『うさぎと暮らす』読者さんに「うさぎの行動でよくわからないところ」についてリサーチしました。
みなさんは少しでもうさぎの気持ちを知りたいはず――。そこで今回はうさぎの行動から気持ちや性格が推測しやすいパターンをご紹介していきます。(うさぎと暮らすNO.74/中山ますみのラビコミカレッジより改編)
みなさんの声
いただいたご意見の中には…
「いつもは呼べば来るのですがたまに壁に向かってまったく動かず、びくともしないときがある。霊感があるの?」
「窓越しに外を眺めているとき、何を考えているのかな」
「好物をくわえて皿からだし、自分から離れたところで食べる」などがありました。
食べ方や動き方にはうさぎのクセもあると思いますし、動物の行動学に精通している中山ますみさん(らびっとわぁるど)に伺うと、「うさぎにとってその行動が何も意味を持たない時間もあります」とのことでしたが、まずは総体的なうさぎの表現の見極め方からご紹介しましょう。
ボディラングエージ
目で訴える
飼い主さんへの要望や体調のよしあしが一番現れる場所
鼻を鳴らす
プゥプゥ(うれしい・興奮)、ブゥ(怒り・イライラ)
耳で表現する
たち耳のこはピンと立ち上がっている時は緊張感、たれ耳のこはじっと見られたくないときや緊張しているときに自分の耳で目を隠す傾向に…
体で表現する
寝そべる(リラックス)、足ダン(イライラ・一部発情などでうれしすぎて?!)、立っち(何か気づいたとき)、ジャンプ&ラン(うれしい時、ただ走りたいとき)、あくび(一休みして動き出すなど)。ナメナメ&ポリポリ(イライラや体のどこかに気になることがあるからかも…)、またしっぽで感情を表現するこもおります
歯ぎしり
なでられて気持ちがいい時・体のどこかに不調があるときにする時も。この時こそ目つきや体の表現も合わせて観察して不調ではないかを見極められます。
ケージにいるときの様子でうさぎの性格を推察する
うさぎにこちらの気持ちを伝えたい時やコミュニケーションをとりたい時は、「目を見る」「声かけ」を根気強くやることが基本です。ケージですごす時間が長いうさぎの場合は、ケージにいる時がコミュニケーションを深めるチャンス。なぜならば広いところで遊んでいるときは飼い主さんに対する興味が薄れているからです。範囲を狭めて行うのがベストで、ケージにいるときがよいのです。
飼い主さんを「見ている」「見ていない」
うさぎを大きく分けると飼い主さんを「見ている」「見ていない」に分かれます。どちらがコミュニケーションをとりやすいかと言えば、見ているタイプになりますが、総じて若い男の子は飼い主さんへのアピールが強い傾向にあり、コミュニケーションはとりやすいと言えます。一方、見ていないタイプは女の子によく見られますが、独立心があるので、その尊重しつつ、接していきましょう。
観察:ケージ内でうさぎが具体的にどんな行動をしているか
- ケージをかじる、かみつく
- 右左とうろうろしている
- ガタガタ物を動かす(牧草を散らかす)
- 飼主の方を見ない、無反応
- こちらを見るがじっとしている
- トイレに排泄物をきちんとしている
【ここからわかること】
①②:かまってほしいタイプ(男の子に多い)
③:ストレス解消、遊んでいる
④⑤:我が道を行く、自分のペースが大切(メスに多い)
⑥:少し神経質ぽいかも
ケージをかじるという行動は、常習性になっている子となっていない子がいます。基本的にはかじらないのに、自分の要求があるときだけかじる場合(ごはんがほしい、ケージから出て遊びたいときなどは)、その原因がわかっているので、飼い主さんがしかったりする必要はありません。しかっても要望をかなえるまでやるからです。
かといって、うさぎの要求に飼い主さんが毎回答える必要はありません。その気持ちを生かしたり、無視しながらうさぎの気持ちを自分に向けさせることができるのです。
おやつがほしくてたまらない時、私はあえてその気持ちに応えず、テンポをずらしたり、全く別の行動をしてうさぎの気持ちをおやつから別のものへ関心が向くようにしてみます。十分じらして、そのリアクションを把握してから(時には今もらえないんだなとあきらめる子もいるんです)、ようやくおやつを与えます。ここで飼い主さんが主導権を握ることができるのです。この関係性を築かないとうさぎが飼い主さんに一目置いてくれません。
ちなみにおやつの食べ方でも、『グイと引っ張って食べる子』『仲間の分も食べようとする子』『ゆっくり飼い主さんの手から食べていく子』といった行動からうさぎの性格はよくわかります。
次のステップ:どうコミュニケーションを深めていくか
①②:やさしい声色、なでなで、おやつを有効活用、たまに無視
③④⑤:適度な距離を保ちつつ、反応を見ながら接する
うさぎと常にケージ越しにアイコンタクトし合える関係になることは大切です。うさぎと目が合ったときには「な~に?どうしたの?」などと必ず声をかけてあげましょう。逆にこちらを全く見ない子の場合は、自分のテリトリー意識が強いので、ごはんを食べている、牧草を散らかす、ホリホリするといった作業がとても大切なことのです。こうしたときにずけずけと入っていくと、飼い主さんの存在を疎ましく思うこともあるはず。ケージを開けるとき、なでたり、トイレ掃除をするときはそうした時間は避け、お世話するときは必ず「あけるね~いい?」などと声がけをしましょう。
飼い主さん側もせっかくお迎えしたうさぎだからとべったりした関係をのぞむこともあるかもしれません。でもそれがうさぎの個性なのです。人にこびないタイプだとしても、根気よく時間をかけたり、一緒に年を重ねていく中でうさぎもきっと変化をしてくれます。
飼い主さんが心がけること
- 飼い主さんが主導権を持つ
…うさぎがケージ内で騒いでいるからと急いで開けてごはんをあげてしまうのはNG。このときは視線も合わさない。飼い主さんが一度冷静になって、うさぎがあきらめたり、落ち着いてから扉を開けるとよい。 - 行動に一貫性を保つ
…うさぎに「今日だけおいしいおやつがあるよ」は通用しない。ごほうびでトレーニングをしていく場合は毎日同じ行動パターン(テリトリーで遊んだ後にケージに戻っておやつ、テリトリーでマットをかじったのでしかってケージに戻すなど)にして教えていく、常習性を保つ。 - 行動にメリハリをつける
…ほめたり、しかったり、飼い主さんの喜怒哀楽は声に出して。うさぎは声色の調子で飼い主さんの気持ちを読み取ります。なでてあげるときは優しい声で「いい子ね~」が有効です。
うさぎがケージ内で動かしたものはすぐに動かさない
うさぎは自分なりの知性で物を動かしています。元に戻したいというのは飼い主さんの感情です。できるだけそのままにしてあげましょう。
中山ますみ/東京都杉並区で「らびっと・わぁるど」を経営。うさぎの飼育相談、トレーニングを数多く引き受けている