その他

USAKURA ARTの旅:今井杏さん(イラストレーター)

うさぎのアート作品を紹介していく「USAKURA ARTの旅」。今回はイラストレーターの今井杏さんです。

今井杏さん(イラストレーター)

今井杏

大分県出身。子供の頃から動物好きで、動物を題材にイラストを描き続け、美大卒業後はフリーで個展やアートイベントで活動。露天風呂に入ったうさぎや犬など、素朴な脱力系の作品はどこか懐かしく、癒される女性が急増中。シールやハンコ、トートバッグなど、商品化されたデザインは全国展開されている。(取材当時)

webサイト

作品のコンセプトは

実家がいわゆる田舎の家で、庭が広かったので常に動物を飼っていました。一時期、鳥だけで20羽、犬、金魚などもいて、ミニ動物園みたいな感じでした。動物がいることが当たり前の環境で育ったので、動物は友達みたいな感覚で、イラストを描くうえで自然の流れで題材になりました。私のアートコンセプトは「身近なアート」です。私も絵が欲しいと思っても高くて買えない、という経験があったので、ポストカードや文具、バッグなど手軽に手に入るアートとして楽しんでもらいたいと思っています。自分が思いつくままに描き上げた作品の中から、メーカーさんが文具や雑貨に商品化してくれています。逆に「こういう動物で…」などと発注を受けると自分の力が発揮できないので、自由な発想で描かせてもらっています。作品には幼少期の記憶が強く影響していて、日常では普通に生活しているのですが、ひとたび描き始めると一気に過去の記憶にさかのぼることができて、過去の記憶を作品に使い分けられるようになりました。小さい頃は雨のしずくが人の顔に見えたり、無造作に落ちている石が小人に見えたりして、モノと対話していました。そのような感覚が、動物が意思を持っているかのような作風になったのだと思います。動物の姿は図鑑などを参考にすることもありますが、見ながら描くということはしないで、眺める程度にして、描くときは自分の頭の中のモノを表現するようにしています。

うさぎのイラストへのこだわりとは

うさぎが大好きになったきっかけは、小学校の飼育係の経験からでした。うさぎ小屋の世話はみんな嫌がっていましたが、私は自宅に動物がいっぱいいて臭いに慣れていたのと、掃除が好きなので全く苦ではなく、進んで楽しくやっていました。うさぎが可愛かったという記憶が強くあります。当時、白毛で赤目の長い耳の子を世話していた経験から、イラストにするうさぎは、白くてフワフワしてピーンとした長い耳のうさぎばかり描いています。私の作品の中でもうさぎの作品は特に人気があって、若い人から年配の方まで「癒される」「落ち着く」とか、年齢層関係なく声をかけてもらえるのが嬉しいです。

作品はどのように描いているのですか?

画用紙だと毛羽立つのでケント紙に描いています。絵の具のアクリルガッシュは水溶性ですが、乾くと耐久性があるので使っています。私の作品は少し変わった塗り方で、たくさん色を重ねて描いています。例えば「露天風呂」という作品の花は、3回色を重ねていて、乾く前にティッシュで拭いています。外から乾いていくので、輪郭は濃いのに中は上手くぼかしたり、面白い濃淡が出せるのです。すぐ乾いてしまうので拭くタイミングに気を配っています。塗って戻って、塗って戻ってを繰り返します。下描きをしたらそのまま一気に描くのではなく、描いた翌日に客観的に見てから修正を加えて着色していきます。