カラーについてご紹介する3回目、最終回です。うさぎと暮らすNo.67で取り上げたファミリーヒストリー特集から、YBRCラビットクラブ会長、うさぎのしっぽの町田修さんのお話しを一部抜粋・改変しています。
アイカラーの不思議
ルビーアイドホワイト
うさぎには、2種類の異なったアルビノ(白化現象)のタイプがあります。
アルビノは、遺伝的にメラニンという色素が欠乏して起こることが知られています。ルビーアイドホワイトは、完全なアルビノで、全身が白く、虹彩にも全くメラニン色素が無いため眼底の血管の赤い色が透けて目が赤く見えるのです。
ブルーアイドホワイト
不完全なアルビノでメラニン色素が欠乏しています。その目は、虹彩の中に残るメラニン色素に吸収された光の波長の中で青だけが残るためにブリリアントブルーに見えるのです。これは、『レイリー散乱*』と言われるメカニズムによって空が青く見えるのと同じ現象と言われます。
*光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱
カラーの不思議
うさぎのカラーは、両親とそれぞれ血縁関係にあるうさぎの持つ遺伝子によって決められます。また純血品種のカラーは、スタンダードによって全て呼び名が定められています。その中から見分けにくいもの、おなかや背中の毛で見分けるポイントをご紹介します。
見分けにくい?
ネザーランドドワーフのオレンジとフォーンとリンクスの違い
オレンジ
頭、耳の外側、腰から背中、しっぽの上側が明るいオレンジで、体の側面と胸に向かって薄いオレンジになり、アンダーカラーはオフホワイトです。お腹や前足の後ろ、後ろ足の内側、あごの内側などは、ホワイトでアンダーカラーはオフホワイトです。耳の内側はホワイト、鼻孔や目の周りはクリーミーホワイトです。目の色はブラウンです。
フォーン
頭、耳の外側、腰から背中、しっぽの上側がクリーミーオレンジで、お腹や前足の後ろ、後ろ足の内側、あごの内側などがホワイトで、アンダーカラーはオフホワイトです。耳の内側はホワイト、鼻孔や目の周りはクリーミーホワイトです。目の色はブルーグレーです。
リンクス
背中から体側にかけ、体表面のカラーがライラックとフォーンが混ざったカラーで、アンダーカラーはオフホワイトです。胸はフォーンでアンダーカラーはオフホワイト、お腹のアンダーカラーはライラックです。そして、アグーチグループの特徴で1本の毛が数色に分かれているので背中等に息を吹きかけると、リング上状の模様を見ることが出来ます。目の色はブルーグレーです。
フォーンとリンクスは、一見同じようなカラーでもARBAではスタンダードによって明確に区別されます。例えば、お腹のアンダーカラーは、フォーンではオフホワイトで、リンクスはライラックです。
ブルーとライラックの違い
色を薄める遺伝子によってブラックが薄くなった色をブルー、チョコレートが薄くなった色をライラックと言います。ブルーは全身ダークブルーで、アンダーカラーはミディアムブルーです。ライラックは、ピンクがかったドーブグレー(薄い灰色)で、アンダーカラーは、薄いドーブグレーです。
ブルーは猫の品種ロシアンブルーと同じ上品なカラーで、ライラックはその名の通りライラックの花のように美しい薄い紫色に見えなくはありません。
オターとマーチンの違い
オターもマーチンもタンパターンに属するカラーで、それぞれにブラック、ブルー、チョコレート、ライラックの4色があります。
その違いは、オターでは首の後ろの「トライアングル」と言われる三角形のマーキングがブラックとチョコレートはオレンジで、ブルーとライラックはフォーンになります。胸や体側、腰の下あたりにトライアングルと同じくそれぞれのカラーにオレンジやフォーンの差し毛があります。
マーチンは、全てのカラーで首の後ろのトライアングルがシルバーホワイトで、体側、腰の下あたりにもシルバーホワイトの差し毛があります。
ブロークンって?
ブロークンは、カラーの名前ではなくいわゆる斑(まだら)模様の総称です。全てにカラーの斑模様があります。両耳と両方の目の周りに色があること、そして鼻の周りのバタフライと呼ばれるノーズマーキングがバランスよくあることが望ましく、耳と目の回りの両方ともにカラーがない場合やノーズマーキングが全くない場合は、ショーで失格になります。
またブロークンには、小さな斑模様のスポッテッドと背中に大きな模様があるブランケットパターンの2種類があります。どちらのパターンも色の付いている部分が10%以下や50%以上の場合は、失格になる場合があります。
成長と共に毛色が変わる?
うさぎの毛は、成長ともに変化したり換毛の時期に変化したりすることがあります。
仔うさぎは、ベビーファーと呼ばれ、非常に細く柔らかい毛が密集しています。そのため同じカラーの大人のうさぎよりも薄いカラーに見えます。大人のうさぎは、しっかりとした太いガードヘアに覆われているため色が濃く見えるのです。
また、セーブルポイントやヒマラヤンではポイント部分のカラーや爪の色が年齢とともに薄くなったりします。サイアミーズセーブルでは、日光があたるところで飼育した場合には、セピアブラウンのカラーが薄まってしまうことがあります。そして換毛期には、古い毛が抜け落ち、新しい毛が生えだしたところが濃く見えます。それは、毛が短いために濃く見えるのであって毛が伸びれば元のカラーに戻ります。