないようグルーミングをしたり、思いやりをもって周囲に気を配りながら理解を広げていきましょう。
いかがでしたか? いざ被災した時、少しでも冷静に対応できる手助けになればと思います。