近年ではうさぎに関する飼育本や病気の本なども多く見られるようになりました。しかし、実際に病気やケガに直面した時、私たちは具体的に何をしたらいいのかなかなか分かりません。日頃、私たちにできることは、うさぎの健康を守ること。そして、病気やケガをした時には、いかに早く動物病院へ連れて行くか、またおうちで看護がきちんとできるかどうかが大切になってきます。いざという時に慌てず、より的確な対処ができるように。家庭でできることをチェックしていきましょう(うさぎと暮らすNo.24より改編)
家庭でできる健康管理
うさぎは、もともと捕食される動物であるため、具合が悪くなってもそれをあまり表に出さないと言われています。しかし毎日うさぎと向き合っていると、今日は機嫌が悪いなぁとか、いつもよりちょっと食べる量が少ないかも…と飼い主さんならではの小さな変化、顔色がわかるようになっていることに気づきます。また、逆に飼い主さんが具合が悪かったり、落ち込んだりすると、それを敏感に感じ取って、心配してくれたり、つられてうさぎまで具合が悪くなったという経験はありませんか? うさぎはとても敏感な動物なのです。その分、さまざまな行動で私たちに雄弁に語りかけてきます。そんな行動の一つ一つの意味を汲み取ることができれば、うさぎともっと素敵な関係が築けるでしょう。
そのためには日々の観察がたいせつになってきます。
いつもと違う行動・様子・排泄物の異常などを目撃したら
おうちのうさぎが日頃と違う行動をしていたら、機嫌が悪いだけなのか、どこか具合が悪いのか判断できるようとよいのですが、なかなか難しいことでもあります。特に以下のような行動が見られた場合、体調が悪いサインであることが多いので参考にしてみてください。
- ごはんを残す
- 飲み水の量が減った
- ケージを開けても出てこない、動きが鈍い
- トイレ以外の場所で粗相をしてしまう(加齢による場合もある)
- 普段は行かない場所に行こうとする
- いつもと違う所で休んだり、寝ていたりする
- 触ろうとすると逃げる
- なんとなくイライラしている
- ぼーっとしていたり、佇んで空を見上げるしぐさが増える
- 体重に変動がある(急に太った・やせた)
このような状態の時は、よく観察するように務め、下記のような変化もある際はすぐに病院へ電話を入れて症状を説明して診察へ行きましょう。
- うんちが小さい・排せつ物が少ない・出ていない・下痢気味、血尿・おしっこが砂っぽい
- よだれ・呼吸が粗い、浅い・連続するくしゃみ・眼振・眼球が出ている・涙量が多い・けいれん・ふるえ・ふらつく・体が熱い・足をひきづる・ほほが膨れている、皮膚にできものがある、鼻の周りの血色が悪いなど身体的な異常
飼い主さんが少しでもおかしいと思ったら、動物病院へ行くことを習慣づけましょう。何もなければそれでよいわけです。
当方もインターネットの記事なので恐縮ですが、人の病気も動物の病気もネットで検索して、「これは病院へ行かなくてよさそうだ…」と自己判断・診断をするのは避けましょう。個々の症状としては似ていたとしても病気が同じとは限らないからです。
病院への移動や診察によるストレスを心配する方もいらっしゃると思いますが、それよりもうさぎ自身が何かしらの原因で病気を抱えている場合、すぐに処置をしないと手遅れになってしまいかねません。
うさぎが体調不良のサインを表した時点ですでに重症である可能性もあるのです。
また、肝心なことは日頃から、健康診断へ出かけて、良い動物病院を見つけておくこと。通院にも慣れ、いざという時におうちのうさぎについて健康な状態を知っている先生がいると心強く、よりきちんと治療をしてもらえるでしょう。
うさぎの病気、ケガは、何よりも早期発見が大切。それを常に心に留めてうさぎと接するようにしましょう。
おうちケアに便利な道具&アイデア
うさぎの健康を管理するために用意しておきたいもの、またいざという時のための救急グッズをピックアップしてみました。どれも飼い主さんの強い味方となってくれることでしょう。
ぜひ用意したいグッズ
デジタル体重計
体重は、健康のバロメーター。より正確に測るためには、グラム単位で測ることのできるデジタルの体重計がおすすめです。
お目目やお尻などの清潔グッズ
ノンアルコールの精製水・洗浄綿(ウエットティッシュ)、コットン、綿棒、ケア用ブラシなどはポーチに入れていつでも取り出せるようにしておきましょう。
カイロ・保冷剤
気温調節の難しい夜や、お出かけのキャリーの中で重宝します。代わりに空いたペットボトルを常備し、寒い時はお湯を、暑い時には水を入れたり、凍らせても(い・ろ・は・すのような薄手タイプはNG。加温・冷凍対応のペットボトルを使いましょう)。
シリンジ・スポイト
強制給餌や薬を飲ませるためのグッズです。強制給餌用は、水用には小さいシリンジやスポイトでもOK。フードを与えるには目詰まりを起こす可能性があるので、先端の太い大きめのシリンジを用意しておきましょう。
うさぎ用流動食
うさぎが食餌を取っていないときは胃腸を動かすために食事摂取が必要ですが、飼い主さんの自己判断はしない方がよいでしょう。というのはうさぎの食欲不振の原因が何であるかが不明であるためです。まずは獣医さんの診察を経て適切な指導の元、こうした専用フードでの強制給餌を行います。
強制給餌用フードは、うさぎに必要な栄養分が(チモシーやミネラル、ビタミン類)が細かい粒子になっていて、水を含ませてシリンジであげられるようになっています。水分量で調節して流動食やおだんごにして与えます。1年に1回買い換えるような感覚で常に保存食として準備しておきましょう。市販品もありますが、かかりつけの動物病院で処方してもらうこともできます。
給餌の仕方はいざうさぎが体調を崩した時だとあわててできないこともあるので、普段から練習しておく必要があります。保定や体の姿勢など、誤嚥がないように飲ませるにはコツがいりますので、獣医さんやうさぎ専門店に聞いておくとよいでしょう。
水分補給
脱水状態の時、おうちでも早急に水を飲んでもらう必要がありますので水分・電解質・ブドウ糖を補うペット用イオンバランス商品には粉末スティックやゼリー商品を準備しておきましょう。若干の甘みがあるので、体調不良のうさぎも受け入れやすいです。スティックタイプ(1袋約10gを水200mlに溶かして使用)のものは水で溶かしてシリンジ・スポイトトレーニングしておくとよいでしょう。
投薬
処方薬は粉薬、粒状、液体とあり、シロップ系の液体は甘みがプラスされて飲んでくれるケースが多いようですが、粉末で積極的に食べてくれることがない場合、うさぎの好む野菜などを活用して与えます。粒状タイプもミルで粉にして同様にします。
包帯
ケガをして出血が止まらない時や保護したい箇所・足裏部などに重宝します。人間用の包帯で代用できます。「自己粘着性」のものを選べば留め具はいりません。
あってもよいかも?グッズ
聴診器
より詳しく健康管理をしたい方におすすめ。お腹、心臓、肺の音を聞くことができます。ただ、音を聞き分けるには、十分な鍛錬が必要になりそう。
クイックストップ
家庭で爪切りをする場合に用意しましょう。軽い深爪なら患部に塗るだけで、止血できます。すぐに血が止まらない時は、すぐに病院に連れて行きましょう。
使い方は製品の中身はパウダーになっているので、微量を綿に付し、出血患部を適当な力で5〜10秒間圧する。
こうした商品がない場合は、患部爪の根元をぎゅっと押さえて止血します。
次回は健康チェックのポイントをうさぎの部位別にご紹介します。