うさぎの基本

かわいいうさぎのしぐさ!【後編】

愛うさぎのかわいいしぐさ、変わったしぐさ、面白いしぐさ。また気になるしぐさ、よくわからないしぐさなど、うさぎのさまざまなしぐさを見ていくと、表情の豊かさに気付かされることでしょう。読者投稿を元にうさぎのさまざまなしぐさを一挙紹介! しぐさから見る感情なども解説します。これをきっかけに、もっとうさぎと心が通じ合えるかも…。監修/中山ますみ[らびっとわぁるど](うさぎと暮らすNo.30より改編)

続・読者に聞く人気のしぐさ

「立っち」

うさぎは普段4本の足を地面について体を支えています。そのため目線は当然低い位置にあり、野生下では草原、ペットでは家具などの物によって視野がさえぎられてしまいます。
そこで気になる音を感知したり、遠くにある何かを確認したい時には2本の後足で立ち上がり、様子を伺います。
2本足での立っちは得意な子もいれば少し苦手な子もいるようです。うまくバランスをとって長い時間立っちをしているうさぎは、かなりバランス感覚が優れているのかも。
また、よく立っちをする子は性格として好奇心が強く、アピール性も高いことが伺えます。とにかく目立ちたがり屋だったり・・・。
遊び場に小さな台などを置いてあげると、そこに登り、得意げな顔をしてくれることでしょう。(足元に注意してくださいね)
本来、野性下では丘などの高台はあたり一面を見渡せる「見張り台」。お部屋で再現してみると、うさぎの違った表情を見れるかもしれません。
また、立っちをしている時に立ち耳のうさぎなどは気になる方向へ耳が向いていることがあるので観察してみましょう。
視線と耳の向いている先をたどれば、うさぎの気になっていることが突き止められるかもしれませんね。

「なめる」

「なめる」というしぐさは色々な意味を持っています。
まず、人の手や顔をなめる場合。うさぎをなでている時に急にやめると「ハッ!」と気づき、なでていた手を一生懸命になめて催促したり、なでてもらったお礼のようにペロペロしてくれる子もいます。
また抱っこしている時、爪を切っている時などになめ始めたら、「もうやめて!」のサイン。そのうち我慢できずに咬みついてくることもあります。
なでられている時に、自分の顔や床などをなめるのは、気持ちよくてうっとりしてきたうさぎが自分の興奮を鎮めるためにしている行動。
ぬいぐるみや家具など、物をなめるのは、好奇心が旺盛なうさぎに多いようです。
「なめる」という行動は感情を表すだけではなく、「確かめる」=「経験」という学習のために行うこともあります。なめて「これは何だろう?」と確かめているのですね。
例えばぬいぐるみをよくなめるとしたら、ホコリや化学繊維も飲み込んでしまっているので、なめすぎには注意しましょう。

「においつけ」

うさぎにとって「においつけ」はとても重要な意味を持ちます。この行動が頻繁にみられることから、うさぎは「非常に縄張り意識が強い動物」だと解釈できます。
うさぎはにおいつけをして、遊び場や家具、オモチャ、飼い主さんの手や指まで全部自分のものにしてしまうのです。
「においつけ」は3通り。

① アゴの下を物にこすりつける。

アゴの下から分泌される匂いは人間にはわかりませんが、うさぎにはしっかり感じとれるものです。
ありとあらゆるものへ簡単に匂いつけができるため、もっともポピュラーな行動です。
オスのほうが臭腺の分泌が盛んなため、アゴの下が濡れていたり、毛がベタベタ、カチカチに固まっていることも・・・。
メスはそういったことはなく、アゴをこすりつけていたとしても濡れていることはほとんどありません。

② 生殖器両側辺にある臭腺を活用する。

よーく観察してみましょう。お部屋に放した時・・・、遊び場へ出した時・・・。
うさぎが最初にとる行動は「においを嗅ぐこと」ではありませんか?
このにおいを嗅いでいる最中、しっぽが反り上がっていたら、鼠径腺(そけいせん)というにおいを出す腺がパックリ開き、コロコロうんちに分泌物をつけポトポト床に落としていく・・・。もしくはにおいだけをプ~ンと漂わせている光景が見られます。

③ オシッコ飛ばし

オシッコ飛ばしには色々な意味がありますが、においつけの意味でのオシッコ飛ばしは、うさぎの一方的なプロポーズの意味があります。
気に入ったメスに対して自分のオシッコをつけ、他のオスが寄って来たときに「自分はこれだけスゴイんだぞ~!」といった個体情報をメスの体につけ、他のオスを寄せ付けないことを目的としています。
でも寄ってきたオスがその匂いを嗅ぎ、「自分の方がスゴイ」と思えば塗り替えられてしまう・・・。実は結構シビアな世界なのですが、そんなことは知らずにオスうさぎたちはせっせとオシッコ飛ばしに励むのです。

「足ダン」

後ろ足で床をたたいて音を出す「足ダン」は、基本的にうさぎにとって不愉快な気持ちを表すことが多いです。気に食わないことがあって怒った時、または危険を感じて緊張し、警戒状態の時など。
「危険を知らせる」、「部屋の模様替えなど環境の変化」にともなっての足ダンの場合、うさぎの目つきが変わり、身体は硬直・・・。その緊張状態の原因が回避されるまで、足ダンが続くことがあります。そんな時は優しく声をかけ、落ち着かせてあげましょう。
時々遊びながら足ダンをする子もいます。楽しくて興奮が高まった結果、足ダンをしてから走り出し、上機嫌で飛び跳ねるような時は、微笑ましいしぐさとして見守ってあげてOKです。

「しゃっくり」

なかなか知れ渡っていませんが、うさぎも「しゃっくり」をします。これは「横隔膜が痙攣すること」で一時的なものです。横隔膜周辺の組織が刺激されることが原因で起こります。原因は不明ですが、健常なうさぎでも起こります。
仔うさぎも大人うさぎでしゃっくりをします。人間と同じく(声は出ませんが)体が「ヒックヒック」と動きます。
人間の場合は「息を吐いてから水を飲むとしゃっくりが止まる」などの風説がありますが、うさぎの場合はお腹全体をゆっくりと軽めに押しながらマッサージをすると、すぐに止まります。
お腹マッサージはしゃっくりだけでなく、胃腸にも良い影響を与えます。普段から、ゆっくりと軽くさすってあげるのを習慣にしておくといいでしょう。

「見る(みつめる)」

ふとした時にうさぎを見たら「見られていた!」「うちの子はストーカーのようにずっと見つめている!」なんていう飼い主さんも多いことでしょう。
うさぎはすごく観察上手です。そして好きな飼い主さんを常に目で追ったり・・・。
知らず知らずのうちに人間の行動もパターン化しているようで、うさぎは見事に先読みをする特技をみせてくれます。そう・・・飼い主さんは観察されていますよ! これはうさぎにとってお仕事のようなものです。
時には何もない空間を見つめることも・・・。何か人間には見えないものが見えているのでしょうか?
そして信頼関係を築いた飼い主さんとは、アイコンタクトで意思疎通ができるようにもなります。
うさぎは言葉はなくとも、気持ちや行動を読み取る達人なのです!
しつけをする時もアイコンタクトは必要ですし、話しかける時、話をしている時には相手の目を見る・・・人間もうさぎも一緒です。そうやって、信頼関係を築いていきましょう。

「ホリホリ」

現在ペットとして私たちのそばにいるうさぎたちの先祖は「アナウサギ」。
本来は穴を掘って土の中で生活しています。そのため家の中でも床を「ホリホリ!」と掘るしぐさをします。
人間には金網、座布団、絨毯、布などは「土」には見えないので「何をやっているんだろう?」と不思議に感じますが、うさぎたちには掘る対象が「土でなくてはいけない」などと考えていません。
頭の先には「何でもいいから掘らなきゃっ! 掘らなきゃっ!」という思いが先走っているだけなのです。
ある程度「掘ったな」と納得したうさぎはその掘った場所を埋めていく動作をすることもあります。これは母うさぎが子供を穴の中に隠すための動作。愛情に満ちた行動なのです。(オスうさぎもする場合がありますが・・・)
特にメスうさぎの場合、一時的に怒りっぽくなったり、かと思えば人懐こくなったりと、情緒不安定な行動が目立ちはじめるのと前後するようにして、特定の場所を一生懸命掘り続けていることがあります。これは季節の変わり目や発情が関係しているようです。
その他の理由としては自分以外の匂いを発見した時に、そのにおいの場所を掘っていることもあります。

「ツンツン」

鼻の先で物や人をツンツンと押すしぐさ。これには二つの意味があります。
一つ目は対象物を鼻で押して確かめるため。その場合は優しく軽く押すことが多いです。
それに対して、対象物や人を鼻で突っつくように強く押す場合もあります。これは「邪魔だからあっちにいって!」などの理由が多いようです。
前者の場合はなんら問題はありませんが、後者の場合で、人に対してうさぎが「自分が通りたいからどいて!」という場合、もしあなたがうさぎとの主従関係を築きたいというのであれば、うさぎへ「ちゃんと回り道していきなさい」とやさしく促してあげましょう。
主従関係をあまり気にされない方は、譲っても譲らなくてもOK! でも、たまには譲らない姿勢をとってくださいね。

うさぎのしぐさからわかること

うさぎは他のペット動物同様、姿勢・しぐさ・行動などで仲間や自分に目を向けた人間に対して情報を伝えようとしています。しかしうさぎは人間のように言葉がしゃべれないため、その感情を私たちが捉えるのはとても難しいことです。
読み取るためには、うさぎたちを観察する時に「何を?」「どうして?」「どうやって?」「どんな風に?」と疑問を持つことです。そうするといつしかちょっとした行動やしぐさの中に、その子を見出せるキッカケがあることに気づくでしょう。楽しいジャンプの仕方1つでもそれぞれクセがあり、特徴を持っています。その特徴がその子の表現方法であり、「個性」なのです。
きっとまだまだ、「うさぎからのサイン」は隠されているはず! そして進化していてもおかしくありません。どんな風に表現しようか? どうやったら気付いてくれる? わかってくれるのかな? うさぎたちは色々と試行錯誤しながら、飼い主さんにメッセージを送り続けています。
うさぎなら当たり前の行動も、一緒にいる私たちの気持ち1つが変わるだけで、解釈も変わります。その子の「真実」を少しでも汲み取れるようになっていきたいものです。そして、うさぎが自分の気持ちをいつでも表現しやすいように、気持ちよい空気を作ってあげたいですね。