うさぎの飼い方

うさぎの介護 心構え&部屋作り編[その1]

病気や老化によって介護が必要になった時は、ケージ環境や食事のとり方を変えてあげないとけがをしてしまったり、症状が進んでしまうことも…。今回は東京都のうさぎ専門店らびっとわぁるどの中山ますみさんに介護の際の環境づくりや心構えについて伺います(一部うさぎと暮らす57号より流用)。

ネガティブな考えをプラスに…

うさぎが介護生活に入ったら、飼い主さんはその日ごとの体調を見るので精一杯で、その生活サイクルに慣れるまで大変かもしれません。健康な時はわからないのですが、いざ老化すると、マイナスなイメージばかりが前に出てきます。「かわいそう」と思いながらお世話をする方もあるかもしれません。
介護は年齢に比例するとは限りませんので、突然訪れた介護の時、飼い主さんは心構えができていない場合がほとんどです。
でも考え方ひとつでプラスの部分がとても大きくなるのが「介護」です。それはうさぎと本当に濃密な時間が過ごせるからなのです。私は共にこの濃密な時間を過ごせることが喜びだったりします。

例えばうさぎが聴力・視力が衰えてきたとしても、人間よりも問題ないのです。白内障になっても元々視力が悪くなっても見えていた時の記憶で動きをカバーできます。

私の場合、白内障になった子は目が虹色に光って見える時があります。「あなたのおめめは虹色できれいねー」と声をかけてあげています。考え方ひとつだと思いませんか?


飼い主さんが自分でプラスになることを探す、これが介護の時間も楽しく過ごせる秘訣です。もしも一人で思い、悩んでマイナスのスパイラルに入ってしまったら、誰かに相談してみるのも一つです。自分では見えない、長所を指摘してくれるなど、客観的に助言をもらえることもあるでしょう。
介護は終わりが見えませんが、終わりは見ないことです。先はおのずとやってくるのです。

部屋づくり 歩ける場合・歩けない場合

足が悪いが歩ける場合と、足が悪くて歩けない場合。ここで介護には大きな差があります。
特に歩ける場合、飼い主さんは細心の注意が必要になります。いろんなところに行きたがってすぐ転ぶ場合があるからです。本人も予想していないところで転ぶため、広いスペースをとりすぎても問題が起きやすいです。かえって狭い場合が適することもあります。


一方、歩けない場合、テリトリーは狭くして過ごさせます。飼い主さんは動いてもらって筋力をつけさせたいと考えると思いますが、もう筋力はつきにくい状態です。ただし、関節が固まるのは避けたいので、マッサージしながら足を動かしてあげます。

それまで使っていたケージの上部を取り外してしまったり、ケージカバーや籐かご、プラスチックやバスケットを使って介護スペースを作ります。介護に入ると、飛び跳ねたりしなければケージの天井部分は不要になります。要は囲いだけあればOKなのです。

かごの中の床敷はSUSU(本誌ではおなじみ、毛足の長いマイクロファイバーのバスマット)や防水シーツを使用したり、うさぎの体に合わせてU字型クッションやタオル(丸めてゴムで止める、あるいは元から円形のものなど)を置きます。ビタミンカラーの色やかわいらしい柄のものを置くと、飼い主さんも元気に楽しくお世話できるでしょう。

例/写真はうさぎ用のケージトレー(底部もある)を転用(写真は現在販売終了しているので参考)。小型犬のサークルとトレーのようなもの、飼い主さんが手を入れやすくお世話しやすいものでOKです。

中には防水シーツやマイクロファイバー製マットを敷いたら、うさぎの体の状態に合わせてクッションやタオルをうさぎの頭や体の負担を軽減できるように置きます。

モデル/蓮くん

例/人間用のネックピローを活用。U字の部分に体を入れると体をまっすぐ起こした状態になるので気道が確保され、食事のお世話がしやすい。

モデル/桃ちゃん

写真の桃は、若いうちからこのクッションに入って、なでなでをおねだりするのがおなじみでした。シニアになって突然使い始めるより、若いうちからテリトリーなどに置いていたので、自分で上手に使ったりしているので、加齢してきてもこのクッションを活用しながらスムーズにお世話ができました。

元気な時は想像もつかないことですが、そういう時からうさぎのケアに対するいろんな情報を得ておいて、うさぎが加齢などでどのような状況になっても臨機応変に受け入れられる体制が整っているとよいですよね。

うさぎにも肌触りや感触が好みがあるので、元気な時からそれぞれのおうちでうさぎの行動や好きな遊びを観察しながら、飼い主さんがお世話の用品を考えていくことが大切なのではと思います。

お話し/中山ますみさん
1997年、東京都杉並区にうさぎ専門店「らびっとわぁるど」をオープン。ホリスティックケア・カウンセラー、うさぎ飼育トレーナー、ケアアドバイザーとして本誌連載「ラビコミカレッジ」で活躍中。