うさぎは視力があまりよくありませんが、その分聴力、嗅覚に優れています。特に嗅覚を使って「これは安全なのか」「自分のにおい・誰かのにおい」を確認したり、主張をしています。うさぎが自己主張をするためににおいをつけるための器官、それが臭腺です。うさぎの行動を理解する上でとても重要なものです。今回はうさぎの臭腺がうさぎの体のどこにあるのか、どのような働きをしているのかをご紹介いたします。
飼い主さんが意外と知らない臭腺の場所
読者さんの中に「肛門はわかりますが、臭腺を見たことがない」という方がおられました。それでも「臭腺の掃除をしてあげたい」と考えている人が多いようです。
うさぎと暮らすの83号(2月発売号)では、そのような読者さんとリモート対談で一緒に臭腺の位置を確認しながらケアをするという企画を行いました。
飼い主さんが主に「ケアをした方がよいのではないか」と考えているのは、肛門の脇にあり、対になっている「鼠経腺(そけいせん)」のことです。しかしうさぎにはこの部分以外にも臭腺があるのです。
うさぎの臭腺スポット
うさぎがおさんぽ中にいろんなものにあごをこすりつけているのを見たことがありませんか? この部分からは分泌物が出ていて、マーキングすることで自分のにおいをつけ、縄張りを広げていきます。あごの分泌物はにおいは強くありませんが、肛門腺と鼠経腺はある意味うさぎの体の中で一番においが強いかもしれません。独特のにおいがあります。
うさぎの臭腺はこの3ヶ所にあります。
あごの下「下顎腺(かがくせん)」
肛門の近くにある「肛門腺(こうもんせん)」
肛門の両脇にある「鼠経腺(そけいせん)」
鼠経腺のケアはするべき?
鼠経腺はポケット状になっていて分泌物の汚れがたまりやすい箇所です。開いてみると分泌物が濃い茶色(黒い場合も)のかたまりになっていることがありますので「なんとなく肛門周りがにおう」などと気になる方は、時折のぞいてみるとよいでしょう。若い男の子のように発情の激しい子は分泌物がたまりやすいかもしれません。
品種で言えば、毛量の多い子や毛質の長い子は鼠経腺の位置を確認するのがむずかしいかもしれません。こうした場合はその見方をうさぎ専門店で教えてもらうとよいでしょう。また、そもそも抱っこができないと肛門周りのチェックは難しいかもしれません。
鼠経腺のケアはこまめにするべきか?…と言えば、それほど神経質にならなくてもよいでしょう。
うさぎ専門店さんでは鼠経腺のケアをしているところ・しないところがあるようです。ポケットは狭いのでたまったら自然に剥がれ落ちる、あるいは無理して取らなくてもよいというお考えなのかもしれないですね。
具体的なケア方法は汚れを見つけたら、綿棒を使います。無香料のベビーオイルを綿棒の綿に含ませ、人でいう耳垢を取るように汚れをつるりとすくいます。しっかりとした保定ができてポケットが見つかれば、そう難しくはありません。
編集部員は個人的にこの分泌物を見るたびに、『琥珀(こはく)』(植物の樹脂が時間をかけて硬化する化石。アクセサリーなどにされて高価なもの)のようだと感じてしまいます。「汚れ」というよりも「よくたまったね~!元気の印!」という気持ちで見てあげてほしいですね(^^)
くれぐれも顔を近づけてにおいをかいだりしないようにご注意を…(汗)