一般の飼い主さんにとってケージは大きな買い物です。プロがおすすめするケージとは、うさぎの居
心地はー。うさぎ専門店のたかやなぎあきこさんと五十嵐里美さんにお聞きしました(うさぎと暮らすNO.93より転載)。撮影/竹下アキコ

ケージ今昔



たかやなぎさん(以下 T) 今日はメーカーさんの一押しのケージが届いているんですよ(収録は2024年夏)。
五十嵐さん(以下 I) 実際に見たかったものもあるのでよかったです!
T 国内の「ラビットケージ」として考えるとSANKOさんやうさぎのしっぽさんのケージは歴史がありますよね。海外製の小動物用ケージや犬用のケージと大きく違うのは、底部のトレーを引き出してお掃除できる点ですよね。
I 今では当たり前になりましたが、画期的でありがたい発明ですよね。私も20年くらい前、1飼い主の頃はそのタイプのケージを使ってました。網を丸ごと外して底部をお掃除するって毎日できないし、とても重労働でしたよ。
T20年くらい前と比べたらケージのデザインもずいぶん変わりましたよね。ピンクやイエローとかカラフルなものがあったけど、今はモノトーンとかブラウンとかインテリアになじむようにずいぶんシックな感じに…
I 私は土台が原色のピンクとかイエローとか使ったケージ、好きなんですよ。かわいらしいじゃないですか。トイレ用品などもカラーの物は廃番になってしまい寂しいです…。


おうちのうさぎに合ったケージとは


T うさぎのケージを選ぶとき、まず考えるのは「サイズ」ですよね。うさぎのケージの大きさって、開発時にうさぎの成長後の大きさ、エンリッチメントの適正サイズというものも踏まえつつ、既存のペットシーツのサイズも重要だったはずですよね。シーツは40×60㎝か、ハーフサイズがあるので。
I そうだと思います。SANKOさんのように幅80サイズのケージはトレーが二つあるのでハーフサイズのシーツ2枚使って。
うさぎも割と汚れる箇所が決まっているのでどちらかのシーツを取り換えれば済むこともあるので便利ですね。
T 仔うさぎでお迎えした場合、大人になった時の予想サイズはうさぎ専門店に必ず相談してくださるといいですね。どんどん成長して、手足が伸ばせないほど狭いケージではかわいそうですから…。
I ケージ自体も相談してくださるといろいろアドバイスできますよ。インターネットで写真で見ても実際の使い勝手が想像がつかないと思うんですよね。
T 五十嵐さんはお店ではSANKOさんのケージをお使いでしたよね?
I オープン時にSANKOさんのイージーホーム用の80サイズと60サイズに合わせて棚を設計していて。ですから幅と高さが違うタイプは置けないんです~。
T なるほど! 2番目に考えるのは「スペースに合わせたケージサイズを選ぶ」ですよね(笑)。私も過去からいろんなタイプを使ってきましたが、今は『大型・中型うさぎ』が、メインなので川井さんのコンフォートが一番多いですね。ワイヤーメッシュの囲いを4つの長いネジで止めて、ステンレス製の床網(スノコ)が太いスチールで補強されていて頑丈という視点で選んでいます。
I お客様から聞いたのはフロント部にある小窓がいいんですって。あそこからうさぎが顔を出すので、なでなでしてあげるのがかわいくて最高らしいです(笑)。
T あー!確かに! 正面の扉からご飯を入れようとすると興奮する子もいますからね。小窓の下にご飯皿を受けられるように取り付けていて、そこからご飯を入れる方もいるのかな。
I 全体の構造はすごくよくできているケージですよね。壊れにくいですし。ただ土台がどうしてもおしっこによるサビが出てしまうのが気になって。うさぎもなめちゃったりして。おしっこガードは面積も多いし。耐久を考えると土台は樹脂製がいいかなと。私個人の意見です(笑)。
T パーツで買い替えられるといいのかな。床網なんかはありますけどね。では3番目に考えるのは「材質」と「使い勝手」かな。毎日の事なので掃除のしやすさは特に重要ですしね。
I 全くその通りです。床網と側面にすきまがあるタイプは牧草やうんちがはさまったりして掃除が大変です。
T スノコはどういうタイプを推薦していますか? ソアホック対策の意味もあって、もともとついている床網の上に、木のスノコとか、休息マットとか布(SuSu)とか、敷いてらっしゃる方がいると思いますけど。
I ステンレスの方が弾力があるので足裏には優しいとは思います。スノコがプラスチックだと足ダンとかで割れてしまうこともありますから。ただソアホックができてしまっている場合はステンレスだと食い込みますから、何か敷いた方がいいですよね。
T プラスチックのスノコが割れると足がはさまって大惨事に…。川井さんの木製のエンボススノコは2枚組なのでケージ半分に敷いたり、全面に敷いたりで便利ですよね。素材自体をかじってしまったり(ノンニ
スで素材は安全)、おしっこ、うんちがつくとたびたび買い直しが必要ですが(笑)。
I うさぎの品種や毛質によってスノコはどういうタイプがいいか、私たちに相談してもらえるといいですよね。ミニレッキスの足元にずっとステンレスのスノコというのも負担になることもありますから。
T 確かにアンゴラみたいな長毛種やお尻周りの毛が長めの子はプラスチックのスノコだとおしっこがつきやすいという問題もあるかもしれないです。
I スノコの穴の大きさもありますよね。水はけのよさとうさぎの爪、手足がはさまらない大きさでないと…。穴の大きさも昔と比べると改良されているかも…。
T 昔は白に塗装された樹脂ワイヤーが一般的でしたが、最近はコンフォートみたいな鋼製(鉄を強化加工)が増えていましたよね。そこで川井さんの昨年発売された新製品「コンフォート60・80 STグレード」は土台以外はステンレスになっているそうです(土台はスチール)。
I 今までのコンフォートもスノコはステンレスだったんですよね。囲いもステンレスとはすごいなと。耐久性がアップしたということですね。
T 川井さんの説明によると、構想4年かけたそうです。床網は土台の下に設置しておしっこやゴミが端にたまりにくくなって、気になるうさぎの生活音も床網をフックで土台に固定することで軽減できる工夫をし
ているそうです。
I 私たちショップの人間は気にならないですが、一般のおうちだと、金属製のケージは中で走ったり、足ダンした場合、ケージ全体から音が響くのでうさぎがうるさくて寝られない、なんて声もありますから「静
音設計」って重要ですね。

デザイン性が向上!


T 飼い主さんにとってもしかしたらケージ選びに筆頭なのは「デザイン性」でしょうか? そこでジェックスさんのアクリル素材のケージ(スマートルームクリア)かと思いますが、まだ使ったことがないんです(笑)。
I 10年以上は「ラビんぐ」シリーズとして金属メッシュでいろんなタイプがありましたよね? ガラッと変わりましたよね。
T 「スマートルームクリア」はいわゆる「檻(おり)」という感じがなく、ジェックスさんのお得意な水槽分野を生かしたケージだと聞いています。
I 私は使用経験がありますよ。組み立てからやりました。なかなか素材が重たくて苦労しました。できればご家族二人くらいで作ることをおすすめします(笑)。また設置する場所で作らないと運ぶのが大変かも(キャスターをつけて移動?)。お互いに視界がクリアなのは確かにいいし、お客様からはデザイン性と「写真映え」することから「買い替えようかな」というお声があります。
T 気になっていたのは中に空気がこもって暑くなるのでは、用品がとりつけにくいのでは、おしっこが壁につくのでは、お掃除はしやすいのかなということでした。
I うさぎが爪を立てて「ガリガリ!」すると、傷がつくことはあります。中が熱くなるのでは?という点は室温管理をしっかりしていれば大丈夫という感じです。クリアな壁もうさぎはもともと視力が悪いから体感でケージを理解して、ぶつかってしまうということもないですし。ケージのメッシュをかじりたくてしょうがない子にもいいんじゃないですかね。
T 確かに。ケージのメッシュをかんで離さない子いますからね。歯が折れても気にしないくらい…(汗)。メッシュのマス目から鼻先を出したりする子もいますよね。複数飼育だとそこをかまれたりすることもあって(汗)。
I 川井さんのケージは、ワイヤーのマス目を綿密に設計して製造しているらしいですよ。ワイヤーケージのマス目は、フロント部分は歯が入れられないほど、細かいメッシュになっているといいですよね。
T ジェックスさんでは「クリアフロント80」の方が気になっていました。フロントがアクリルで左右とバックがワイヤーメッシュですからね。今日実際に見て、スノコが断然いいと思いました。スノコが壁まで隙間がないので防草が落ちたりせず、そうじもしやすそう。あと、ショップさんだったらやっぱり仔うさぎが入っていたらお客さまも見やすくて、いいかなと思いますね。私自身は介護に使ってみてもいいかなと思いました。様子がよ
くわかるので。
I お互いのアイコンタクトが増えるかもしれないです。クリアフロントも重量はやっぱりあるみたいだけど、アクリルよりも扉の鍵が使いやすくなっているかなと思いました。
T 今日からおじいちゃんのブライアンくんにしばらく使ってみようかなと…。
I 後日、使用感を教えてくださいね! ケージの必要性で言えば、うちでは小型ネザーがいて800~900gの子もいるんです。昔は外で遊ばせるというより、ケージの中で運動するという考えで、ケージのサイズも広くなってきたと思うんですけど、うちでは必ずケージ外で遊ばせているので、60サイズでも広すぎちゃうんです。ネザー用?なんていうケージがあってもいいのかな、なんて思っています。
T うちとは正反対な(笑)。今はケージも種類がたくさんあって、おうちの子に合わせてケージの選択肢が増えることはいいことですよね。私はやっぱり介護しやすいケージがほしいかな。マッサージや投薬などがしたいから手が入れやすいとか、四方に体をぶつけにくいように楕円形?なんかでもいいし、天井はいらなくなるから取り外せるとか?
ゆくゆくはうさぎに合ったサイズにオーダーメードしてくれるメーカーさんなんてあったらうれしいですね。
DATA

ラビットパンプキン
国内初の大型うさぎ専門店フレミッシュやイングリッシュロップに会える!
神奈川県横浜市西区戸部町7 丁目240
文教堂ビル2F
営業時間/ 11:00 ~ 19:00
電話/ 045-548-3530
定休日/水曜日
アクセス/横浜市営地下鉄ブルーライン
「高島町駅」より徒歩1 分
https://www.rabbitpumpkin.net/

ラビットハウスサニー
グルーミング大歓迎の横須賀初のうさぎ専門店
神奈川県横須賀市安浦町2-27 アットマーク1F
営業時間/ 11:00 ~ 17:30
電話/ 046-801-2247
定休日/火、水曜日
アクセス/京急「県立大学」より徒歩3 分
https://rabbithousesunny.com/
