うさぎの健康

素敵な老後を味わわせたい 食生活編【1】

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ペットの高齢化問題が話題になる近年、うさぎの寿命もどんどん延びてきています。喜ばしいことですが、さて、うさぎがシニア期に向かっていく中で健康で長生きしてもらうための考え方、心構えなどはできていますか? 本誌『うさぎと暮らす』の人気企画『中山ますみのラビコミ・カレッジ』では、うさぎ専門店店主でうさぎ飼育トレーナーの中山さんと、5歳以上のうさぎと暮らす飼い主さん6人と愛うさぎに集まっていただき、「素敵な老後を味わわせたい」をテーマに語り合いました。熱心な質問が飛び交った講義の様子をご紹介します(うさぎと暮らすNO.64より)

中山さんのうさぎ専門店「らびっとわぁるど」での講義風景

<参加者>
5歳・オス&7歳・オス&6歳・メス&メス・9歳&オス・8歳&メス・8歳の飼い主さん

介護は楽しんで。うさぎとの距離が縮まるチャンス!

参加の理由

Sさん「私は先代のうさぎが7歳で亡くなってしまったので、今いる子には長生きしてもらうために今日は参加しました」

Aさん「うちのこは今はとっても元気ですが、今後も元気で暮らせる秘訣が知りたいです」

Oさん「うちのこは今8歳になります。筋肉量も食べるスピードも若い時と変わらずで、老化は一切感じていません。思い当たることと言えば、もともと食欲旺盛で、生野菜を与えると体重が増えていました。でも6、7歳頃からは食欲は変わらないのですが、適正体重のままで、うんちもゆるくならなくなりました」

中山さん「うさぎの老化は年齢で計れるものではなく、あくまでも個体差があります。まずは、老化してくるうさぎとの向き合い方からお話ししましょうね。うさぎが今までできたことができなくなるのが老化であり、介護です。介護のだいご味は『うさぎとの距離感がぐっと縮まること』です。老化や介護は大変なことなんだけれども、私自身は今いる若い子たちに対しても、いずれやってくるシニア期にお世話をするのが楽しみ、というぐらいに思っています。うさぎも飼い主さんを求めてきて、自分もお世話をすることで無限の愛が出てくるのです。
楽しい介護なのか、つらい介護なのか、それは飼い主さんの考え方次第で変わってきます。例えば、毎日介護をしていく中で、心身的に追い込まれてしまう方もいました。私から見ると、とても穏やかな性質のうさぎで、誰の手からもご飯を食べるんです。でも飼い主さんはうちの子は言うことを聞かないと。体がちょっと汚れただけでもせっせとふいている。きれいにしなくてはならないと思い込んでいる。やりすぎてしまうことで飼い主さんは疲れ果ててしまっています。
このようなケースを見ると、私は思うんです。うさぎの気持ちはどこへおいてきちゃった?と。
介護は絶対に一人で抱え込まないでほしいんです。絶対に誰かが救ってくれます。動物病院の先生のアドバイス、専門店のアドバイス、うさ友さんのアドバイス。その中から体調がよくなるものなど、気に入ったものを選べばよいと思います。そして何より飼い主さんが楽しんで介護をすること、それはうさぎにとってもうれしいのです」

講義は参加者さんの質問も交えながら進行

シニアの食生活は毎日が観察

食事に時間がかかるように…

Gさん「うちのこは9歳になって動きが遅くなって、食べるのにも時間がかかっているなと感じています」

中山さん「老化してくると、体全体の筋肉が減って首や腰の位置が下がってきます。老化してきたうさぎは『噛む』という行為はあごがとても疲れるようになってきます。口が開かなくなって飲み込む筋肉が衰えてくるんです。唾液の分泌も悪くなり、乾燥牧草は飲み込む力が必要なので、食べられなくなってしまうのです。飼い主さんが変わらず牧草を食べ続けてもらいたいと思っても、それはかえってうさぎの気持ちを沈ませてしまいます。
飼い主さんは、うさぎが若い時の『牧草は食べ放題、フードは1日何g』としてきた分量やカロリーの目安は捨ててしまうこと。年をとっていくにつれて、『食べないよりも食べた方がよい』『元気でいてくれればいい』という思考に切り替えていかなくてはなりません。「今日はこれはこのくらい食べられた」「こっちはどれくらい食べるかな」など、シニアの食事は毎日が観察なんです。あきらかに牧草を食べる量が減ってきたら、『少量で高栄養で柔らかいもの』が摂取できる食事に切り替えてあげる必要があります。
例えば私の場合は、仔うさぎ用のペレットやハチミツ入りのペレット(例:ニチドウさん/メディラビット)、粗繊維質をとるためのブルームシリーズ(ウーリーさん)のペレットを粉末にして、おからとバナナのすりつぶしたものなど、うさぎが好むフレーバーを混ぜて(やわらかさを調整するなら水を足す)与えています。シリンジで介護食を与える時も、少しずつあせらずにゆっくりと飲み込ませてあげましょう」。

ウーリーのペレットを手でつぶして粗い繊維を説明する
モデル/ももちゃん

ちなみにらびっとわぁるどのうさちゃんたちは、昼間は牧草や野草を中心に食べ、夜にペレット(ラビットフード)をもらう食生活なのだそう(もちろん牧草もたっぷり)。そうすることでうっ滞になるうさぎがいなくなったそうです。

食の好みがその時々で変化する

中山さん「シニア期は、その時の体の状態(けだるい、胃がもたれる、暑い、寒いなど)によってどういう味を好むかが変わってきます。その子が本能的に体が欲しているものを選択していく傾向が強く出始めます。これまで好きだったものを日によってはあまりおいしくないと感じ、食べない事もあります。逆に若い時は嫌いだったものも食べたりします。つまり飼い主さんは、今までの食生活から頭を切り替えなくてはなりません。飼い主さんにとって食べてほしくないと思うものも、受け入れていかなくてはならないこともあります。

生野菜を急に食べるように…

Oさん「そういえばうちのこは、5歳くらいまでは生野菜を与えると体重が増えていたのですが、6、7歳頃から食欲が旺盛になり、生野菜以外にもたくさん食べるようになりましたが、体重は適正体重のままですし、うんちの状態もゆるくならないのが不思議でした」

中山さん「老化と共に動かなくなり筋力が落ちて、新陳代謝も低下します。若い時はにんじん1本あげると、がっついて食べますが、シニア期にはゆっくりと自分が食べられると思うところでやめたりしています。

Oさん「うちのこは、生野菜は食べなかったのですが、7歳くらいからキャベツを食べるようになりました」

Sさん「うちのこは、以前は乳酸菌を与えると消化不良なのか、うんちに白いものが混ざった状態で排出されていたので、与える量を減らしていたのですが、8歳になって通常量を与えてみたところ、消化されているようで白いものが混ざることはなくなりました」

中山さん「人間とうさぎもまったく一緒で、年を取ることで体質が変わっていくんです。アレルギー症状が軽くなる子もいれば、免疫力が落ちてアレルギーがひどくなる子もいます。でも飼い主さんがいくら若い時の元気な状態に戻ってほしいと願っても、現実として老化には抗えないんです。飼い主さんがそれを受け入れて、今のうさぎの状態に合わせていくしかない。そしてシニア期にもっとも大切なのは体力を維持すること。『食べて出す』ということ。そこをいつでも原点に考えると飼い主さんの迷いがなくなり、気が楽になりますよ」

モデル/ひまちゃん

(『素敵な老後を味わわせたい 食生活編(2)』に続きます!)