うさぎの健康

教えて! うさぎのソアホック【2】治療例

うさぎの足の病気・ソアホック(足底皮膚炎)の原因や対策についてご紹介した前回に続き、今回は『うさぎと暮らす』読者さんのソアホック治療の経験談です。実際に試行錯誤された対策や治療の様子をご紹介します。(うさぎと暮らすNO.74を一部改変) 

治療のポイント

  • かかとの毛をめくってソアホックがないか定期的にチェック
  • さわってうさぎがビクンと反応するようなコブの場合、痛みがあるはずなので病院へ行きましょう
  • 初期症状の赤ポッチの状態のうちに生活環境を見直しましょう
  • 床敷を見直す 患部に負担をかけないもの低反発マットなどに。摩擦が少ないものに
  • 患部に排泄物(特におしっこ)がついたりしないよう足裏を清潔に保つ
  • 太りすぎ・ボディバランスに偏りがないかプロの目で見てもらう(動物病院・専門店)
  • 爪が長くなりすぎないようにケア

《体験談》うさちゃんのソアホックレポート

ネザーランドドワーフ(オス・当時2歳)の例

ソアホックに気づいたのは、専門店にてグルーミングをしてもらっている際に店員さんに言われて気づきました。専門店でアドバイスを頂き、保湿に努めました。

飼育環境は、ソアホックに気づくまでは金網スノコの上に木製のスノコを敷いていたのですが、気づいてからはさらに、わら座布団と麻で作られた座布団を敷いています。

気づいてからおおよそ一年以上経ちますが症状は変わらず、現状維持の状態なので、保湿ケア用品を変えてみました。患部に抗菌・保湿作用のあるスプレーを吹き掛けて軽く揉み込んでいます。

MicrocynAH® Wスキンケア

ライオン系うさぎ(メス・当時5歳)の例

歩きづらそうな様子が見られなかったのでしばらく気づきませんでしたが、爪切りのために仰向け抱っこした時に両足のソアホックを見つけました。

まず動物病院で患部の診察を受けました。しかし獣医さんからは今は積極的に治療をする必要はないので、むしろ足に過度な刺激が加わらないように生活環境を見直すように言われました。

そこで普段トリミングをお願いしているショップにも相談したところ、幹部には『アルファ・ローション』という動物用のスキンローションの塗布を勧められました。また、生活環境改善の具体的なアイデアもいくつかもらいました。

ショップにすすめられたアルファ・ローション

我が家では完全に放し飼いにしています。部屋の床はフローリング部分、フローリングの上にヨガマットを敷いている部分、敷石の部分があり、どれが直接の原因かは特定できていません。ただヨガマットの表面がゴム状なため、その摩擦が最も怪しいと推測しました。そこで最も怪しいと思われるヨガマットを覆うように、クッション性のある厚手の布を敷きました。

あるとき、布の上でオシッコをすることがわかりました。そのままだと衛生的に問題があるため、同じ布を何枚も用意して、ヨガマットの上にペットシート、さらにペットシートの上に布を敷き、ペットシートと布は毎日交換するようにしました。

余談ですが、布が何かの本能を刺激するのか頻繁に『ホリホリ』します。布の上に重いものを置くなどして『ホリホリ』できないようにする工夫が必要でした。さらに余談ですが、オシッコの色で健康状態も把握できるよう、布とペットシートは白色のものにしました。

放し飼いのため部屋全体に布を敷き詰めました

ショップでは生活環境の改善のほかに、ダイエットも勧められました。2㎏超なので、そのことも足への過剰な刺激になっているのではないかということです。

クッション性のある布とダイエット、スキンケアローションのおかげで1年ほど掛かりましたが、無事に完治しました。

獣医師によると、傷や感染症の治療をしても、家庭内でのケアが不十分だとソアホックが再発してしまいます。ソアホックは床の状態、衛生面、体重など様々な要素がからんで発症すると言われています。家庭内でのケアはそれらの要素を総合的に見直す必要があり、実際は試行錯誤の連続でした。気長に付き合うというスタンスが必要かと思いました。

ネザーランドドワーフ(オス・当時4歳)の例

昨年、かかとが少し脱毛していることに気が付き、病院に連れて行き飼育指導を受けて改善しましたが、引っ越しをしてまた再発しました。こちらでは2軒の病院で見てもらいました。

ある病院ではプラスチックすのこはダメですと言われ、別の動物病院ではプラスチックすのこを推奨されました。部屋に出している時間は8時間くらいになると思いますが、ケージではスノコに座ってい時間が長いので影響を受けてしまうのだと思います。足ダンもしませんし肥満でもないので、やはり敷物が原因かと。

プラスチックすのこを布製のマットのようなものに変えたり、レーザー治療と消炎剤の処方を受けましたが、帰宅後うさぎの様子が変だったので一度きりでレーザーは終了しました。

うさぎ専門店で相談したら、グルーミングスプレーとアニマストラス(液体サプリ)の内服を勧められて使っていましたが、足がスプレーで濡れることで、ピートが神経質になって毛づくろいをよくするようになり、悪化してしまったような気がして、スプレーはやめてアニマストラスを与えています。

生活環境は今は布製のマットの下に少しデコボコした柔らかいプラスチックのマットを敷いて、布マットの上にはチモシー座布団を敷き詰めています。

最初は座布団が気に入らず、投げまくってましたが、今は座布団に座ってます。座布団におしっこをしちゃうので、次亜塩素酸を吹き掛けて天日干しして、不衛生にならないように気をつけています。

患部は脱毛で肌が赤っぽくなっています。へやんぽ中にジャンプしたり走ったり急に方向転換したりするので心配です。

小さい紅斑があります

Mix(メス・当時5歳)の例

歯の不正咬合から偏食になり、うっ滞にかかることがあります。過去に斜頸を起こしたことがあり、後ろ足が開帳肢気味であるためか、ボディバランスが偏っているのかもしれません。トイレに座ることも多いそうで、ソアホックも痛そうです。現在、免疫力を上げる治療をしています。

ソアホックには応急処置として包帯を巻きました。包帯がくっつくタイプでハサミがいりません。患部を清潔にして、着けるのが望ましいです。足裏の負担を和らげます。

自己粘着性 伸縮包帯

Mix(メス・当時9歳)の例

発見から完治:約6ヶ月くらい。患部の治療、通院は約10回程度で、始めは3日に1回、まめに通いました。ソアホックは、ケージから外に出ていて、後ろ足を伸ばした状態で座っていることに気づきました。

日ごろ、家の近くで爪切りをお願いしている病院で、うさぎを診てくれるいい病院があると聞いたことを思い出し、早速その病院に連絡し、診察してもらいました。

診察の時にトイレや動きなどが以前と変わって足が痛そうにしていることなどを説明しました。足底皮膚炎が進行して膿瘍もできていることがわかりました。病院では各々について詳しく書いてある資料をくださいました。

肥満気味であると指摘を受け、ペレットの給餌も測って与えるように改善しました。

患部の奥に膿がたまり、その表面に硬いかさぶた状のふたができていたので、それをやわらかくするためのマッサージの仕方も教わりました。

皮膚炎が進行して潰瘍になっていた

その後、かさぶた状のふたが取れたので、膿の排出と直接傷口への薬の投与を行いました。高齢と共に足腰も弱くなっているとのことで、足腰を保護する注射をしていただきました。自宅では病院で処方していただいた薬の投与、膿を排出しやすくする患部のマッサージのほか、やわらかいマットの上にペットシーツを敷き、おしっこが直接患部に付着しないようにしました。最近は高齢のため、おしっこをハンギングトレイ上でしてしまうことが多くなりました。そのおしっこが足に付着しないようにハンギングトレイを取り外しました。

ケージ内をリフォーム。まずは100均のマットを敷いて…

その上からペットシーツを敷いて傷口が不衛生にならないようにした

治りにくい病気とのことでしたが、幸い先生が感心するほどとてもよくなりました。
現在は足腰を保護する注射のおかげで、それまではトイレでほとんどできなくなっていたおしっこを7割くらいトイレでできるようになりました。

病気の原因を取り除き、病院での治療と家庭でのケアを毎日根気よく続けたことによって治ったのだと思います。この病気になってしまったうさぎさんがいたら、時間がかかり大変とは思います。でもあきらめずに根気よく治療とケアをしてあげるとよいと思います。

動物病院からのアドバイス

ソアホックの治療

ソアホックは飛節びらん、足底皮膚炎などと呼んでいますが、前肢に発症する個体もいることから、現在は「足底皮膚炎」の呼称で統一されつつあります(飛節とはかかとを指す)。

足底皮膚炎は、最初は小さな脱毛と軽い皮膚炎から始まります。そのまま放っておくと、皮膚炎→びらん→潰瘍と進行します。

病院によっては軽い皮膚炎の段階ですと外科用接着剤を薄く塗布し患部をコーティングするだけのこともありますが、症状が進行していると、膿の排出、飲み薬、抗生物質の投与、消毒薬(イソジンゲル)の塗布といった治療が必要になります。

生活環境の見直し

足底皮膚炎は、床材の刺激、運動不足、肥満などが原因で、四肢の特定箇所に過度の刺激を与え続けることで引き起こします。できればケージを広くしたり、へやんぽの時間を取るなどして運動ができるようにするといいでしょう。

上記のうさちゃんは年齢的に加齢による運動機能の低下が見られたので、関節の動きをよくするカルトロフェンを処方することで、運動不足の解消を図りました。

また、床材が不衛生だと細菌感染による症状の重篤化を招きますので、床材を刺激の少ない物に変えるだけでなく、柔らかく吸水性にして清潔を保つことも重要です。

足底皮膚炎はいくら患部の治療を行っても生活パターン、環境が同じでは、治療効果が出にくいだけでなく、一時的に改善が見られても間違いなく再発してしまう根治が難しい炎症です。飼い主さんはケージの床にマットを敷いて四肢への刺激を減らし、また腎機能の改善が見られるまではペットシートも敷いてオシッコが患部に触れないように工夫されました。ご家庭でのケアはとても重要です。

イソジンゲル(獣医さん処方による)

いかがでしたか?
症状や治療、適した対策などは全てうさぎによって異なりますので、獣医さんや専門店などの方に相談しつつ、うさぎの足裏にやさしい環境づくりを心がけましょう!

編集部注)ご紹介しているうさちゃんの例は、獣医さんの診察のもと、処方薬で治療しています。ソアホックの状態も軽症・重症とありますので、安易に薬をインターネットで取り寄せて使用することはおやめください。