うさぎの飼い方

うさぎに興味がある・お迎えに興味がある人へ その1

8月に大規模な神奈川県のうさぎ多頭飼育崩壊が報じられましたが、9月にも滋賀県でプラケースの虫かごに入ったうさぎが遺棄される事件が起きました。このような事件はうさぎの生態をよく知らずしてお迎えしてしまった、つまり飼い主の無理解が原因につきると思います。うさぎに適した飼養環境や習性、寿命、性別の違い、かかりやすい病気など、最低限の情報を得て、生涯飼育が可能であるかを熟考してからのお迎えをしていただきたいと思います。

うさぎをお迎えする前に…

2023年は卯年、うさぎ年です。当然ながらテレビや雑誌でもうさぎが取り上げられる機会は増えることでしょう。11年前のうさぎ年ではペットとしてうさぎをお迎えする人が実際に増えて、うさんぽする姿などがテレビで報じられました(うさぎがうさんぽを好きかどうかは個体差があります。ハーネスもしかりです…)。しかし安易なうさぎのお迎えは「ちょっと待った!」です。

「うさぎは鳴かないからペットNGの物件でも飼えるんだって~」「一人暮らしでさみしいからうさぎだったらちょうどいいかと思って…」「知り合いが飼っていてかわいいな~と思って」「うさぎに癒されたいから」…などなど、うさぎに興味を抱いている方もたくさんいらっしゃると思います。

しかし「少し興味がある」という程度で、お迎えをしてしまうと実際のうさぎに対して、思い描いていたイメージとはかなりかけ離れた実像があります。『うさぎの飼育は容易ではなく、コストもかかる』のです。うさぎの寿命、年間支出(生涯費用)、適切な食事管理、飼育環境、性別による違い、妊娠・出産、品質による違い(長毛・短毛)、かかりやすい病気について知っておくことは重要です。

それを知ることで安易なお迎えを防ぐ、「飼わない」という勇気を持つことも重要なのです。

多頭飼いのおうちはきちんと1匹ずつケージで管理します

そして経済的なことだけでなく、性格的にペットのお迎えが向かない方も少なからずおります。飼い主さんとのコミュニケーションいかんでうさぎが自分の思い通りにいうことを聞かないことも多々あります。それにイライラしてしまいそうな方は向きません。うさぎが静かな動物というのは誤りです。うさぎは鳴きはしませんが、発情期は静かにしていませんし、感情表現は足や動きでさまざまに表します。おしっこを望まぬ場所にすることもあれば、抱っこも自由にできないケースもあります。かかりやすい病気もあり、そうなると病院治療費は犬猫よりかかる場合があります。

先日の滋賀県の遺棄事件では販売店からの情報で飼い主が特定されたのはよかったことだと思いました。捨てても飼い主さんが特定される、制裁が与えられることが広まることは重要です。

多頭飼育崩壊から保護したうさぎたち(保護団体アニプロさんにて)

ここまでうさぎをお迎えするマイナス面をお話ししてきましたが、うさぎ自体には全く罪のない話しです。要は飼い主になる覚悟をしてもらいたいという意味であり、実際は名を呼べば飛んできたり、甘えてなでなでを要求してくれたり、いつでも自己主張全開でぶつかってきてくれる本当にかわいらしい動物です。

小誌の読者さんの中にはショップでのお迎えばかりでなく、学校のうさぎを引き取ったり、知人から譲り受けたケースなど、思わぬ形で飼育を始めた方もたくさんいらっしゃいます。お迎え前はうさぎのことを何も知らなくても、お迎え後は一生懸命うさぎについてお調べになり、とても大切にされている方ばかりです。

うさぎの1つの命と向き合い、生態について理解した上で(家の中でペットという不自然な中で過ごさせていているのだから)できるだけ快適で安全に過ごしてもらう工夫を、私たちが提供することは「楽しみ」でもあり「責任」であると思うのです…がいかがでしょう。

あなたはうさぎの飼い主になれますか?

環境省による「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)は、昭和48年に議員立法で制定された法律で、最近では令和元年に一部の法改正が行われ、犬・猫の飼養施設の管理の仕方や繁殖制限、動物虐待など厳しくなった項目もあります。

動物虐待罪に対する罰則の引き上げ
殺傷:懲役2年、罰金200万円→懲役5年、罰金500万円
虐待・遺棄:罰金100万円→懲役1年、罰金100万円

また「動物の愛護及び管理に関する法律・第7条」にはペットの飼い主の責務として6つのことが記載されています。

①健康と安全の保持と迷惑防止…命ある動物への責任を十分に自覚し、種類や修正に応じて正しく飼うこと、生活環境を悪くしないように、また人に迷惑をかけないように飼うこと。

②病気の知識と予防…動物の病気や感染症などの正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うこと。

③逸走防止(走って逃げる)…動物が逃げ出したり、迷子にならないように必要な対策をとること。

④終生飼養…動物がその命を終えるまでに適切に飼うこと。

⑤繁殖制限…飼っている動物が増えすぎて管理できなくなることのないように不妊・去勢手術をすること。

⑥身元表示…自分の飼っている動物だとわかるように迷子札、マイクロチップなどをつけること。

飼い主になるということはこれらすべてに責任を持つことです。

ペットを手放す無責任な飼い主の実例

・結婚、出産、離婚など生活スタイルが変化して世話をする時間がなくなった

・飼い主自身が病気や高齢、アレルギー体質になり、ペットの世話ができなくなった

・経済的な理由で飼い続けることができなくなった

・なつかない、かわいくない、噛まれる

・シニアになって介護がしきれない

命を終えるまで飼い続けることができるか、ご自身の人生の計画上、終生飼育が可能かどうか、シミュレーションを行いましょう。またペットがシニアになればさまざまな病気や症状が現れ、介護が必要な場合もあります。介護は長期に及ぶこともあり、個体差もあります。

お迎え前にシニアになってからの介護をシミュレーションするのは難しい面もありますが、うさぎの飼い主さんによるブログなどはたくさんありますし、「このようなケアは私には無理だ」あるいは「こういう面があっても私は責任を持って飼育する」という覚悟をするための参考になることでしょう。

今現在、飼育継続が困難で悩んでいる人は…

うさぎの遺棄は罰則があります。飼い主さんの世話ができないほどの多頭飼育は虐待になります。万が一、飼い続けることが難しくなったら新たな飼い主を探すこと。それは飼い主さんの責任です。インターネットの里親募集サイトなどもあります。どうしても見つからない場合は地域の愛護センターに相談してみましょう。

・できるだけ自分の身の回り、多くの親類や知人に聞いてみる

・チラシやポスターを作成する

・新聞やタウン誌などに広告を掲載する

・インターネットを活用して情報を発信する

参考:環境省・神奈川県「宣誓!無責任飼い主宣言!!」パンフレットより

うさぎのここは知っておこう!

生態について

被食される動物…ルーツはヨーロッパなどに生息するアナウサギ。穴を掘ってグループで暮らしています。生態系の中で肉食動物に追われ、捕食される動物であるため、絶えず周囲の環境に敏感になります(神経質な面がある)。ケージの中に手が入ってきたり、なわばりを侵されることを嫌う。

草食動物…うさぎは寝ている時以外は草を食べることが大切な仕事です。うさぎは盲腸が発達した動物で、低栄養な草であっても腸内で繊維質を粗い粒子・細かい粒子で振り分け、粗い繊維はお通じをよくするために活躍し、細かい繊維の方はタンパク質やビタミンを含んだ高栄養の盲腸糞として再生させます。これをうさぎは肛門に口をつけて摂取しています。この粗い繊維を摂取するために最適なのがイネ科牧草、チモシーの一番刈りであり、カチカチの乾いた硬い草です。うさぎの健康維持には欠かせないものであり、現代のおいしい野菜やフルーツはほどほどにしないと硬い牧草が苦手なうさぎになってしまうこともあります。

私たちと暮らすうさぎ…アナウサギをヒトが好むタイプに改良してきたのがカイウサギです。イエウサギ(家兎)とも呼びます。たち耳・たれ耳、毛色や模様もさまざま、小型・大型や長毛、短毛などバリエーション豊かであるのが特徴です。

寿命…うさぎの診察に明るい獣医さんが増えたり、飼い主さんの病気の早期発見によって年々寿命は長くなっています。平均で言えば8歳くらいかもしれませんが、最高齢で17歳くらいまで小誌の読者さんのうさぎにおります。まだまだ将来伸びていくかもしれませんね。

妊娠・出産…生後3~4ヶ月くらいには性成熟を迎えます。オス・メスは必ず分けて飼育をすること。メスは生理の出血はなく、交尾の刺激により排卵します(交尾排卵動物)。妊娠期間は28日〜36日。一度の出産で6~8匹の子どもを産みます。

生後1ヶ月以降は単独のケージで過ごさせましょう

先日の多頭飼育崩壊では、2019年にお迎えしたつがいのうさぎが繁殖し、子孫が繁殖を繰り返して、2年間で200匹以上になったわけです。オス・メスが一緒だとこのように増えるのは当然のことです。例えばテリトリーに一緒にしたら少々の接触でも妊娠します。オス・メスでお迎えすると、お互いに常に興奮材料、においがあることから発情行動も激しくなりますし(スプレー、マウンティング、かじり、イライラ…)、繁殖を望まないのであれば不妊手術をお願いいたします。

うさぎに興味がある・お迎えに興味がある人へ その2に続く。