毎日、うさぎが元気に食事をするには「歯」に異常がないことが重要です。うさぎの歯は一生伸び続けるので硬い牧草を食べることで、歯をすり合わせて磨耗させています。今回はうさぎの歯について飼い主さんに知っておいてほしいポイントをご紹介します。
(監修:清水動物病院 No.62歯と牧草を考えるから一部抜粋)
歯が伸び続ける理由
うさぎの切歯は、(人と同じように)上の歯が下の歯にかぶさっている状態が正しい状態です。臼歯はかみ合わせがスムーズなことが重要です。
うさぎは牧草を切歯(前歯)でかみ切り、臼歯(奥歯)ですりつぶし、上下の歯同士で歯を削っています。
うさぎやげっ歯類のハムスター、モルモットの歯は常生歯といって、一生伸び続けます。うさぎが牧草を食べることは歯同士を横にすり合わせて一定の長さに保つことに役立ちます。
うさぎはこの動作を行うために口中に1mmほどの歯の違和感(とげなど)があるだけで食餌を食べなくなることがあります。
それは臼歯がとがっていて歯肉を押して出血していてその痛みから食欲不振になっているためです。
主に食餌をとらない、元気がないなどの症状があって受診をすることで判明します。
歯の本数は
赤ちゃんうさぎ
乳切歯は母親うさぎのおなかにいるときに抜け、生まれる前に体内に吸収、乳臼歯は生後約7日で生え、30日くらいで抜けて永久歯に交換するので生え変わりを見ることはありません。
大人うさぎ
永久歯は上あご切歯4本、臼歯12本、下あご切歯2本、臼歯10本、計28本で形成しています。
ペグティースの存在
うさぎの歯を真下から見たときに切歯2本の裏側に楔形の小さな第二切歯(ペグティース)が2本あるのがおわかりでしょうか。この第二切歯は、口を閉じたときに下の切歯に重なり合うのが正常なかみ合わせです。
実はかつてうさぎはねずみ、リスなどと同分類のげっ歯目とされていましたが、うさぎにこのペグティースが確認されたため、現在は独立して、ウサギ目に分類されています。
歯はどれくらい伸びる?
歯の位置によって厳密には伸び方が変わりますが、おおよそ切歯では1ヶ月に約1cm、一年で約10cm伸びると言われています。つまり健康なうさぎであっても、食生活の偏りなどが要因で、かみ合わせが悪くなって歯の磨耗ができないと、うさぎは不正咬合になってしまうことがあるわけです。
不正咬合の原因とは
先天的な原因
- 遺伝的な要因(あごの形態異常)
後天的な原因
- 食生活の偏り
- 飼育環境(硬いものをかじる)
- けが
不正咬合になりやすいうさぎ
自然下のうさぎにはあまり不正咬合は見られません。主食として草を食べていることと、遺伝的に不正咬合があった場合はそのうさぎの寿命は短いことが考えられます。
うさぎの診療で言えば、小型の骨格であごが小さいタイプのオスに発症率が高いようです。オス・メスの割合では80~90%がオスであるとの報告があります。
若いときは遺伝的な要因で発生することが多いですが、加齢していくことで日ごろの食習慣の積み重ねによって不正咬合になることもあります。歯肉が弱くなり、歯自体が抜けてしまうこともあります。こうした場合は牧草が食べられなくなるので、ペレットを中心とした食餌へ変更します。
うさぎの歯は健康維持には欠かせない、定期的な検診が必要な箇所なのです。
次回は不正咬合の早期発見のポイントや動物病院での治療について紹介します。