今回はおうちのうさぎの歯が正常であるか点検するためのチェックリスト、動物病院での治療、そして予防についてご紹介いたします。
(監修:清水動物病院 No.62歯と牧草を考えるから一部抜粋)
[不正咬合を早期発見するためのチェックリスト]
思いあたる点が多いほど、歯や体に何か異常がある可能性があります…
食餌の食べ方
- 元気はあるのに食べない
- 食欲がなくなる、食べたそうに寄ってくるがプイと横を向いてしまう
- 口をもぐもぐさせている
- 食べ物をポロッとこぼす
- ゆっくり食べている(食べにくそう)
体の観察
- 元気がない
- よだれが多い、前足の内側が汚れていてゴワゴワ
- 涙が出る、目やにが出る
- 体重が減っている、やせてくる、下痢、うんちが小さい・量が少ない
- 体や頬周辺のはれ、左右不対称
このほか病中病後で食欲不振の時期があったり、5歳をすぎていたら特に日常の食餌の食べ方をよく観察してあげましょう!
動物病院の検査
うさぎは犬や猫と異なり、歯根の先の根尖(こんせん)が広く開放していて、歯は口腔内だけでなく、頭蓋骨、下顎骨に固定されています。このため、歯に異常が起こると、歯根側にも伸長し、病気が広がりやすいと言えます。
症例:眼窩(がんか)内にある根尖(歯の根の先端)が伸長すると、歯根の感染と歯周炎により、膿のたまった袋状の『膿瘍(のうよう)』=根尖膿瘍を発症し、食欲不振や頬がぷっくりしている症状が見られることがあります。また、眼球が圧迫されて眼球が突出することも。膿瘍は定期的に膿を取り除く治療が必要となります。
視診、触診
臼歯の不正咬合は頬の外側をさわると嫌がることがあります。
耳鏡
食欲不振、よだれなどの症状があるときは耳鏡で口中を確認。特殊なスコープを使ったり、モニターに映すと飼い主さんと一緒に観察できます。
Ⅹ線
歯の伸び方、歯根部の様子、腫瘍の有無などがわかります。
不正咬合の治療方法
あまり長くならないうちに歯を削ったり、カット(トリミング)します。『抑制矯正的治療」と言い、切歯では軽度であればこまめに歯を削り、歯の伸びる向きを変える方法があります。臼歯の治療では、表面麻酔を併用しながら削ることが多いですが、状況により全身麻酔が必要なことがあります。歯の過長症は、症状が出てしまうと完治は難しく、つきに1回など通院してカットする必要があります。
予防のために…
遺伝的要因以外の原因は飼育環境や食生活から、不正咬合を予防することができます。定期健診をしておくと安心です。また歯牙疾患のうさぎと暮らす飼い主さんは、通院治療に根気がいりますが、うさぎにおいしくごはんを食べてもらうために明るい気持ちで取り組みましょう!
そして歯の磨耗については1回目で書いたように『牧草好きのうさぎ』にすることは欠かせません。小さな頃からの食育として牧草好きのうさぎになってもらいましょう。
歯牙疾患があるうさぎは、ペレットやおやつを与えて満腹状態にせず、腹八分にしてあげると牧草に興味を持ってくれるようになります。
また、かじり木やハードペレットは歯根に負担がかかるので、どちらも与えないようにし(ペレットはソフトに…)、注意してあげましょう。