今回はうさぎの肥満についてです。うさぎは常に食事をして胃腸を動かしていなくてはならない動物ですが、食事の内容や運動不足、加齢、病気などの要因が加わると、太ったりやせたりと、体重が変動してしまう場合が少なくありません。今回はうさぎが肥満になってしまう原因や予防についてご紹介します。
おうちのうさぎの体型をチェックしてみましょう!
頭と体のバランスがおかしい――例えば顔が細くて小さいのに体が大きすぎくないか?
おなか周りにたっぷり肉がついていないか?
※まれにオスが肥満でできる場合もある
上から見ると筋肉やボディーラインのメリハリがなく、胴体が丸くふくらんでいないか?
超やせ型(適正体重の80%以下)
腰骨、肋骨と背骨が目視でき、筋肉と脂肪がなく、でん部がでこぼこしている。
やせ型(適正体重の80%まで)
腰骨、肋骨、背骨はさわるとよくわかり、筋肉と脂肪が少ない。でん部はなめらか。
適正体重
腰骨、肋骨、背骨はさわったときに感じられる程度、腹部はふくらみがなく、でん部はなめらか。
太りぎみ
暑い脂肪で肋骨、背骨およびでん部をさわる際に弾力がある。でん部は丸みを帯びている。
肥満
背骨や股関節、肋骨を感じることが難しい。腹部とでん部が膨らんでいる。
肥満予備軍チェックリスト
下記のチェック表を見て、あてはまることが複数ある場合は獣医さんにうさぎのボディーチェックをしてもらいましょう。
飼い主さん側
- 与えるペレットの量はいつも適当で、計っていない
- うさぎのおねだりに厳しくなれない
- うさぎを半年以上、獣医師にも専門店にも見せていないので、うさぎの体重を知らない
うさぎ側
- 食べても食べても催促が見られる
- 牧草を食べる量が少ない
- おやつに興味を示し、他のフードを食べないことがある
- 最近、動かなくなってきた
- 不妊・去勢手術をした
- 発情が激しい
- 盲腸糞を食べづらそうにしている(残している)
本来は粗食でOKなはずが…
飼い主さんの中には、「うちのコはちょっとぽっちゃりしているからカワイイ」などという方がおられます。しかし、獣医師からみると、飼い主さんの「ちょっとぽっちゃり」は「かなり太っている」場合が見受けられるそうです。
体格に適した肉付きで、適正体重であればよいのですが、飼い主さんが見逃していると、少しずつ肥満になり、思わぬ病気を招くこともあります。
うさぎの診療経験が多い獣医師によると、うさぎは犬や猫と比べて太っているのが分かりづらく、飼い主さんが自覚していない「隠れ肥満」のうさぎが意外に多いそうです。ですから来院して、診察を受けて初めて、肥満だとわかるうさぎや、体調不良の原因が肥満によるものだった…というケースがあるそうです。
うさぎの食事内容はこれまでもご紹介してきたように、粗食でいい草食動物です。
お家の中で暮らすペットうさぎに対しては、牧草が主食で補食としてラビットフードで栄養を補います。牧草はうさぎの健康をつかさどる必須アイテムであるため、食べ放題が推奨されていますが、ラビットフードは体重に合わせて分量が定められています。うさぎは「盲腸糞」からも、食糞によって栄養を摂取するので本来はこれで十分です。
しかし、うさぎは食に対して警戒心が強いため、シニアになって牧草が食べられなくなった時(歯がない場合なども)や闘病中に投薬する時などに、うさぎの「食の幅」が狭いと、飼い主さんがお世話に困ってしまうことがあります。
そこで若いうちからごほうびとして、生野菜やドライ野菜といったおやつをあげておくと、うさぎの味覚の幅が広がり、「うちのコは苦い野菜が好き」といった味の好みを把握することができるようになります。そのため昨今では、うさぎの体に適したものであれば与えてあげるよう推奨されています。
ただし、おやつの与え方には注意が必要です。うさぎはおいしい味を覚えてしまうと、その味ばかりをほしがります。ペレットの上に少量をトッピングする、あるいは毎日与えないようにするなど、「とっておきのごちそう」にしてあげるほうがよいでしょう。
かわいいお顔でおねだりをするので、それにこたえてしまう飼い主さんも少なくないため、肥満を招く原因となってしまいます。あくまでも主食は牧草、補食はペレット――という粗食をベースにし、時々副食を与えるというのが理想的です。
うさぎの飼い主さんの中で、もし、半年以上もうさぎの体形を専門家に診てもらったことがない方は、動物病院やうさぎ専門店に相談してみるとよいでしょう。体重の大きな増減には、思わぬ病気がひそんでいる場合があります。お家に体重計を用意して、1週間おきでもいいので体重測定記録を習慣にすることも、うさぎの健康長寿を保つためにおすすめします。
肥満が引き起こす主なデメリット
肥満体型になると様々なデメリットがあります。肥満にならない様に日頃から気をつけましょう。
脂肪肝(肝臓に脂肪がたまっている状態)
手術でのリスクが高まる
脂肪(体重)が多いと、手術時に麻酔を使用する場合、量を増やさなくてはならない
食糞ができない(盲腸糞からの栄養摂取ができない。陰部が汚れることによる皮膚炎などの原因になることも)
足裏や関節への負担
心臓や内臓全般への負担
セルフグルーミングができない
運動をしなくなる
ホーランドロップは骨格ががっちりしているので脂肪がつくと太って見えがちです。骨格に適正についた肉付きであるかの自己判断が難しい場合がありますので体型について獣医さんやうさぎ専門店で見てもらうとよいでしょう。
「うさぎ肥満 後編」はこちら!