うさぎの飼い方

ペットセーバー「エキゾチックペット」講座レポ

日本は世界の中でも地震などの災害が多い国です。今後身近で災害が起こり、大切なうさぎが巻き込まれてしまった時、救急処置が必要な時に命をつなぐことができるのは、そばにいる飼い主さんにほかなりません。当サイトでも過去に「ペットセーバー」の資格についてご紹介しましたが、ペットセーバーとは災害や事故時におけるペットの救出活動を習うことができます。先日(2022年8月10日)、いよいよ「エキゾチックペット」を対象としたプログラムが行われるということで受講してまいりました。

講習内容

講師/サニーカミヤさん 

米国籍。一般社団法人日本国際動物救命救急協会代表理事。元福岡市消防局でレスキュー隊小隊長、国際緊急援助隊員、ニューヨーク州救急隊員。人命救助者数は1500名を超える。ペットの防災やペットの救急法等幅広く活動中。近刊に緑書房「ペットの命を守る本」(監修/小沼守)定価2,420円

目的は「助かる命を助ける」こと

サニーカミヤさんが代表理事を務める一般社団法人日本国際動物救命救急協会では、一般的な飼養責任者、動物占有者、消防士向けに災害や事故時におけるペットの救出救助、救命救急活動に必要な目的達成ための各種ペット救急講習として「ペットセーバープログラム」を開始しています。その目的は「助かる命を助ける」ことです。

協会では、今回行われたエキゾチックペットのプログラムのほか、犬猫の救命救急や動物看護師&トリマー向け、災害救助犬・警備県・警察犬などのプログラムがあります。私たちうさぎと暮らす人には「エキゾチックペット」のプラグラムが最適です。

実際に受講したことをざっくりとご紹介しますと…

・手袋の必要性・外し方

感染予防にプラスチック手袋は必須

・ペット救急の法令

・獣医師に引き継ぐまで行うべきこと 救急救命処置、観察・意識の確認

・救命救急処置の時の注意(手袋必須)

・救急処置の必要性(救命・救急の違い)

・蘇生中や蘇生した動物への配慮

・搬送準備

・心肺蘇生・体位変換・胸部圧迫

・胸部圧迫 心臓ポンプ理論(心臓を直接圧迫)

・気道異物除去 エキゾチックペットは食べ物や床材やおもちゃを誤飲し、窒息。あるいは高齢ペットや弱った個体は誤嚥し呼吸困難になることがある。口が開きにくかったり、吐けない特性がある動物にできる方法は…

・ペット別バイタル(TPR)

 T=temperature (体温)  P=Pulse(心拍数) R=Respiration(呼吸回数)

・応急処置 止血法、骨折、アナフィラキシーショック、やけど、熱中症など

・ペットの異常 呼吸困難、脱力感、発作、外傷、感電、誤飲など

 について習いました。

為になったこと

筆者の認識としてこれまでうさぎに対し、獣医さんに引き継ぐまでに自分が知る限りの応急処置や観察をするという意識はあったものの、自身で「胸部圧迫」による「心肺蘇生」を自身で行うという点は頭が回りませんでした。

人用のAED(自動体外式除細動器)では、消防士さんから使い方を習ったことはありました。私がプライベートで応援しているチームのサッカー選手がトレーニング中に急性の心筋梗塞から心肺停止を起こし、しかし環境にAEDがなく、応急処置ができずに亡くなってしまったので思うところがありました。

ペットには人の手で行うしかないですからね…。

胸部圧迫の方法は、心臓(前足の肘関節を曲げたところ、第4・5助軟骨結合部)に片手を軽くあてるか、上から下になでるか、タップして自発呼吸改善を促すというもの。タッピングは簡単そうでいて難しく、同じ間隔で行い、途中でやめるわけにはいかないので容易ではありません。

うさぎの心臓どこ?

講義の中で流れた動画の中に、野生のリスが感電して意識を失ってしまい、発見した人が心肺蘇生を熱心に行うと、意識を取り戻して逃げていくところにはびっくりしました。これが助かる命を助けるということなのですね。サニー先生のお話によれば、獣医さんに引き継ぐまで「継続すること」「あきらめないこと」「ためらわず思い切って行うこと」だそうです。

獣医師さんに引き継ぐまでに行う救急救命処置

視診で観察(反応と体の外見を確認)→意識と反応の確認(呼びかけて体を触ったり体や呼吸の反応を見る)→呼吸の確認(胸腹部の動き・うさぎは鼻の動き)→心肺蘇生・胸部圧迫・人工呼吸

実技はぬいぐるみで行いました。テーブルの上に体の右側を下に寝かせて胸部圧迫します。1分あたり指でトントンと1分間に100~120回行い、人工呼吸を行います(胸部圧迫5~10回に対し、人工呼吸1回)。この方法は動物病院への輸送中も休むことなく行います。これはやっぱり講師から実際に習うか、動画を見て学ぶか、そして普段の練習が必要です。

体位は利き手に応じた向きに。右利きは右側が下

駆け足でお届けしましたが、こういうプログラムセミナーがあることを知ってもらえたらいいなと思いました。

今後もサニー先生によるエキゾチックペットのプログラムが行われる機会があると思います。ぜひマーキングをお願いいたします。

お免状をいただきました!
https://petsaver.jp/

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