うさぎの飼い方

多頭飼いを始める前に…PART1

ショップでかわいいうさぎに遭遇してしまった、知人からうさぎをお迎えしないか相談された…など、おうちに先住うさぎがいる状態で新たなうさぎを増やそうと思っている方。おうちがお迎えできる状況か、飼育環境や必要経費など、多角的に検討してみましたか? お迎えする前にもう一度、2匹目、3匹目を飼育することができるのかよく考えてみましょう(うさぎと暮らすNO.36より一部流用)。

小さいときは仲良くできるのですが・・・

1匹との違い

うさぎが増えると当然のことながらお世話をする時間や食費が2倍、3倍…になります。2匹分のケージを置くスペースも確保する必要があります。性別はもちろん、同年代のうさぎを飼育する場合にはシニアになってから介護が必要になることも…。医療費はもちろん介護をする時間があるのか…将来のことまできちんと考えた上でお迎えする必要があります。

またうさぎの飼育初心者さんが陥りがちなのが、血縁関係があるうさぎ同士(親子、兄弟)、性別が同一、オス・メスのペアであれば仲良くしてくれるのでは?という思い込み。

うさぎは血のつながりがあっても、性別が一緒でも、違っても、仲良くしてくれることはありません。
仲良くしてくれるためにひとつ言うのであれば「うさぎの性格」が条件かもしれません。集団生活をひっぱり、面倒見のよいリーダー的なうさぎにこれまで筆者は何度か遭遇したことがあります。
ただ、先住うさぎの性格が飼い主さんにとって穏やかであったとしても、うさぎ同士となるとそうではないことがありうるのです。そこが動物です。容易ではないことを知っておきましょう。

(できる限り、お迎え前にうさぎに関する飼育書をよく読んでくださいますように…)

女の子はケージに飼い主さんの手が入るだけでも嫌がることもあります(汗)

考えるポイント

  • うさぎそれぞれ差をつけることなく、愛情を平等に注ぐことができるか
  • お迎え前に家族や周囲の理解を得ているか。一人で決めない。先住うさぎの性格を知るうさぎ専門店さんに相談するのもよい。
  • 飼い主さんの年齢と健康状態
    ※うさぎも18歳くらいまで生きることでシミュレーションしましょう。一人暮らしの方は特にご自身が病気になったとき、ご家族、友人に世話が頼めるかなどは重要です。
  • 仕事環境、家庭環境(結婚予定など家庭の事情)などに変化はないか
    ※転勤などが多い方はお引越し・ペット可物件探しは大変になります。
  • 毎日トイレ掃除、食事管理、体調管理をしてあげられるか
  • 換毛期の時期はうさぎによって異なるので、ブラッシングやその他のうさぎに合わせたケアなど、日ごろの体調管理をしてあげられるか
  • ケージの外で遊ばせる時間をとれるか
  • 食費、医療費、生活用品代など、金銭的に可能か
  • 飼い主さんのアレルギーの有無
  • うさぎの環境によっては避妊・去勢を考えてあげられるか

うさぎ同士の相性

まず、うさぎ同士の相性は最初から仲良くなれるとは思わないほうがよいでしょう。

先住うさぎと新入りうさぎの相性があうかどうかはお迎えしてみないとわかりません。先住うさぎにとって知らないにおいや物音が増えたことによるストレスや、食べ物を独り占めしたいと要求が増えたり、純粋に新入りうさぎを気に入らないということも出てくるかもしれません。

大人になる過程で互いの存在を認識していればよいのですが、先住うさぎが1匹で育ち、生後半年をすぎている場合、物心がついているため、見知らぬものを自分の範疇に進入させたくないという気持ちがあります。これはアナウサギをルーツに持つため、そのなわばり意識によるものです。
ただし先住うさぎの性格次第で新メンバーがウエルカムなコもおります。また、先住うさぎが赤ちゃん帰りをしたり、先住うさぎを慕って近づきたくてたまらない新メンバーもいたり(逆もあり)、うさぎたちの中で次第に上下関係が成立していくこともあります。

そこで飼い主さんがぜひ行ってほしいのは、先住うさぎに新メンバーをお迎えすることを伝えてあげることです(お迎えしてもいい?と確認。どんなこなのかも…)。そして新メンバーが来たら先住メンバーにもケージ越しに(抱っこした状態で)紹介してあげましょう。
まずは飼い主さんとそれぞれのうさぎのよい関係を築きながら、互いのリアクションを見ていきます。先住うさぎにはそれまでと同様のお世話、うさんぽ時間はできるだけキープしてあげましょう。
※ケージレイアウトの例やへやんぽ時の注意は別章で述べます。

相性がうまくいかなかったとしてもうさぎの数を増やしたのはあくまでも飼い主さんの事情なわけですから、仲良くなってくれないことをうさぎのせいにするのはやめましょう。

相性ばかりは飼い主さんの予想ができません・・・

性別が異なる場合

オスとメスの2匹で暮らす場合は交尾をしないよう注意が必要です。メスは周期的な発情はないため、いつでも妊娠することができます。一回の出産数は一般的に4~10匹。生まれてきた仔うさぎたちの面倒を見ることができないのであれば、オス・メスをテリトリーで一緒に遊ばせることは絶対に避けます。

特にオスはメスのいいにおいがしている環境で常に発情する状態にあります。欲望が満たされずストレスを抱えているわけです。これはかわいそうなことだと思いませんか。繁殖する予定がなければ避妊・去勢を考えるのもひとつです。

去勢したオスとメスの例:とっても仲良しでケージを出入り…(モデル/ルーク&もも)

多頭飼いさんの声より

  • メス同士。仔うさぎのときはケージを一緒にしてとても仲良し。大人になったら片方が攻撃するようになってしまった。ケージは別々にした。
  • お迎えしたばかりのとき、へやで遊ばせて触れ合わせたら強く攻撃した、かみついて離さなかった。それまで見たことがない姿に豹変して怖かった
  • へやんぽのときにニューフェイスうさぎのケージの前にはフェンスでガードしていたが、近づいていって、柵ごしに鼻にかみついた。
  • ケージの扉が開いていてオスがメスと接触。子どもができてしまった。
  • オス3匹いるが2匹は仲良し、1匹は一人が好き。
  • 先住オスうさぎが新入りのやんちゃさも受け止めてぺろぺろしたりかわいがってくれている。以来、オスメス3、4匹と数は増えているがみんな仲良し(避妊去勢をしている)。
  • 先住うさぎ(新入りも)のマーキング行動が激しくなった(おそうじは大変に)。
  • 飼い主には攻撃的だが、うさぎ同士だと優しくグルーミングしてあげている。

次回は多頭飼いのよい点・悪い点、注意点などをご紹介します。

多頭飼いを始める前に…PART2うさぎの多頭飼いの具体的なメリット・デメリット、お部屋での注意事項についてご紹介します。...