うさぎと暮らすNO.55より―(一部写真は改定)
監修/山崎貫太院長(ケーズペットクリニック)
うさぎのウンチは、今の食餌内容を飼い主さんに伝える貴重な情報源です。今回はその情報を飼い主さんがキャッチするために必要な、ウンチのメカニズムやうさぎに適した食餌内容について専門家に聞きました。
獣医さんが行っているウンチの診察
うさぎの診察において、ウンチを診ることはとても重要です。当院では初診の患者さんに必ずウンチを持参してもらうようにお願いしており、ウンチを視診してから、食事内容を問診しています。
おうちでは患者さんに毎日、ウンチとおしっこに異常がないか観察してもらっていて、ウンチは色や形、大きさ、半分に割ってみて、フンが毛でつながっていないかを確認してもらうようにしています。
患者さんは下痢のように、あきらかに異常な症状である場合は来院されるのですが、ウンチの大きさが極端に小さい、形がいびつ、毛がたくさん混じっている、といった症状ではなかなか来院されません。
しかし、神経系の障害や毛球症が原因でウンチが小さくなったり、うっ滞になったり、放っておくと大病を招くこともありますので『健康な時のウンチ』と比較して、異常なウンチの時は動物病院に相談してもらうことで、病気の予防になる場合もあるのです。
『健康なウンチ』の目安は健康診断などで動物病院を訪れた際に獣医さんにアドバイスをしてもらうとよいでしょう。
当院でも黒くて小さいウンチだったうさぎに、ペレットと野菜は減らして、イネ科の牧草ならなんでもいいので与えるようにしてくださいとお話ししたところ、健康なウンチに変わった患者さんが幾例もあります。
黒くて小さいウンチの原因は、ペレット中心だったり、生野菜を与えている場合が多いです。これがすぐに病気になるというわけではありませんが、牧草を食べないと腸のぜん動運動が刺激されない、歯が伸びてしまうといっ
た状況を作りやすくなります。
うさぎは総じて安全な食べ物に対する執着心が強いので、食餌内容を変更するのは容易でない場合もありますので、無理せずに徐々にチャレンジしましょう。
また、体格の小さいネザーのような品種は、体の作りからして、腸管の大きさが小さいため、毛球が詰まりやすいので、特にブラッシングやウンチチェックをこまめにしてあげましょう。
たんぱく質分解酵素を含んだサプリを与えることもおすすめです。
ウンチの観察の仕方
毎日、トイレのお掃除のときにウンチの観察の習慣をつけましょう。
要注意のウンチ
下痢。形:俵型、涙型、ダルマ型、巨大なウンチ、毛がいっぱいのつながりウンチ
硬糞の大きさがバラバラ
黒くて硬い。大きさは楕円形でいびつ
毛でつながったウンチ
長毛種のうさぎの毛が混同して硬くなったウンチ
うっ滞の症状が出ているうさぎのウンチ
良いウンチ
大きさは均一、形は正円、色は草色、割ると繊維だけ(毛が混ざっていない)
※大きい方が望ましいが、大きさが小さくてもフンの量が多いうさぎもいるので、総合的な判断が必要
良いウンチ
よく牧草を食べていると緑色の丸いウンチに。空気穴ができているのでやわらかく、手でほぐすと粗い繊維が見られる。
ウンチ診断のススメ
動物病院には半年に1度くらい健康診断へ行き、体の状態はもちろん、ウンチを診てもらうとよいでしょう。特にショップからお迎えしたばかりのときは、うちのうさぎのウンチが健康な状態であるかわからないのは仕方ないこと…。ですからお迎えして2週間くらいたった段階で、病院にウンチを持参して行っておくことをおすすめします。
病院でのウンチ検査項目
・大きさ
・色
・臭気(下痢は臭う)
・脂肪(消化ができているか)
・炭水化物(デンプンが消化できているか)
・寄生虫
・細菌
・真菌
毎日トイレ掃除のときにウンチの状態をチェックする習慣をつけましょう。日記などの記録にしたり、スマホで撮っておいてもいいですね。