うさぎの基本

うさぎのきもち PART2

かわいいしぐさ、変わったしぐさ、面白いしぐさ、また気になるしぐさ、あやしい(?!)しぐさなど、うさぎのさまざまなしぐさを見ていくと、表情の豊かさに気づかされることでしょう。ここでは、しぐさから見る感情を解説します。もっとうさぎと心が通じ合えるかも?(監修:中山ますみ/らびっとわぁるど・出展:当社刊『うさぎと一生暮らす本」より)

ここから、行動から見るうさぎの感情をご紹介します。
(喜び=喜、遊び=遊、怒り=怒、哀しみ=哀、恐怖=怖、好む=好、安心・安堵=安、興味=興、求愛=愛、驚く=驚、攻撃=攻、学習=学、習性=習、本能=本、緊張=緊)
で表していますが、環境(人間の家族構成・接し方・うさぎの飼育環境・性格など)によってうさぎたちの表現方法は異なることがあります。あらかじめご了承ください。

なめる

人の手や顔をなめる(喜・遊・好・哀・安)

「なめる」うさぎについては基本的にはいい意味がほとんどですが、「なめている」状況によってさまざまな意味が込められています。
たとえば抱っこしている時、爪を切っている時にペロペロなめだすコ。そう、これは明らかに「イヤなのよ~っ!」というのが、顔の表情や身体のこわばり具合で哀しさを表現していることから表現できます。
反対にうさぎの頭や身体をなでていて急にやめると「ハッ‼」と気づき、なでていた手を一生懸命になめている場合は「もっとやってよ~」と催促のしぐさ。同じ「なめる」でも意味は全く異なります。

なでられている時に、自分の身体や床などをなめる(喜・好・安)

なでている最中に自分の顔や床などを夢中になってなめているコの場合、気持ち良すぎてそれが「興奮」という「刺激」となり、その「興奮」を静めるためになめだすのです。
実は、これはうさぎ自身考えながらなめているわけではありません。純粋に「ああぁ~気持ちいい! 気持ち良すぎてどうしよう⁈ えーい! なめちゃえ~」というような勢いなのでしょう。
もしかしたら自分で毛づくろいしていると思っている勘違いうさぎもいるかも…⁈

物をなめる(遊・学)

「なめる」という行動は感情を表すだけではなく、「確かめる」=「経験」という学習のために行うこともあります。「これは何だろう?」と好奇心が旺盛なうさぎが行います。
時にはぬいぐるみや絨毯、ホコリまでなめてしまう場合も…。
化学繊維やホコリは、口にすると胃の中へ入ってしまうことも想定して、なめると危険なものはくれぐれもうさぎの口の届く所には置かないようにしましょう。

毛づくろい(習)

うさぎはきれい好きで、毎日自分の毛の手入れはかかせません。自然界でのうさぎは捕食される側の動物。身体に匂いがついていれば、その匂いを辿っていつ敵が襲ってくるかわかりません。
四六時中「安全」を保っていなければいけないのだという習性が今でも残っているようですね。
たとえばなでなでしてあげた直後、自分の身体をなめてきれいにしたり…と少し感じの悪いことをされた記憶がある飼い主さんも多いはず。しかし、うさぎにしてみれば当たり前のこと。笑って許してあげましょう。

咬む

人間と暮らすうさぎたちの中には、甘咬みをしたり本気で咬みついたりしてしまうコがいます。かわいくて優しいと思っていたうさぎがこんなに凶暴だったのか…とショックも大きくなります。
そんな凶暴に思えてしまううさぎにも、なんで咬みついてしまうのか理由があるはず! 咬むというしぐさからうさぎのきもちを読み取ってみましょう。

小心の咬みつき(咬みつき度:弱)(本・驚・攻・怖)

臆病な心が強いほど突発的な行動に出やすいものです。信用する、しない以前に「怖い」という感情が先に来てしまい、その「怖いもの」から自分を守るには「咬む」などの行動で相手を追っ払わなければいけません。うさぎたちは「驚き」や「恐怖」を感じた時などは飼い主さんを飼い主だと理解するまでに時間がかかってしまうこともしばしば見受けられます(パニック状態)。

【うさぎの行動】
人の気配やケージの中に手を入れたりすると、ササッと隅に行きジーッとこちらを睨んでから大きな一歩を踏み出して咬みつくなど、咬みつくまでの行動に、緊張が走ったりします。

【対処法】
警戒心の強いコや臆病なコには頻繁にみられる行動です。この場合は「見守る方法」をとることで、うさぎの警戒心や不安を取り除いてあげることが必要です。決して「なつかない」「嫌われているんだ」ということはありません。ただ、心を開くまで時間がかかってしまうだけなのです。
焦りは禁物ですから、ゆっくりと時間をかけてあげてください。無理にケージから出すことはありません。ケージの扉を開け(状況によっては扉は閉めたまま)、次のようにするといいでしょう。

①優しく「〇〇ちゃん、おいで~」「〇〇ちゃん、いい子いい子しよ~」「何もしないから大丈夫だよ~」などと声だけをかけるようにしましょう。
②奥の隅でかたまっているうさぎが動き出し、様子をうかがい始めたら、ひき続き声をかけてうさぎが傍にくるまで続けましょう(この過程を何日も続ける必要がある場合もあります)。
③様子をうかがってきたら手をケージの入口にかけて、どんな反応をするのか観察をしてみましょう。「ブゥーッ」と怒りまた隅に行ってしまうようでしたら①と②を繰り返し、傍に寄って様子をうかがってきたところで褒めながらケージの扉をしめましょう(あくまでもうさぎに疑いを持たせないようにするためです)。

うさぎの表情を観察しながらケージの中に手を入れてなでてあげられるようになった時は「ケージの中に手を入れられても怖くなくなったよ!」といううさぎからのメッセージです。

愛の咬みつき(咬みつき度:強~激強)(本・愛・怒・哀・攻)

自分のなわばりに固執してしまう動物的な本能丸出しのうさぎや、実はものすごくやきもち焼きだったりするうさぎに多く見られます。
「咬む」という行動は、人間の家庭内で起こる危険な行動なのですが、飼い主さんに対する強いメッセージも込められています。またうさぎたちの社会の中では表現方法の一つでもあります。
そして愛情が激しいためについ咬んでしまう、愛情の独占欲、寂しさなどの複雑な感情が入り乱れた、たとえると「ストーカー」のような形になってしまうだけなのです。

【うさぎの行動】
うさぎが遊び場で遊んでいる時、ケージの中にいる時にトイレ掃除をしていると、ダッシュで走ってきて飛びつくように歯を当てたり、咬みついてきたり、咬みついたまま離さなかったり…。中にはケージのそばを通っただけで敵意がむきだしのようになってしまうコも。

【対処法】
多くはオスで複数飼いの場合(性ホルモンによって刺激されてしまう)に多く見られます。まずはそのコが何を欲しているのか? 自分はそのコにどんな態度で接しているか? をよく見極めることが必要です。
うさぎは飼い主さんの感情(精神)をものの見事に見透かしてしまうので、「このコが怖い」と感じると怖いことをしてきたりします。
一番うさぎにわかりやすい接し方は、話しかけてあげることです。話す内容は何でもいいので「目を見て話しかける」こと、「怯えない毅然とした態度」が必要になってきます。
複数飼いをしている場合は、特にそのコにとってはまだまだコミュニケーションが足りないことが多く、「あの人の傍に行きたいけどケージが邪魔!」「傍にきたら他のコの匂いがしてるから気に食わない!」でガブッ‼ と八つ当たりのような咬み方もしてきます。「あなたが一番大好きだよ」と心の底から思い、伝えることがうさぎにも必要です。
複雑な気持ちを抱いてしまったうさぎたちはとても頭がよく、きちんと理解してくれるはずです。1日や2日で咬まなくなるコもいますが、長い月日がかかってしまうコもいます。
長い月日がかかる場合は、それまでの複雑な心の糸がなかなかほぐれないのでしょう。飼い主さんの方は「いつでも自分の気持ちがベストな状態を求められてしまう」ので、一人で悩まず、獣医師やうさぎ専門店などに相談したりしていくことで悩み込まないようにしましょう。

次回はうさぎのきもちPART3に続きます。