うさぎの基本

うさぎと暮らせる部屋

2023年はうさぎ年ということで、さまざまな場でうさぎが取り上げられる機会が増えていますね。12年前のうさぎ年でもうさぎをお迎えした人が増えたようですが、無計画にお迎えしてこんなはずじゃなかった…と手放す事例もあったようです。責任もってうさぎと暮らすため、今回は『うさぎと暮らす部屋』について考えましょう。(うさぎと暮らすNO.4より改編)

ミーナちゃんのおうち

うさぎと暮らせるお部屋って?

持ち家でない限り、うさぎと暮らすには、そのための部屋を探して借りることになります。飼い主にとっては家族同然のうさぎも、一般的には「ペット」扱いです。つまり、「ペット可」の物件を探さなければならないのです。でも、うさぎは鳴かないし臭いもほとんどない。犬や猫と同じ扱いは、ちょっと納得がいかない。だからといって、「ペット不可」という契約で借りた部屋でうさぎと暮らすのも後ろめたいし、後々大きなトラブルになりかねません。
相談すれば不動産屋さんに「うさぎならいいですよ」と言われる場合がありますし、一般の物件でも、うさぎなら許可が出る場合があります。ここで大切なのは、お部屋を借りる契約は、あくまでも「大家さん」と借りる人の間で結ぶ契約です。不動産やさんではなく、「大家さん」に許可を得てください。

うさぎにありがちな賃貸トラブル

かじる
 壁紙、柱、ドア、巾木(はばき)などをかじり、破損することがあります。

●おしっこ飛ばし
 マーキングとして壁などにおしっこを飛ばしたり、床などにおしっこをする。
 シミや臭いが取れなくなることもあります。

騒音
 騒音で具合が悪くなるうさぎもおり、近隣とのトラブルの原因に。


これらはうさぎの本能からくるもので、対策をしたとしても完全に防ぐことは難しいでしょう。不動産屋さんや大家さんでもうさぎの習性を知らない人も多いので、入居前によく確認した方がよいでしょう。

ペット可物件とは?

まず、ペット可の賃貸物件の現状を認識しましょう。現在、「ペット可物件」には2種類あります。それは、「ペットと暮らすことを前提として建てられた物件」と「それ以外の物件」です。
「ペット対応物件」は増えてきたとはいえ、まだまだ少ない状況です。駅から近い、管理状況が良い、などの好条件の物件は競争率が高く、すぐに決まってしまいます。さらに、家賃は通常の相場よりも高めですし、敷金も3、4ヶ月分は用意する必要があります。けれども、ペットと暮らすことを前提としているので、空気清浄機が付いていたり、汚れにくい壁紙が使われていたり、コンセントが高い位置に付いていたり、と、ペットを飼う上で便利な設備が整っている物件もあります。でも、うさぎと暮らすのなら、ここまで設備が揃っている必要もありません。ペット対応物件の競争率の激しさを考えると、現実的な選択肢ではないでしょう。
では、「それ以外の物件」というのは、どういう物件でしょうか?
それは、一般の物件を、何らかの理由で「ペット可」とした物件です。うさぎと暮らすのであれば、一般の物件で十分です。けれども、実は、この「何らかの理由」がくせ者です。この「何らかの理由」には、次のようなものがあります。

・物件が古くなって
・線路沿いの物件で
・幹線道路沿いの物件で
・駅から非常に遠くて
・とにかく色々条件悪くて

でも、家賃は下げたくない!

つまり、通常の物件よりも条件が悪いものが多いのです。
また、たまたま「大家さんがペット好き」で、条件のそれほど悪くない物件が見つかったとしても、通常の物件の契約よりは、条件が悪くなります。たとえば、ペットを飼わない人は敷金2ヶ月分なのに、ペットを飼う人は敷金3ヶ月分だったり、退出時には壁紙の張り替え代金を請求されたり。
都心部では、ペット可物件は賃貸物件全体の5%、賃貸物件に住んでいる人のうち、ペット可物件を探している人は30%いる、とも言われています。たとえば条件が悪かろうとペット可物件は狭き門なのです。ペットを飼うというのは、結構、大変なことなんですね(ため息)。

希望条件を書き出そう

念願の一人暮らし! あこがれの新婚生活! 新しくてきれいで広くて明るいお部屋で、さらに、うさぎとも一緒に暮らしたいですよね。
でも、残念ながら、通常のお部屋探しであっても、すべて条件の揃った完璧なお部屋が見つかることはまずありません。駅から近くて家賃が安くて広くてきれいで設備の揃ったお部屋で周辺の環境も良くて、なんて、そんなに世の中都合良くはいかないんですよね。こだわっていると、いつまでたっても決まらないかもしれません。
通常のお部屋探しであっても、まず、希望条件を書き出し、「譲れる条件」「譲れない条件」をはっきりさせ、「条件」の優先順位を明確にする必要があります。

うさぎと暮らす場合、この優先順位のうち、「ペット可」が一番になります。というのは、都心においては、「ペット可」これがとても満たすのが難しい条件になるからです。
また、家賃に関しては、相場よりも少し高いことを覚悟してください。希望条件を厳しく絞れば絞るほど、ペット可物件そのものに出会える確率が減ります。どちらにしろ、迷うほどは出てきません。家賃、地域、その他の条件をゆるめて、まずは入居可能なペット可物件の候補を探してみましょう。

不動産屋さんを探そう

お部屋を借りるためには、たいていの人は不動産屋さんを通すことになります。現在,お住まいの街を注意して歩いてみるとわかると思いますが、不動産やさんはたくさんあります。「うさぎを飼いたい・飼っているんですけど」という申し出に対していやそうな顔をする業者さんや、「うさぎなら黙認です」(黙認(?)かどうかは大家さんが決めることで、業者が決めることではない)などという業者さんに出会ったら、次のお店に行ってください。地道にまわっていれば、そのうち、親身に相談にのってくれる不動産屋さんに出会えるはずです。

不動産屋さんには大きく2種類あります。「ターミナル型」と「地元密着型」です。
「ターミナル型」とは、ターミナル駅のあちこちに支店を持っている不動産屋さんです。若い営業さんが多くて、明るく入りやすい店舗になっていることが多いです。まず、この「ターミナル型」の大手の不動産屋さんで、希望地域の情報を多く仕入れるといいでしょう。ただし、営業マンが歩合制のお店もありますから、なかなか契約の決まりそうにない「ペット可」を希望するお客さんは、軽くあしらわれるかもしれません。また、実際に物件を管理していることは少ないので、営業マンに「うさぎなら黙認ですよ」と言われても、鵜呑みにしない方が良いでしょう。
「地元密着型」は、地元に密着した不動産屋さんです。ここでは、幅広い情報は望めませんが、扱っている地元の物件に関しては、正確に把握しています。「ペット可」となっていなくても、うさぎなら許可してくれそうな大家さんかどうか、わかるのは、また、実際に交渉してくれるのは、この地元密着型の不動産屋さんでしょう。ターミナル型に比べると、ちょっと入りにくい雰囲気のお店が多いことも確かですが、味方につければ、これほど心強い存在はありません。

現在では、不動産物件情報は幅広く流通していますので、「ターミナル型」「地元密着型」と完全に2つに分かれることはありません。ですから、どちらのタイプの不動産屋さんでもかまいません。業者はたくさんあるのですから、手間を惜しまず、親身に相談にのってくれる不動産屋さんを探しましょう。
ちなみに、たとえ古く、条件が悪くてても、ペット可は競争率が高い物件です。雑誌やインターネットにのる前決まることもあります。住みたい地域を決め、その地域の不動産屋さんを丹念に回って探すしかないでしょう。決して多くはありませんが、「ペット可」に熱心に取り組んでいる不動産屋さんもあります。
最近、インターネット上にも多くの物件情報がありますが、これは、物件を探すためよりも「相場を調べるため」「インターネットを有効活用している不動産屋さんを探すため」などに利用すると良いでしょう。特に忙しい人や遠隔地にいる人にとって、電子メールで連絡の取れる不動産屋さんは本当に心強い味方になってくれます。

内見させてもらおう

気に入った部屋があったら、内見させてもらいましょう。お部屋の雰囲気や間取りの確認、設備の確認などはもちろんですが、「ペット可物件」の場合、周囲の環境の方が重要になってきます。
「ペット可」の場合、当然、他の住民さんもペットを飼っている可能性があります。エントランスと共用通路とごみ捨て場を必ず確認してください。エントランスと共用通路がきれいにしてある物件は、管理状況が良く、住民のモラルが比較的高い物件だと考えてよいでしょう。逆に、いくら希少な「ペット可」でも、廊下に犬の毛や排泄物が落ちている、住民の私物が放置されているような物件は、住民のマナーの悪さに悩まされる可能性があります。
また、犬が飼える物件の場合は、犬の鳴き声にも注意が必要です。一度ではなく、何度か曜日、時間帯を変えて見に行き、確認しましょう。
留守がち、つまり、うさぎがお留守番をしている時間が長い場合は、周囲の環境(騒音等)も注意が必要です。大きな通りに面していたり、線路が近かったりする場合は、「うさぎが我慢できる」程度の騒音かどうかを良く確認しましょう。周囲の状況に関しては、地図や外見からでもある程度確認できます。内見前に、あらかじめ地図と外観から確認して、内見する物件を厳選すると、効率よくお部屋探しができます。
「ペット可」に関しては、物件の数が少ないことから、「気に入る」かどうかよりも「許せる」かどうか、で決めなければならない場合もあります。だけど、あまりに妥協してしまうと、結局、すぐに引っ越しすることになってしまいます。「いくらなんでも」と思えば、せっかくの「ペット可物件」でもお断りしましょう。

いざ契約

さて、気に入ったら、いよいよ契約です。お部屋探しは「早い者勝ち」で、先に手を打った方に住む権利が生じます。迷っている間に他のお客さんが申し込みをしてしまったら、その物件とは「縁がなかった」とあきらめなければなりません。ペット可物件は競争の激しいので、一般物件に比べたら待ってもらえないと考えた方が良いです。縁を感じたら、えいやっ!と決めてしまいましょう。
(逆に、縁を感じなければ、たったとあきらめましょう。待てばまた出てきます)
契約時には、「うさぎを飼うこと」が契約書の中に認められているかどうかを必ず確認してください。また、多くの物件では、ペットを飼う場合には条件が厳しくなっています。敷金が3ヶ月分であったり、退室時の壁紙の張り替えの費用を負担する必要があったり。しっかり確認して、不明な点は遠慮なく質問しましょう。せっかく住むんだから、気持ちよく住みたいですからね。

契約が終わって鍵を受け取ったら、引っ越しする前に「掃除」と「うさぎ対策」をしておきましょう。コードの配線やコード、壁紙の角などは、荷物を運び込む前に対策をした方が楽です。
引っ越しが終わったら、うさぎと一緒に(?)、大家さん、左右上下のお隣さんに挨拶を忘れずに。

(おわり)