うさぎの健康

メスうさぎの子宮疾患

メスうさぎの病気
メスうさぎの病気

「うさぎと暮らす」本誌では2012年の8月発売・No.45で「知っておきたい避妊・去勢学習帖」という特集を取り上げました。この当時、まだまだメスの避妊手術をすべきかについてかなり意見が分かれるところでありました。その後、獣医さんやうさぎ専門店、飼育書などの情報拡散によって、年々メスのうさぎに子宮疾患の割合が高いことが知られるようになりました。うさぎの避妊手術は麻酔のリスクなど、事前に飼い主さんが知っておくべき情報が少なくありません。ここではうさぎの子宮疾患についてご紹介し、次回で避妊手術について紹介したいと思います。

メスの生殖器疾患の割合

メスうさぎ
メスうさぎ

まず、うさぎのメスをお迎えするときに知っておいてほしいのが子宮の病気。子宮ガン、内膜増殖症、水腫などが手術をしていないメスのうさぎに80%の確立で発症するというデータがあります。近年では飼い主さんの意識が高くなり、うさぎに1日でも健康で長生きをしてもらいたいと、避妊手術は繁殖を制限する以外に、病気の予防を目的として行われることが多くなっています。

メスの体のメカニズム

自然界においてうさぎは絶えず天敵に狙われる被捕食動物であるため、子孫を残さなくてならないことから高い繁殖能力が備わっています。メスうさぎは生後4~5ヶ月をすぎれば妊娠が可能になります。メスは一定した性周期がなく、月のうち2日から3日程度の発情休止期がある以外は、年中発情状態が続きます。生理はなく、オスと交尾した刺激によって排卵が行われます(猫と同じ交尾排卵動物)。つまりオスと一緒にすれば高確率で妊娠します。

うさぎのメスの生殖器
うさぎのメスの生殖器

メスは年に4~8回の出産が可能で、妊娠すると約1ヶ月後に4~12匹の仔うさぎが生まれます。

メスの体は卵巣から分泌される雌性ホルモン(黄体ホルモン、卵胞〔卵子が入ったろ胞〕ホルモン)によってコントロールされています。卵胞ホルモンの分泌が活発になると発情が激しくなり、排卵すると卵胞は黄体に変化し、妊娠期間は黄体ホルモンが活発になります。妊娠している時以外は、常に卵胞ホルモンが活発ですので、発情が続いて攻撃的になったり、ホルモンの影響で乳腺や子宮に異常を起こしやすくなります。

妊娠中や偽妊娠の兆候があると牧草や自分の毛で巣作りをはじめる

子宮・卵巣・乳腺の病気

子宮腫瘍(子宮腺ガン)

ホルモンの影響によって子宮内膜が増殖し、内膜過形成(増殖症)→ポリープ形成→のう胞性過形成→線腫→子宮がんへと進行していきます。

初期は症状が現れず、進行すると急な食欲不振、貧血、血尿、乳腺のう胞化(液がたまる)、尿道の部分閉塞、さらに進行すると肺に転移して呼吸困難、肝臓・脳・骨への転移が現れます。治療は子宮・卵巣の全摘出手術を行います。

子宮系の病気ではそのほかにも子宮水腫、子宮蓄膿症、偽妊娠などがあります。

摘出した子宮腺ガン

偽妊娠(乳腺炎)

黄体ホルモンの影響によって、乳頭(標準は8個)を中心に妊娠した時のように乳腺が発達することがあります。乳汁がたまりすぎると乳腺炎になり、硬く腫れたり熱を持ったりします。症状が進行すると、痛みが伴うために食欲低下や発熱などが現れます。

卵巣のう腫、卵巣腫瘍

卵巣は卵子を蓄えるためのメス特有の臓器で、子宮の両側にあります。卵巣ガンは、卵巣にできた腫瘍のことで、卵巣のう腫は、卵巣の一部に袋状の液体がたまって大きく腫れる病気です。

子宮水腫

子宮内に液体がたまる病気です。妊娠した時のように腹部がどんどん大きくなります。

うさぎの場合、これらの症状があらわれていなくても、定期健診時に腹部聴診や超音波検査で子宮疾患が発見されることもあります。2~3歳をすぎると病気の発症率も上がります。また、年齢を重ねるほど脂肪がついてきたり、体力的に避妊手術のリスクは高まります。

予防としては避妊手術で予防するか、健診をこまめ行い、少しでも早期発見をすることが大切です。

次回は避妊手術についてご紹介します。

※こちらの記事はうさぎと暮らすNO.45&70から編集いたしました。