うさぎと暮らす本誌や当サイトにて「ペットセーバー(救命救急法)」のご紹介をしておりますが、その講師であるサニーカミヤ先生による新たな講習会『トライアングルケアセミナー』が行われました。本誌抱っこ講師でもある寺村万紀さんが参加してきました。
文・撮影/寺村万紀
講師はサニー・カミヤさん
「トライアングルケア講習会」は、ペットセーバー講習を主催している「一般社団法人日本国際動物救命救急協会」による新たなるプログラムです。講師はペットセーバーと同じくサニー・カミヤ先生です。
サニー・カミヤさん…元福岡市消防局でレスキュー隊小隊長、国際緊急援助隊員、ニューヨーク州救急隊員。ペットの防災やペットの救急法の講師として幅広く活動している。
トライアングルケアとは・・・
『トライアングルケア』とは聞きなれない言葉ですが、家族である動物の命が虹の橋に渡るまでの過程の中で飼い主が経験する「終末ケア・祝別ケア・命のケア」をイメージし、可能な限りペットの痛み・苦しみの軽減、飼い主の悲観による生活の質の低下を予防を目的とするものです。
セミナーでは、
1.ターミナルケアラー(終末ケア士)
命の終末に向かうペットと家族への段階的な様々なケア
2.グリーフケアラー(祝別ケア士)
命の終末を迎えたペットと家族の準備と心のケア
3.スピリチュアルケアラー(命のケア士)
魂となった命や新しい命に対する向き合い方やケア
この3つについて学び、グループディスカッションを行います。
具体的な資格の内容としては、ペットと闘病やお別れを経験する上で起こる悲しみ・苦しみのプロセスを先読みしておくことで、段階的な心構えと準備することの大切さと、祝別(鎮魂)後もペットが去ったことによる感情の変化等を自分のペースで取り戻し、日常を継続的に迎えることにつなぐことができる状態にするためのものです。
また、私たちに起こりうる感情等の変化を可能な範囲でシミュレーションによるワークショップを通じて、体験することで、命に対する向き合い方や日々の命への配慮が向上・改善されたり、新たな気づきときっかけが生まれることもあると思います。
講習では、さまざまな悲哀体験を話して、聞いて、知って、備えることを行いますが、自責を行ったり、感情的になって自分の考えを他に押しつけるのではなく、相互に悲哀を共有して、次の命へバトンタッチしていくための命の連鎖「限りある命をつなぎ続けること」を摂理として身に付けるための一助にしていただけることを目的としています。
離別体験リスクの共有・・・
必ずしもおうちで看取ってのお別れとは限らず、鳥の飼い主さんなどのように「飛んで行ってしまった」と…いうこともあります。
こういうケースは生死が分からないから気持ちのやり場は難しいです。しかしながら考え方を切り替える。「別の場所で元気に生きている!と思えば良い」というアドバイスがありました。
1.ターミナルケアラー
末期疾患や重篤状態に対し、最善の治療や生活環境へのアプローチ
ペットも飼い主も双方、心身ともに大変ではあるが「何がその子にとって最大限のサポートができるか」と
いうことが重要。
心身に起こった健康リスクの共有・・・
犬の飼い主さんは、足腰が弱っても他者に「かわいそう」と思われたくないと自作のお散歩グッズを製作したり、何十年ぶりに泣いた・・ということをおっしゃっていました。
介護経験のある方は「大変だったけど『幸せだった』」とみなさんおっしゃっていました。
2.グリーフケアラー
同居している家族(ペットも含む)がいたり、一人暮らしと・・・環境も様々です。
同居している家族がいる場合、他の家族の気持ちも尊重することが必要になります。一緒に住んでいても気持ちはそれぞれ異なります。
祝別の手紙・・・
祝別について習います。見送った子への感謝や思い出など……その子に向けてのお手紙を書くこと。
書くことで昇華していくのではないかと思います。
祝別-キリスト教の祈り・儀式とのこと。カトリックでは、死は生の始まりを「祝福」として捉えています。死によって肉体が滅んでも霊魂は神の御許(みもと)に召され、永遠の生命が始まるという教えがあります。
※日本の仏教では「鎮魂」に近いそうです。
ペットとお別れをした経験は、受講している方たちも当時のことを思い出すのか・・・もらい泣きをしてしまいます…やはり涙が出てきます。こうして共有することも大切なのだと思います。
3.スピリチュアルケアラー
命ということの意味を知り、優しさ・自愛に目覚める機会となり、最後までその子らしく生きていけるように家族や医療従事者など、その子に関わりのある方達と協力する姿勢。
新しい家族への手紙・・・
本日学んだことを実践すること・・・
話すことに抵抗があるので積極的に話せない・・・しかし「言葉にすることは大事」なのだそうです。
総括・・・
今回、私が受講しようと思ったのは、かつてペットロスを経験したことがあったからです。幾度もお見送りしていたのに、ある子を亡くした時に約5年ほどペットロスになりました。当時はペットロスという言葉も一般的ではなく、情報が乏しかったのです。
今回、自分の話をする/他の人の話を聞く、ということで気づかなかったことに気付けたり、共感することもありました。
私自身、これまでうさぎを多頭飼育してきたので、先立ったうさぎを想い、残されたうさぎが離別体験から落ち込んでしまい、メンタルケアが必要だったため(編集部注:うさぎ同志の絆から、うさぎも仲間を失い、元気がなくなってしまう…こうしたケースは少なくありません)、当時はそのうさぎを優先してケアしました。そんなわけで、今回、参加したことで改めて自分自身と天空(我が家の初代うさぎ)と向き合うことができたように思いました。