動物病院への通院やうさぎ専門店でのグルーミングなど、キャリーに入ってお出かけする機会が多々あると思います。『キャリーに入るまでが一苦労!』という方の解決策は後日ご紹介するとして、今回はうさぎに適したキャリー選びについて考えてみましょう。
うさぎに適したものとはー「キャリーを選ぶ際のポイント」
材質/移動手段に合わせる
車移動
重くても問題がないので、プラスチックやワイヤータイプのハードキャリーにしましょう。災害などがあった場合に避難所で短期間すごすのにもハードキャリーがおすすめです。
ハードキャリー使い道
キャリー内に給水ボトルをとりつけたい場合は、サイドがワイヤータイプになっていれば取り付け可能です。牧草トレーやフード入れを取り付けたい場合は、キャリー全体がワイヤータイプのSANKOさんのライトキャリーがよいでしょう。
キャリーを見るとおびえる、逃げるうさぎの場合は、普段からおうちの遊び場にハードキャリーを置いておいて、牧草を入れておき、キャリートレーニング(その2で紹介予定)させるのがおすすめです(出入口が上部と横開きタイプのキャリーを使用すること)。
公共交通機関
できればハードキャリーで軽量なものがおすすめですが、飼い主さんの持ち運びのしやすさも考慮しなくてはなりません。材質がポリエステルや布のソフトキャリーはショルダー・リュックタイプと共に軽量なのが魅力ですが、柔らかいのでラッシュ時の四方からの圧迫や上部への何かしらの落下があった時に不安があります。籐タイプはかわいいですが、かじり屋さんのうさぎには向きません。
材質がしっかりしていて少々の衝撃にも耐えうるものを選びましょう。
リュックタイプ
近年流行のリュックタイプのキャリー。ハードタイプもソフトタイプもあります。宇宙船みたいな丸い窓がついているタイプは一時大人気でしたね。うさぎの体重が2㎏以上あるうさぎや避難時には両手が空くのでよいかもしれません。
肝心なうさぎの居心地はどうなのかわかりませんが^^、飼い主さんには人気のようです。これまではうさぎ専用はありませんでしたが、最近アドメイトさん(ペティオ)から販売になりました。軽量で足元がすのこになっているので使いやすいかと思います。
リュックタイプは利用している方を拝見すると、背中で背負うのではなく、前側にして使っている方が見受けられます。その方がうさぎの状態が把握でき、声がかけてあげられるからですね…。
リュックはこれからいろいろなタイプが開発されてきそうなので、飼い主さんの移動手段、うさぎの居心地、使いやすさ、材質(通気性)重さ、うさぎの様子や通気性を吟味しながら選んでいただきたいと思います。
移動中の給水
移動中に水を飲まない子もいるので、好む生野菜を入れたり、飼い主さんがスポイトで水を飲ませられるようにトレーニングしておきましょう。
うさぎの性質も考慮
布タイプは何でもかじるうさぎや閉じ込められて出せ出せ~とキャリーをかじるタイプのうさぎにおすすめしません。よくぼろぼろになっているキャリーの方をお見掛けします…(汗)
大きさ
うさぎの体格に合わせ狭すぎず、広すぎずで選ぶのがポイント。狭いのは体の熱がこもりやすいのが心配なのと、広すぎると移動中の揺れでけがをする危険があります。仔うさぎの場合はお迎えショップでどのくらいの大きさがよいのか相談しましょう。保冷剤をポケットに入れるタイプなのであれば、うさぎの周囲に人のこぶし1つ分くらいスペースがあればOKです。
出入口
動物病院などはうさぎにとって『楽しい』場所ではないので、うさぎは移動の疲れと病院の雰囲気で緊張感が高まっている状態です。できるだけスムーズにうさぎを出入りさせるためにおすすめなのは上部が開くタイプです。上部からだとうさぎが無抵抗な状態で抱き上げることができます。
通常、犬・猫用のキャリーが圧倒的に種類が多いので、使われている方も多いのですが、横しか開かないものがあります。これはうさぎが出てきたくないと、爪を立てて抵抗する場合があり、けがの原因になりかねません。
ただし、お出かけに慣れていないうさぎや性質的に怖がりのうさぎの場合、上部が開くタイプも開けた瞬間の飛び出しが心配です。この場合は、うさぎに安全なハーネス→リードをしてキャリーにつけられると便利です。初めてのお出かけや久しぶりのお出かけの場合は特に注意しましょう。
事例
上開き:診察時にキャリーを開けて飛び出して骨折。横開き:うさぎの撮影会時に出てくるのをふんばって爪が折れる。飼い主さんが無理やりうさぎを引き出して骨折。
通気性
特に気を付けたいのは夏の熱中症。プラスチックキャリーにも通気の穴がたくさん開いているもの、ポリエステルタイプはどうしても中に熱がこもるので、サイドや上部がメッシュになっているものを選びましょう。
いずれにしても夏の交通機関での移動は、キャリーの上やサイド、あるいはキャリー内に保冷剤やペットボトルを凍らせてカバーをつけたものなどを入れる必要があります。
キャリー内のすのこorマット
キャリーに合わせて木やステンレスのすのこがセットされていたり、別売りのタイプもあります。SANKOライトキャリーのようにすのこの下にトレーが別材質になっていてシーツが敷きやすいタイプもあります。
すのこがなく、シーツを敷いた状態だけだとうさぎがシーツを食べてしまったり(吸水ポリマーを含むものもあり危険です)、中でホリホリしてずれてしまって役立ちません。
キャリーに合ったすのこがない場合、DIYして作るか、おしっこを吸水してくれるマットを敷いてあげましょう。
移動について
重量
キャリーの重さ+うさぎの体重を加算し、飼い主さんの移動に使いやすいものを購入するようにしましょう。ショップさんでセレクトに困ったら、キャリーの中に同様の重さの商品などを入れてシュミレーションさせてもらうとよいでしょう。またそれぞれキャリーにはおおよその体重制限もあるので選ぶ際は注意しましょう。
参考の重さ
マルカンさん/ポリエステルうさぎキャリーバッグ:約W37.5 xD 22.5 x H29.5 cm、約1.4 kg
リッチェルさん/キャンプキャリー:約W31.5 x D47 x H28.5 cm、約1.8㎏
SANKOさん/ライトキャリー:約W28×D46×H28.5mm、約2.3kg
※2㎏以上のキャリーはハンディにして持つと重いと感じる方は(筆者自身がそうです)、持ち手の長いカバーに入れて持つことをおすすめいたします(写真はうさぎのしっぽさんの『しっぽトート』です)。
公共交通機関を利用中の注意
JR電車での移動はうさぎの持ち込みが有料(手回り品)になりますので、窓口で別途切符が必要になります。事前に確認しておきましょう。また動物が苦手な方や動物アレルギーの方も多くいるので、移動中にうさぎをキャリーから出してなでたりすることもNGです。
キャリーカバー
SANKOさんのライトキャリーのように丸ごとワイヤーメッシュになっているタイプのキャリーは、うさぎも移動中に視野に入る情報が多く(人ものぞいてきます…)、疲れてしまいますので必ずキャリーカバーをつけましょう。
車移動の注意
キャリーは車の座席にシートベルトをかけて固定するか、車内の床に置きましょう。くれぐれも急ブレーキでキャリーが転がらないよう注意してください。運転手さんには安全運転をお願いしましょう。
夏の移動はエアコンを切った状態だと50℃近くに温度が上昇します。必ずエアコン使用で移動しましょう。
なお、うさぎと暮らす方々の車や電車移動については、雑誌うさぎと暮らすNo.81で特集していますので合わせてご覧くださいネ。
追記
拝見していると、移動中は何も食べない、おしっこもしない、という理由からキャリー内に何も入れていないことがあります。時にはおしっこやうんちをキャリーにしてほしくないという声もあります。
しかし、長期の移動にそれは酷なことです。牧草や生野菜、乾燥野菜、あるいはいつも使っているマットを入れてあげることでその香りでうさぎもリラックスします。筆者はうさぎの移動中に野草を必ず摘んで入れてあげるのですが、移動が嫌いなうさぎでありながらも移動の合間にいつの間にか食べてくれています。また普段食べないような下記の牧草バーも食べてくれたりします。キャリーの中では退屈なのだと思いますよ。ぜひ取り入れてみてください。
次回はキャリートレーニングをご紹介します。