「うさぎに滋味あふれる食事を」シリーズ、今回はうさぎの漢方についてご紹介します。
楽しく、おいしく食べられる『薬膳フード』です。薬膳とは中医学理論に基づき、体調に合わせて食材を組み合せた料理のことで、病気を未然に防ぎ、自然治癒力を高め、健康を維持するためのものです。薬ではありません。うさぎにも薬膳によく使われる材料が『うさぎのおやつ』として販売されています。ではうさぎの薬膳おやつにはどのようなものがあり、どのような体調のうさぎに与えるのが望ましいのでしょうか。
薬膳おやつって何?
うさぎ専門店や小動物のフードを扱う通販サイトを見ていただくと、クコの実、なつめ、サフラワー(紅花)、そばの実などはうさぎ、あるいは小動物のおやつとして販売されています。ですからこれまでうさぎに与えてきたという方もいることでしょう。しかし実際のところは体にどのような作用があるのかわからないまま、なんとなく与えている方もおられるのではないでしょうか。
【ハーブ編】で取り上げたハーブ類もさまざまな薬効がありますが、薬膳おやつと合わせてうさぎの体調に合わせて選択肢は広く把握しておいたほうがよいでしょう。
では数々の薬膳食材の中からうさぎに与えてもOKな素材をご紹介します。特にクコやなつめはほのかな甘みがあり、うさぎの食いつきはよいです。
クコの実(ドライ)
ナス科 学名:Lycium chinense
杏仁豆腐のトッピングでおなじみの1cmくらいの細長い赤い果実。不老長寿の薬といわれ、ほんのり甘いのが特徴。ビタミンB1・B2・リノレン酸・アミノ酸の栄養成分のほか、ファイトケミカル・ベタイン、ゼアキサンチン、フィサリンなどが含まれ、眼精疲労回復、強壮作用がある。そのままで1日1~2粒程度。
なつめ(ドライ)
クロウメモドキ科 学名:Ziziphus jujuba
3cm以上の大きさをしているなつめ。濃い赤色をしていて生の果実はりんごのようなさわやかな味がする。。中には種がある。中国では「毎日3つナツメを食べると年を取らない」と言われるほど、栄養価が高い。腸内環境を改善する食物繊維、貧血予防に効果抜群の鉄分を含む。1粒が大きいのと種があるので手でほぐして皮と実部分を1/4量程度与える。
くるみ(生はNG、素焼きを使用)
クルミ科 学名:Juglandaceae
抗酸化作用が強いアンチエイジングの代表格であるくるみ。ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルをはじめ、食物繊維も豊富に含まれている。うさぎに与える際の問題点は脂質が多いこと。肥満気味のうさぎにはNG。病中病後、やせているうさぎ、元気のないうさぎに向く。実は割って少量を与えること。
かぼちゃの種(生はNG、素焼きを使用)
ウリ科 学名:Cucurbita moschata
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEや不飽和脂肪酸であるオレイン酸が含まれており、動脈硬化や高血圧、心疾患などを予防する。うさぎに与える際の問題点は脂質が多いこと。肥満気味のうさぎにはNG。病中病後、やせているうさぎ、元気のないうさぎに向く。1粒が大きいので1日1粒で十分。
そばの実(殻つきと殻むきがある)
タデ科 学名:Fagopyrum esculentum
ルチン、レジスタントプロテイン、食物繊維・ビタミンB1、ビタミンB2 、鉄分 、カリウムなどが含まれる。ルチンは血液さらさらを保つ成分として知られる。カロリーが低く栄養バランスの良いフードです。黒い殻は硬いので、殻むきの方がやわらかい。うさぎの嗜好性は高い。フード類に少量混ぜて与える。
麻の実
アサ科 学名:Cannabis sativa
タンパク質が豊富で、ミネラル・鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、食物繊維が豊富に含まれている。人用の七味唐辛子に入っていることでおなじみ。フード類に少量混ぜて与える。
サフラワーの種(紅花)
キク科 学名:Carthamus tinctorius
別名・紅花。種子から採れる脂肪油は食用油にされ、またコレステロールの代謝を正常にするので、動脈硬化の治療薬にされている。また、ポリフェノール成分を含み、血管を若々しく保つ働きもある。脂肪分を多く含むので給餌は少量にとどめる。
桑の葉
クワ科 学名:Morus alba
鉄分、カルシウム、ビタミンBなどが含まれ、腸内環境を整える。腎機能を改善、抗酸化作用がある。葉の形に特徴がなく、ぶどうの葉のようだったり、しそのようだったりと判断しづらいので実がついているとわかりやすい。筆者は子供時代に蚕(かいこ)を育てていて桑の葉を与えていたのでおなじみでしたが、最近は野草の桑が少なくなってきているので苗から育てるのもおすすめ。熟した黒い実(マルベリー)はおいしいのでうさぎは喜びますが糖分が多いので控えめに・・・。
びわの葉
バラ科 学名:Eriobotrya japonica
ビタミンB1、タンニン、サポニン、ぶどう糖などが含まれ、細菌の繁殖や炎症を抑える。健胃、疲労回復、利尿作用もある。うさぎには温灸にも使われる。葉には産毛があるのでたわしでこすって水洗いする。