うさぎにまつわる「うさぎ用語」をご紹介します。うさぎと暮らす皆さんでも間違って覚えていたり、知らないものもあるかもしれません。
うさぎの病気
嘔吐(おうと)
うさぎは嘔吐できない動物である。そのため胃腸の運動機能が低下し、胃の中になめとった毛などが詰まってしまい、毛球症などの病気になる。
眼振
内耳の感染症等や脳の異常などで起こる。感染症などの場合、抗生物質の投与で改善する。原因の疾患に対する処置が必要である。なお、スナッフルによる感染症において斜頸(しゃけい)などが起きている場合、その症状の悪化とともにこの眼振が現れることがある。
眼瞼異常(がんけんいじょう)
うさぎの逆さまつげが原因で涙目や眼の周りの皮膚炎を起こす。遺伝的な病気であることが多いが、成長の過程でよくなってしまう個体もいる。ただし、炎症症状を放置すると角膜炎になり瞳が白濁し失明する可能性もあるので獣医師にかかることが賢明である。重度の場合は手術を行う。
開張肢
足や前足の股関節などが異常をきたし、正常に体を支えることができない病気。筋骨系の異常であれば、足の向きなどが違うという印象を受けるのみであるが、神経系の異常の時は異常な動き、突っ張るような動きを伴う。
下半身不随(かはんしんふずい)
うさぎの腰椎骨折は意外に多い。抱きかかえているときに落とすなどがその大きな原因。抱く時には、うさぎをパニックにさせず、うさぎを無理矢理つかもうとしないことが大切。うさぎが自分で飛び降りるときには比較的大きな事故に繋がらない。
とりあえずホールディングに自信がない飼い主は、立ってうさぎを抱かない方が無難である。万が一、下半身不随になってしまったら、床ずれなどの二次的な病気に気を付けてケージの環境を整えることが大切となる。
下痢
下痢は、様々な原因で起こるが、その原因に対する根本療法よりも、下痢に対する対処療法がとりあえず重要になる。基本的には、保温と補液であるが、子供の場合、栄養もとらせなければ致命傷になることも多い。下痢を起こす原因として、コクシジウム原虫、大腸菌、腸内細菌のバランスの低下、細菌などがある。
根尖膿瘍(こんせんのうよう)
不正咬合により歯根が伸びて、歯槽骨(しそうこつ=歯を収納している顔の骨の一部)に障害が見られ、歯周病から細菌感染し、歯根の周囲に炎症が起きてチーズのような膿が固まる。治療は完治が難しく、再発しやすいので、不正咬合の予防が大切。
死産
仔うさぎが死んで生まれること、生まれてすぐに死んでしまうことを言う。母親がよくなれている場合は、生まれてすぐに巣箱の中をチェックして死産がないかどうか見る。もし、ある場合には、巣箱から出す。死亡した子供は冷たくなり、他の元気な子供の体温まで低くしてしまうからである。
脂肪肝
肥満により肝臓に脂肪が蓄積する病気。慢性的に進行していることが多く、重症になると急激に食欲不振、下痢などの症状がみられる。
湿性皮膚炎(しっせいひふえん)
浸出液がしみ出し、その周辺の皮膚の炎症を誘発する進行性の皮膚炎。持続的な刺激や不衛生な環境などから起きる。メスの肉垂などや性器の周り、不正咬合の口周辺、などにできることが多い。獣医師による治療と環境の改善が必要。
斜頸(しゃけい)
様々な原因により、首が斜めに傾き、元に戻らなくなってしまう状態。一般的には鼻を介して細菌が耳の中の前庭に感染することが原因とされている。首が斜めに傾き、同じ場所を何度もぐるぐる回ったり、立てなくなることもある。治療法は抗生物質や副腎皮質ホルモンなどを投与するが、その反応はうさぎの症状や状態によって異なる。
スナッフル
パスツレラ感染症により、鼻水やくしゃみなどの症状が出る病気。鼻は目とつながっているため、白っぽい目ヤニが出たり、目にも症状が出る。
ソアホック(飛節びらん)
本来は完全に毛で覆われているはずの足裏が毛が抜けることで守るものがなくなり、炎症を起こした状態をソアホックと言う。足裏に発赤や潰瘍ができたりする。発症要因は主に飼育環境とうさぎの性格。飼育環境が悪い場合はその改善が求められる。
熱中症
夏の暑さのため、けいれんやショック状態を起こし、最悪の場合は急性腎不全、脳障害など全身の多臓器不全になり、死に至る。熱中症の症状としては、ぐったりしている、立てない、鼻の穴を広げながら呼吸しているなどが挙げられる。なお、うさぎが快適に過ごせるのは室温18~25℃、湿度は45~60%が目安。エアコンでの室温管理が必須。
乳腺炎(にゅうせんえん)
疑似妊娠を繰り返す雌うさぎに見られることがある。乳首が赤く腫れるので見るとすぐわかる。
この病気になっているのを分からずに妊娠させると死亡する場合がある。疑わしい場合には直ぐに獣医師に相談すべきである。
尿路結石
うさぎはカルシウムの代謝が単純で、摂取したものはそのまま尿中に排泄される。そのため、高カルシウムの食生活をしているうさぎには、尿路にカルシウムの結石を作ることが見られることが少なくない。これは重度になると、おしっこが出なくなったり膀胱炎(ぼうこうえん)を起こして血尿が出る。手術が必要な時もある。このような病気になるうさぎは食生活の見直しが必要になる。
白内障
水晶体が何らかの理由により白濁し、視覚障害を起こす。感染による二次的な変化、先天性老齢性、代謝性など原因はさまざま。有効な治療法はないが点眼薬で進行を遅らせることができる。視力が衰える以外、食欲などには影響がない。
パスツレラ症
細菌感染により、増殖する部位によってスナッフルや膿瘍を起こす。多頭飼育の場合は、保菌者を隔離する必要がある。
毛球症
嘔吐ができないため、胃腸の働きが悪くなると、換毛期などで過剰になめとった毛などが停滞してしまう。食欲不振や元気がなくなる、フンが小さい、出ないといった症状がある。予防は繊維質の多い食餌にすること。治療としては毛球除去剤を飲ませたりする内科療法と詰まった毛球を摘出する外科療法とがある。
不正咬合
うさぎの歯は草を食べる口の動きによって歯を摩耗させ、歯が伸びすぎるのを防いでいるが、何らかの原因でうまく摩耗されずに歯の噛み合わせが悪くなった状態のことを不正咬合と言う。動物病院で歯を削る処置が必要となる。
緑内障
眼球内で作られた水分がさまざまな原因で外部に排出されず、眼圧が上昇し、視覚に異常をきたす。眼球が突出し、重症になると、目ヤニや痛みを伴い、食欲不振などが見られる。点眼薬や抗生物質の点眼薬で治療する。遺伝や不正咬合が原因と言われている。定期的な健康診断が大切。
医学
去勢手術
オスうさぎの睾丸を切除する手術。手術の危険度は低い傾向にある。スプレーやなわばりを示す行為が多い場合、その軽減を期待して行うことがあり、実際に去勢後のうさぎがおとなしく「なるということはあるようだが、必ずそうなるとは限らない。繁殖や病気の予防として受ける例が多い。
避妊手術
メスうさぎの卵巣などを摘出すること。メスの卵巣などによる疾患は高齢になるとかなり多く、摘出手術を進める獣医師も多い。現在は、慣れた獣医師であれば危険性はあるがこの手術で死んでしまうことはほとんどないと言われる。
カルシウム
うさぎは、カルシウム代謝が他の動物と違い、尿中にカルシウムが直接排出される。そのためにうさぎの尿はカルシウム濃度が高く白く白濁している。
日常生活
温湿度計
温度と湿度が同時に把握できる計測器。うさぎが生活する部屋の壁とケージ付近の2ヶ所に設置する。ケージ付近の温度は25℃以下、湿度は45%前後に保たれるように室温管理が必要。
強制給餌
うさぎに栄養を摂らせたり、繊維質を摂らせて腸を動かすことを目的に、シリンジで強制的に流動食を飲ませること。ただし、フンが出ていない時は無理に行わない。流動食は動物病院でもらい、量や行なってよいかなどの判断は必ず獣医師の指示に従うこと。
グルーミング
毛球症予防にも効果的なため、なるべく毎日行うのが理想的。膝の上や机の上でしっかりと保定し、毛並みにそってブラッシングする。うさんぽの後も、ノミやダニからうさぎを守るためにグルーミングを習慣づけるとよい。
ケージ
うさぎを飼うスチール製のおうち。縦幅は立ち上がって頭がぶつからず、横幅は寝そべって足が伸ばせる程度がよい。ケージはエアコンの吹き出し口の真下や日光が直接当たる場所に置かず、温湿度計を設置して昼夜の気温差対策をする。
サークル
うさぎを遊ばせたり、ケージを掃除する際に便利な囲いのこと。サークルを設置する場合は、トンネルや木箱などを置いて、ケージの他にも隠れる場所を作ってあげるとうさぎの安心度がアップする。