うさぎの健康

ウンチをまじめに見てみよう!その2

うさぎと暮らす NO.79 最新号はこちら

うさぎと暮らすNO.55より―

ウンチのほんとの話し
ウンチのほんとの話し

牧草やラビットフードのメーカーとして長きにわたり、うさぎの胃腸構造、消化の仕組みを研究してきたウンチ研究家・小澤邦世さんに、うさぎのウンチのメカニズムとよいウンチと食餌の関係についてお話しを伺いました。

牧草のどの部分を食べる?

うさぎのウンチは2種類あります。今回は「コロコロウンチ(硬糞)」についてお話しします。ウンチを割って中身を観察すると、どんな食事をしているのかよくわかります。飼い主さんとお話ししていると、牧草や総合栄養食の粗繊維質量を気にされる方がいます。「どうしてちゃんと繊維を食べているのにウンチが大きくならないのでしょう?」との声がよく聞かれるのも事実です。また、「パッケージの成分を見て、粗繊維量の多い総合栄養食や牧草を選んでいるのに…」とも…。考えられる理由の一つに、1番刈りでも柔らかい部分、細かく粉砕した粗繊維のフードを食べていることが考えられます。

また、「牧草はよく食べています」という飼い主さんに「牧草はどの部位を食べていますか? 穂先? 葉っぱ? 茎の上の方?」と尋ねますと、飼い主さんは「茎の硬い部分はあまり食べません」とおっしゃいます。そして食べている牧草も量があきらかに少ない場合があります。これでは健康なコロコロウンチを出すための「大きな繊維質」が不足しているため、ウンチは大きくならないのです。

しかし、そう言ってしまうと、みなさんはがっかりしてしまうことでしょう。でもまだ道は残されているかもしれません。

硬い茎を食べていますか? 穂先を好きなコは多いですね…

ウンチ排出のメカニズム

草食動物は栄養価が低い食べ物から効率よく栄養を吸収する仕組みを持っています。一度食べたものをすぐにウンチとして排出してしまうなんてもったいない気がしますが、うさぎは残った栄養を無駄なく体に取り入れる仕組みが盲腸にあるのです。

人間は盲腸がなくても大丈夫ですが、うさぎには死活問題なのです。牧草や総合栄養食などの食べ物は咀嚼(そしゃく)し、飲み込んで胃で分解、腸で栄養を吸収し、盲腸の付け根にある結腸で一番消化率が悪い不水溶性物質の繊維質と、タンパク質、脂質、炭水化物などの水溶性物質を分離します。繊維質は腸のぜん動運動により肛門に近づくうちにコロコロウンチとなり体外へ排出。その他は盲腸内へ送り微生物発酵(盲腸糞)させて肛門に口をつけて直接食べます。

この行為を食糞といいます。つまりコロコロウンチの正体は繊維質なのです。

それではおうちのうさぎのコロコロウンチを割ってみてください。粘りや強烈な臭いがありますか? 基本的にはありませんね。

やってみましょう! クンクン!そして割ってみて繊維質の大きさをよーく観察してください。見づらい方は虫眼鏡で!

ウンチを割ってみます!

繊維質一粒一粒が見えますか? 細かくて同じような大きさが揃っていませんか? 大きい繊維質は混ざっていますか?

拡大レンズで見たウンチの断面図。粗い繊維がたくさん摂れている

よいウンチって何だ?

私はうさぎのイベントやうさぎ専門店で『ウンチ診断』を行ってきました。通常、うさぎは見ずにウンチだけを見て、飼い主さんとお話ししているのですが、だいたいウンチを見て推測した品種と体格は一致する場合が多いです。それは統計的にうさぎの体に合ったウンチの大きさというものがあるからです。

まず、飼い主さんに誤解をしてほしくないのが『大きいウンチ=よいウンチではない』ということです。きれいな緑色でボタンのように大きなウンチ、が理想的だと考えている方が多いようですが、一概にそうとも限りません。うさぎは個体の大きさに合った腸管の大きさをしています。つまりほとんどのうさぎの場合、個体が小さければ、腸管も小さいため、ウンチも小さくなるというわけです。

私が考える『よいウンチ』は、大きさ、色よりもウンチを割ってみて『粗い繊維の含有量』から判断する必要があると考えています。

みなさんは子どもの頃にドロ団子を作って遊んだ思い出はありませんか?

ドロ団子は大きさが均一の粒子の土で丸めた場合、どんどん固くなり、小さくなります。これは粒子間のすき間が小さくなるからです。一方、木片や小石が混ざっている土だと、すき間ができてうまく丸めることができず、崩れてしまいます。

うさぎのよいウンチとは、後者のすき間のあるウンチを指し、うさぎは咀嚼しても微粉末にはできませんので、ある程度の大きさのまま飲み込みます。繊維質はそのまま排出しますので、胃腸のぜん動運動を促し、大きさが
不揃いの『粗い繊維』がすき間を作り、一回りも大きいフワッとしたコロコロウンチ(硬糞)を作り出します。

良いウンチ

牧草の茎はおいしくない?

大きな繊維質を摂取するためにイネ科のティモシーのどの部分を食べているのか観察してあげてほしいと前述しました。

しかし、うさぎの体にとって必要な食べ物は、うさぎの嗜好性が低いものが多いのです。牧草の中ではイネ科の一番刈りがそうです。茎はもっとも繊維質が高い部分ですが、穂の方がおいしいため、好んで食べるうさぎも多いです。

一番刈りの茎を残すようであれば、柔らかい牧草を食べているのと同じです。二番刈り、三番刈り、あるいはイネ科の他の牧草・オーツヘイや柔らかく加工してある牧草など、いろいろ試してあげるとよいでしょう。

黒いウンチは不健康?

一概にそうは言えません。当日のウンチである場合、水分が表面に出てきて黒く見える場合があります。また、生野菜や色の濃い牧草、穀物を多めに摂取している場合など色素、水分の含有量なども影響し、黒くなる場合があります。牧草嫌いのうさぎの場合、飼い主さんも生野菜を与える場合が多く、こうしたウンチである場合があります。

ワンポイントとして、ウンチを割ってみて大きい繊維質が入っていれば現状ではよいでしょう。しかし、もし、細かい繊維質だけのようでしたら、粗い繊維質が多く、食材を多用している総合栄養食を食べさせることで、ウンチに含まれる粗い繊維質の量が増え、今まで以上に色も大きさも改善されます。

野菜から摂取できるのは、主にビタミンやミネラルであり、牧草に含まれる繊維質は野菜比にならないほど含有量が高いので、生野菜から粗く硬い繊維を摂取できるとは考えない方がよいでしょう。

うさぎの偏食は直せる?

「牧草を食べない・・・」。そのように嘆く飼い主さんもおられます。しかし、今は牧草の種類も豊富で、産地によって、硬さによって、味わいによってうさぎの好みに合わせて選ぶことができます。

牧草好きのうさぎに食事内容を改善したい場合は、おやつの与え方を見直し、牧草を食べないと数日で即断せず、根気よく、少量ずつ、与え続けてみましょう。うさぎは確かに食べ物に対して頑固ではありますが、成長とともに、半年くらいで嗜好が変わる場合もあります。「あれっ?食べるじゃない…」なんてこともよくあるのです。

ウンチをまじめに見てみよう!その1うさぎのウンチは、今の食餌内容を飼い主さんに伝える貴重な情報源です。今回はその情報を飼い主さんがキャッチするために必要な、ウンチのメカニズムやうさぎに適した食餌内容について専門家に聞きました。...