うさぎはたくさんのカラー、毛色があり、品種がバラエティに富んでいるのが魅力です。アンゴラとたち耳うさぎは同じうさぎだと思えないくらいビジュアルが異なりますよね。
うさぎの品種は外国で品種改良されて生み出されおり、アメリカのうさぎの協会アメリカン ラビット ブリーダーズ アソシエーション(ARBA)では現在49品種が公認されています。
ここでは大きなたれ耳うさぎ、フレンチロップについてうさぎ専門店「プチラビトリー」の荒木さんにお話をお聞きしました。
教えてくれた人/プチラビトリー 荒木勝義さん
東京都西東京市でうさぎ専門店をご夫婦で営む。フレンチロップを始め、ライオンロップ、ドワーフホト、ミニレッキス、ネザーランドドワーフ、ホーランドロップなどの品種がいる。お迎え後のアフターケアや飼育相談にも力を注いでいる。
フレンチロップとは―
はっきりしていませんが、約1850年頃にイングリッシュロップとバタフライラビット(大型種の立ち耳)を交配してフランスで登場した種と言われています。フレンチロップは中型種に分類され、成うさぎで4〜6㎏前後の大きさになります。ホーランドロップの倍以上の体格になります。
フレンチロップの性格
警戒心も強いようですが、好奇心の方が強いようです。温和な性格です。ロップイヤー全般に言えるようですが、縄張り意識が強い傾向が見られます。
ずばりフレンチロップの魅力を教えてください
かつて修業していたうさぎ専門店でフレンチロップに出会って一目ぼれをしました。とてもフレンドリーな性質があって、私たちと一緒に遊ぶのが好きですし、面白いうさぎなんです。フレンチロップの担当者になって、彼らのことを知れば知るほど年々のめりこんでいきました。2011年に独立して、フレンチロップがメインの当店をオープンしました。
性別で言えば、男の子は八方美人、女の子は一途で家族以外には人見知りだったりします。また、フレンチ同士で仲良くなってしまうのも特筆すべきところですね。
フレンチロップの適正環境は?
フレンチロップは実は中型種です。標準体重4〜6㎏です。広いお部屋が必要かと思われがちですが、運動量が多くありませんので、5分も走り回ると寝転がっているケースが多いです。また元気に遊ぶのは2歳くらいまででしょうかね。ですから運動は必要ですが、それほど広いお部屋は必要ありません。
80㎝のケージで十分です。また、トイレはしつけをしやすく、覚えるコが多いです。
体格から食事量も多いと思われがちですが、1㎏くらいのうさぎに比べると、体重は4倍ですが、食事量は2〜3倍程度です。室温管理は、フレンチロップは暑がりなので、夏はクーラー調整が必要ですが、冬はエアコンは必要ありません。
注意が必要なこと
動物病院ではまだまだフレンチロップのことをご存知の獣医さんは少ないんです。「これうさぎ?太りすぎでは?」とびっくりされることもあります。体が大きい分、病院であっても慣れていない方からタオルにくるまれて爪切りされると、病院へ行くのが嫌になってしまうかもしれないので、病院に行く前に「フレンチロップが診られるか否か」を確認してから病院へ行く方がよいかもしれません。しかし、これはフレンチロップのよい点なのですが、体調不良になったときに体格が大きい分、ネザーやホーランドと比べると体力があるので、応急処置で回復したり、病院へ行って処置を受けると回復力が高いということが言えると思います。
体格が大きい、体重が重い分、子供や女性が抱っこをするのは難しいかもしれませんが、うさぎ自身は小さい頃から慣れさせれば抱っこが嫌いというわけではありません。
健康を追求したブリーディング
フレンチロップのお迎えを希望する方の中には、仔うさぎではなく、『成うさぎになった状態』でお迎えしたいという方も少なからずいらっしゃいます。これはうさぎの他品種にはあまりないことかもしれません。冒頭にお話したように大人になってからお迎えしてもなつきますし、体格がわかった方がいいとお考えなんだと思います。
当店ではベビーのうちからよくさわるようにしていて、人の手に慣れさせるようにしています。お迎えを希望するお客様にもベビーのうちからこちらへ足を運んで見ていただくことで、育つ過程にますます思い入れが湧くようですね。「こんなに大きくなって…みたいな」。また、店内にパパとママがいるので、どんな親から生まれたのかというプロフィールもわかってもらえます。
ブリーディングする上でのこだわりはショータイプというより、健康重要視ですね。アメリカだけでなく、ドイツからもフレンチロップの情報を得て、健康体の繁殖を目指しています。食事管理はペレットは多種多様なものを与えるようにしており、その方が体調不良の時にいずれかのペレットを食べてくれるというメリットがあります。元気なうさぎを生育するためには、ママうさぎの授乳の重要性を感じていて、ある程度の月齢までママとベビーは一緒に過ごさせています。
また、ママが良質な栄養を摂取していると、濃い良質のお乳が出て、免疫力の強いうさぎになることがわかりました。
フレンチロップのこれから
私自身、今もなおフレンチロップにはまっていて、年々大好きになっています。生涯この品種にはこだわっていきたいと思っています。現在、フレンチロップはうさぎ全体のうち、5%くらいなのですが、ブームというのではなく、ただただ大好きな方々を、愛好家を増やしていきたいですね。